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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
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228 王都アズール

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 属性変換の話をしてから日にちも経った頃、ナイン達は蒼水国アクエリアスの首都、王都アズールへと到着した。


 「おー、水がいっぱいだ」


 「んにゃー」


 「だな。つか話には聞いてたが、水の方が多くねぇか?」


 門を抜け、街内に入ったナインとルーチェ、グレンが、アズールの街の光景に思い思いの反応を示す。


 王都アズール。ここは、水の国であるアクエリアスの首都であることからもわかるように、水がメインとなった街だった。


 街の中心の高い位置にある馬鹿デカい噴水から常に水が溢れ出しており、その水が、街内に張り巡らされた水路へと流れている。


 街内の移動は、この水路を舟に乗って進むか、水路脇の道路を利用する形になる。そのため、アズールの道は、今までの街と比べてもかなり広い。水路と道路の2つ分なので、大体倍以上はあるだろう。


 門前でぽっかりと口を開け、街を眺める2人と1頭を、我がパーティーの女性2人が微笑ましそうに見守る。だが、ずっとこの場にいては、門を利用する人の邪魔になってしまうだろう。そう思ったルチルが、おのぼりさん達に声をかける。


 「とりあえず、ここから移動しましょう。今日はもう30日で年末ですので、まずは宿ですね」


 ナインとグレンは、かけられた声にハッとなり、それぞれに了承を返す。ルーチェは街が気になるのかルチルの声には気付かず、ナインの頭の上でキョロキョロと首を動かし続けていた。


 門前を離れ、街の中心に向けて全員で水路脇の道路を進む。


 「・・・入場待ちの列でもわかってたけど、混んでるね」


 「だねぇ。明日の観光はもみくちゃにされそうだね」


 「ありそうだな。メイ、ぶつかって水路に落ちるなよ?」


 「落ちないよ!子供じゃないんだから!」


 むくれた顔を貼り付けたメイが抗議の声を上げた。いやだって、見た目13歳の子供なんだもん。


 水路内を進む舟が、前から後ろからとひっきりなしに横を通り過ぎていく。乗っている人の数も多い。定員ギリギリに見える。


 道路も似たような者で、とにかく人が多い。避ける事を常に意識しなければ、ガツガツぶつかってしまうだろう。


 先ほどルチルが言った通り、もう年末である。今日は12月30日であり、明日が今年最後だ。


 ナイン達は、年末年始を王都で観光しながら過ごし、数日してからAランクダンジョンに行く。という予定を立てていた。


 本当は、もう数日早く着く予定だったのだが・・・。


 「お前の属性変換の練習で遅れたからな」


 グレンが、言葉でグサリと刺してきた。


 メイに教えてもらった属性変換の練習に熱中してしまい、移動に遅れが出てしまったのだった。


 「悪かったよ」


 「まぁまぁ、間に合ったからいいじゃないですか。それに、もう少し早く到着しても、多分混んでたと思いますよ」


 ナインの謝罪に、ルチルがフォローを入れてくれた。本当にごめん。


 ルチルの言葉にグレンは一応の納得を見せる。そしてすぐにナインへ声をかけてきた。


 「んで?属性変換はどうなんだ?取っ掛かりみたいなもんは掴めたのか?」


 どうやら僕の習熟度ついてらしい。


 大きめに「ハァー・・・」と溜息を吐くと共に、ガクリと肩を落として答えた。


 「・・・まったく」


 属性変換の練習だが、全く進んでいなかった。正直、取っ掛かりなんかも掴めていない。というか、変化する兆しすら見えてはいなかったりする。


 あれからずっと練習は続けていた。だが、どれだけイメージと意思を強めても、僕の魔力が変化する事は無かった。


 「そうか。メイも言ってたがやっぱかなり難しいんだな」


 「・・・そうだね。正直、難しいなんてレベルじゃないけど」


 グレンの言葉に肩を落としたまま答える。


 実際ナインの印象では、ここまで難しいとは思ってなかった。凄い難しいとは言われてた。だが、頑張れば少しは兆しが見えるだろうと思っていた。


 そうして蓋を開けてみれば、全くの変化無しである。まぁ初めてからまだ半月程度なので、これからと言えばこれからなのだが。


 「頑張れや。応援はしといてやる。あ、でも練習は離れてやれよ。宿ではやるな。危ねぇからな」


 「わかってるよ」


 失敗して宿が消滅なんて、笑えないだろ。


 口を尖らせながら、ナインが言い返した。


 そうして話をしつつ王都内を進み、宿を探すナイン達。


 ルチルの話では、国の首都故かアズールには宿が多いらしい。料金の高いのから安いのまで幅広くあるとのこと。


 僕達の予定している宿は料金の高いのだ。そしてそういった高い宿やホテルは、街の中心の方にあるらしいので、そちらに向かっていると言うわけだ。


 「部屋空いてるといいね」


 「たぶん大丈夫だと思いますよ。たくさんありますから」


 「多少高くてもいいよ」


 「そうですね。お金に余裕はありますし、ダンジョンにも潜りますしね」


 メイとルチルが宿をどうしようかと相談していた。僕としては、ゆっくり休めて綺麗であれば狭くても構わない。あと変なのでなければ。


 まぁ女性陣が選ぶのだからその辺は大丈夫だろう。流石に女性向けの可愛らしい宿とかを選んだりはしまい。そんなの選んだらグレンが絶望しそうだ。似合わな過ぎる。


 その後もナインは、頭の上のルーチェをそのままにグレンと適当な会話をしながら、熱心に宿を探す女性2人の後をついていった。

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