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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
218/251

217 報告と不快な声

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 冒険者ギルドに到着したナインとテオドール達は、それぞれのパーティーに分かれると護衛依頼の達成報告をする為、受付の列に並ぶ。


 「おおー」


 「すごいね」


 感嘆の声を漏らす僕に、メイが反応する。


 確かに凄い。視線が。テオドール達に。


 「やっぱりAランクって人気?があるんだな」


 「そうですね。特にテオドールさんは、優しい上に見た目のインパクトが凄いですから、人気は高いですよ」


 受付に並ぶテオドール達、骸の集へ向けて、ギルド内の冒険者達が視線をチラチラと向けていた。あ、前に並んでる人が握手してもらってる。凄いなぁ。


 ルチルの言う事も理解出来る。話し方や言葉遣いは丁寧だし気配りも出来る。その上Aランクなので実力もピカイチ。ドクロ面という見た目のおかげもあってか、一度見たら忘れないレベルの印象だ。


 「僕らも、いつか二つ名付けられるかな?」


 列に並びつつ、羨ましげにテオドールを眺めるナイン。そんなナインの言葉に、メイが現実を突きつける。


 「頑張って強くなれば付けられるよ。まあまずはAランククラス、71から90レベルの間までいかなきゃだけどね」


 「・・・まだ35レベルだから、倍以上あるじゃん。まだまだ先は長いなぁ・・・」


 35レベルでも大変だったのに、71って・・・。


 ランクは、基本的にはレベルによって分けられる。例外は、ユニーク個体のような魔物だ。


 Aランクは、先程メイが言った通り、71から90レベルだ。Bランクは51から70レベルまでであり、Cランクは31から50レベルまで。といった感じだ。


 冒険者のランクも、このレベルによる判断を参考にしているらしい。詳しくはわからないが、何でも冒険者登録の時にギルドカードと所持者のレベルを連携させているんだとか。一応、詳細なレベルがカードに表示される事は無いが、受付にある道具を通すと、どのランクのレベルに至ってるのかは表示されるらしい。


 なので、どれだけ実績を積んでもレベルが足りなければランクは上がらないし、逆にレベルが足りていても、実績が少なければランクが上がる事は無い。


 メイの言葉にがっくりと項垂れていると、前に立っていたグレンが顔だけをこちらに向けた。


 「そのレベルを上げるためにAランクダンジョンに行くんだろ?ならあとは、俺ら次第って事だ」


 「・・・そうだな」


 自分達次第。つまりはどこまで頑張れるかだ。


 「出来ればこの冬の間に、Bランク帯までは上げてぇところだな」


 「かなり大変そうだなぁ・・・」


 確かグレンって39レベルとかだろ?最低12って、どんだけ倒せばいいんだ?


 いくら魔物が多くいるダンジョンとはいえ、ひっきりなしに遭遇する訳ではない。精々良くて15分に1回だ。普通に1時間以上遭遇しない事だってある。走り回る気だろうか?


 そうして、まだ見ぬAランクダンジョン探索に期待と不安を抱いていると、受付嬢の呼ぶ声が聞こえた。


 「お次の方どうぞー」


 リーダーのグレンが、依頼達成書を持ってカウンター前に立つ。僕らは後ろで待機だ。あ、ギルドカードはいるか。


 ギルドカードをマジックバッグから取り出し、カウンターに置く。


 報告自体は、依頼に不備や依頼者からの不評があった訳ではないので、特に問題無くすぐに終わった。


 僕達は、報酬を受け取るとカウンター前から離れ、ギルドの入り口近くに移動する。まだ依頼報告をしているテオドール達を待つためだ。


 護衛隊のリーダーをしていたからか、何が理由かはわからないが、僕達よりも少しだけ時間がかかっているようだ。


 別段する事もないため、大人しく待つ。


 その後、僕達から遅れる事5分程で報告を終えたテオドール達もやってきた。


 「すいません、お待たせしました」


 「いえ、大丈夫ですよ」


 「ありがとうございます。それでは、向かいましょうか」


 「はい」


 来た時と同じように、テオドールを先頭にしてギルドを後にする。


 テオドール達に対する冒険者からの憧憬の視線は、ギルドを出るまで途絶える事はなかった。







 ギルドを出た僕達は、通りを南下していっていた。宿やモッサリヤン商会があった場所は、町の北側なので逆方向だ。


 「これから行く食事処は、肉も魚も野菜もありますので食べられないものがあっても大丈夫ですよ」


 来た時と同じように隣を歩くテオドールが、僕達へ向けてそう言った。


 ほう、色々食べられるのか。それはいいな。


 「そうなんですね。移動中は、簡単なものしか食べられなかったので嬉しいです」


 「わかります。頑張って手を加えたりはしますが、どうしても味気ないですよね」


 「ですねぇ。僕達も、一応調理器具とか材料なんかは色々揃えていってるんですけど、調理技術も知識も足りないからか、変わり映えしなくて・・・」


 そう口にした僕は、ノースト大陸に来てからの野営料理を思い出す。


 焼いた干物、焼いた肉、肉野菜炒め、簡単スープ、鍋。うん、少ない。


 「私達もですね。色々やりたいとは思うんですが、食材を無駄にしてしまいそうな気がしまして」


 テオドール達も似たような感じなようだ。僕らもそうだ。僕達の場合、実際に試した。そして無駄にした。


 「なので今は、調理本やレシピ本を探してからやろうと思ってます」


 「あー、なるほど」


 本か。そうかそれがあったか。


 確かに、やり方がわからないならそれがわかるものがあればいいのだ。調理本やレシピ本といのうは正にそれだろう。


 ふむ、明日でも本屋に行ってみようかな。


 「書店なら、町の北側ですよ」


 テオドールが本屋の場所を口にする。どうやら顔に出ていたようだ。


 「ありがとうございます。明日にでも見に行っ「そこの白髪の、待ちたまえ」」


 テオドールに礼を口していると、突然後ろから何者かに声をかけられた。


 何だ?男の声?


 妙に上から目線のような雰囲気を醸し出す、不快感のある声だ。


 僕達は足を止めると、全員振り返った。


 「・・・誰だ?」

体調不良のため、次回更新は土曜日です。

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