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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
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215 護衛終了

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 「皆さん、お疲れ様でした。今回は、ありがとうございます。これにて依頼は終了です」


 商会長自ら、頭を下げて挨拶をする。


 クリアマリンの町を発ってから7日、僕達は無事予定通りにシアントルの町に到着した。


 時刻は16時過ぎ。現在いるのは、モッサリヤン商会シアントル支店の裏にある倉庫兼馬場の広場だ。やはり儲かっているらしく、クリアマリンにあった支店裏と大差ない広さをしている。土地代だけでかなりしそうだ。


 「報酬は規定通りギルドでの受け取りとなります。後ほど部下より依頼達成書をお渡しいたしますので、よろしくお願いします」


 商会長の言葉に、護衛依頼の達成はそういう感じなのかと知る。受けた事がなかったので知らなかったや。


 チラリと商会長の斜め後ろに立つ部下に目をやると、依頼達成書らしき紙束を抱えていた。


 「最後にもう一度。今回はありがとうございました」


 商会長が再度お辞儀をし、礼を言った。そうして数秒で頭を上げると、テオドールが前に出た。


 「それでは皆さん、依頼達成書を受け取ったパーティーから解散です。リーダーの方は取りに来てください」


 「よろしくお願いします」


 テオドールの指示に続き、依頼達成書を持った男性商会員前に出た。


 「そんじゃ行ってくる」


 「わかった。あっちで待ってるな」


 「ああ」


 グレンが依頼達成書を取りに向かった。


 僕達は、少し離れた人の少ない場所へと移動する。


 ふぅ・・・、正直かなり疲れた・・・。


 「疲れましたね・・・」


 口に出す前に、ルチルが疲れ切った顔で先に言った。


 「だな。早く宿に行きたい」


 「私も」


 僕の言葉にメイが同意した。彼女も疲れたらしい。


 疲れたと言っても、全員が肉体的な意味で疲れてる訳ではない。精神的な疲れだ。


 なにせこのパーティーの全員がソロ気質なのだ。よく知りもしない人と7日間も集団行動、というのは、精神的な消耗が激しい。出来ればもうやりたくないレベルだ。


 「とりあえずこの後は、真っ直ぐギルドか?」


 「宿探す方がいいんじゃない?空いてるとこはあると思うけど、もう夕方だから遅くなれば部屋無くなっちゃうよ」


 「そうですねぇ。あまり遅くなると安宿くらいしか空いてなくなっちゃいますね。私は嫌ですよ」


 メイの言葉にルチルが続く。安宿は嫌らしい。


 「安宿って、どんな感じなんだ?」


 アルメガの夕月亭は、安宿に入るのか?それともあれは普通か?


 基準がわからないので、2人に聞いてみた。


 「うーん、ベッドしかない、とかかな。あとは壁が薄いとか」


 「メイさん、それまだ良い方ですよ。悪いところだと、仕切り無しの雑魚寝です」


 「あれはもう・・・ね、宿って言えないでしょ」


 どうやら物凄い安い宿は、とんでもないようだ。野宿の方がマシだろ。


 「ルチルはその、雑魚寝?の宿に泊まったことあるのか?」


 「ないです。女性は泊まらないですね。泊まると危ないですから」


 それもそうか。どう考えても危ないな。襲われかねないし。


 それからグレンを待つ間、この町ではどんな宿に泊まろうかと3人で相談を始めた。


 そうして5分ほどたった頃、こちらに近寄る足音が聞こえた。


 見ると、グレンが依頼達成書を手にこちらへ歩いてきていた。だが彼1人ではなかった。


 「皆さん、お疲れ様です」


 何故かテオドールが一緒だった。なんかあったのかな?


 「お疲れ様です。何かありましたか?」


 わからないので素直に聞いてしまう。


 「依頼に関しては、何もありませんよ。夕食をご一緒しませんかと誘いに来ました」


 「夕食?」


 はて?何故だろう?


 どうして誘われたのかよくわからず、首を傾げてしまう。


 「パーティーメンバーのみんなが、皆さんともう少しお話をしたいと言ってまして。ああ、もちろん私も。野営中にお話は出来ましたが、あまり長く話せませんでしたので、この機会にどうかと」


 「そういう事ですか」


 言われて野営中のことを思い出す。うん、みんなそれぞれ楽しそうに話してたな。でも骸の集の人達は話し足りなかったのか。まあ、あの時は夜の見張りの仕事中だったから周りで寝てる人に配慮してある程度声を抑えてたからな。話題にも気を付けてたし。


 「俺は一緒でもいいんだが、お前らに確認を取る前に了承は出来ねぇからな。一緒に来てもらったんだ」


 グレンは誘いを受けてもいいと思ってるらしい。いや、むしろ受けたそうだな。野営中に何か面白い話でもしてたのかな?


 僕達の了承次第ということなのだが、僕は問題無い。


 「なるほど、僕はいいよ」


 今後行くダンジョンの話とか聞きたいし。メイとルチルはどうかな?


 そう思って2人に視線を向ける。


 「私もいいよ」


 「私も大丈夫です。あ、でも宿を探すのに時間がかかるかもしれませんよ。最悪テオドールさん達を待たせてしまうかも・・・」


 2人共誘いを受けても問題無いようだ。だがルチルの言葉にそうだったと思い出す。


 いくらこの国出身のルチルとはいえ、何でも知っている訳ではない。クリアマリンは、港町だったため何度も足を運んでいたが、ここシアントルはそうでもない。いや、何度も来てはいるらしいのだが、すぐに通り過ぎてしまうため、そこまで詳しくないのだ。


 なので宿についても、どんな宿があるのかはそれほど知っている訳ではない。いつも泊まっていた宿は、1人用の部屋しかない宿だったため当てにならないのだ。


 だが今は4人と1匹だ。それ故に、一から探さなくてはならない。


 さて、どうしたものか。絶対待たせちゃうだろうな。


 どうしようと頭を悩ませていると、テオドールが口を開いた。


 「それなら、私達が泊まる予定の宿を紹介しましょう。多少値は張りますが、安全ですし綺麗ですよ」


 どうやら宿を紹介してくれるようだ。


 「いいんですか?というか、部屋は空いてるんですか?」


 「構いませんよ。部屋に関しても宿の制度上問題無く空いているはずです」


 何だか意味のよくわからない言葉があったが、大丈夫らしい。


 僕は、グレン、メイ、ルチルへ順番に顔を向ける。


 全員が僕の視線に気付き、しっかりと頷いた。


 「みんなもいいみたいなので、宿についてはよろしくお願いします。あ、あと夕食も」


 テオドールへと向き直り、頭を下げてお願いする。


 「わかりました。それでは、私は仲間を呼んできます。宿へは一緒に行きましょう」


 「わかりました」


 僕がしっかりと頷いたのを確認すると、テオドールは踵を返して仲間の元へと駆けていった。


 くるりと体を回し、みんなへと向く。


 「宿、何とかなってよかったな」


 「そうだね」


 「あ、でも料金について聞いてないですが、大丈夫ですか?」


 「まだ金に余裕はあんだし大丈夫だろ?それに、こういう時にケチったら大抵面倒臭えことになるからな。多少高くても妥協した安宿よりは絶対いい」


 「あー、僕もそう思う」


 ここでお金ケチって、宿が見つかりませんでしたが、1番ヤバいからな。


 そうしてみんなで話しているうちに、骸の集の面々がこちらへとやってきた。


 テオドールが前に出る。


 「お待たせしました。それでは行きましょうか」


 そう言ったテオドールを先頭に僕達は、モッサリヤン商会裏の広場を後にした。

また明後日。

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