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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
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214 5日目の道中2

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 「んで?何か変なぶっ飛び方してたが、今のは何だ?」


 変なって・・・。


 ちょっと言い方が気になるが、確かに今までとは違う吹き飛び方をしていたので、言われても仕方ないかもしれない。


 今までの当たり方は、どちらかと言えば点だった。だが今回は、魔力弾の形を変えていたので面で当たった感じだろう。


 「弾がこう、銃口から出たタイミングで魔力弾の形を変えたんだよ。ちょっと失敗したけど」


 何をしたのか簡潔に説明する。


 すると、グレンが何故かよくわからないことを聞かされようた顔をした。


 「・・・変えた、って、どうやってだ?」


 やり方がわからなかったのか、詳しく聞いてきた。


 「えーと、銃口から魔力弾が出た瞬間って、まだ魔導銃とくっ付いてるじゃん?だからその一瞬の間に魔力制御で形を変えたんだよ。完全に撃ち出されちゃうと、物理的に繋がりが切れちゃうから」


 魔力弾が魔導銃と物理的に繋がってる間は、僕の魔力制御が通じる。だが銃口から射出されてしまえば繋がりが途切れ、魔力制御が効かなくなる。


 普段使うマジックショットの魔法ならば、物理的に離れても魔力的な繋がりがある程度あるので撃ってからでも操作は可能だが、魔導銃を使った場合は違う。武器を介しているからか、撃ち出したりして完全に離れてしまうと、操作は出来なくなる。


 なるべくわかるように説明した。自分では、何を言ってるのかわかるのだが、かなりわかりずらいだろう。案の定、グレンの顔がさっきよりも不思議そうな表情に変わった。


 そんなにわかりにくいかな?


 「なるほど。ねぇナイン、ちょっと魔導銃貸して」


 「ん?いいよ。はい」


 「ありがと」


 何かに納得したメイに魔導銃を手渡す。


 礼を言った彼女は、魔導銃を右手で持つと何故か魔力を込め出した。おい、撃つなよ?


 一応込めた魔力は、撃たなければ10秒程で霧散するため問題は無い。逆に言えば、事前に魔力を充填しておいていつでも撃てるようにしておく、みたいな事は出来ない。そりゃ人気も無いわ。


 メイは、魔力が込められた魔導銃をジッと見つめる。


 後ろを歩くルチルが、肩越しにその様子を伺っていた。


 「・・・ふむ。うん、何となくわかったよ」


 1分ほど魔導銃を見つめていたメイは、うんうんと頷きながら魔導銃を返してきた。


 「何がわかったんだ?」


 受け取った僕は、どういうことか聞き返す。


 「ナインが魔力弾の形を変えられた理由」


 「え?」


 返ってきた言葉の意味がよくわからなかった。どういう事?


 首を傾げる僕の様子に、メイが答える。


 「ナインは、魔力弾が銃口から出てきて離れるまでの間に形を変えた、って普通な感じで言ってたけど、大概の人は、そもそもそんなこと出来ないんだよ」


 「そうなの?」


 メイの言葉を聞き、静かに様子を見ていたルチルへ問いかける。


 「そうですね。魔力制御が可能な時間が短いとかは一旦抜きにしても、術式でコントロールされている魔導機械の魔力を操作、というのは、難しいなんてレベルではないですね」


 素手で川の流れを変えろってくらいです。と、ルチルが答えた。


 難しいなんてレベルではない。彼女の言葉を聞き、僕は魔力弾の変形をした時のことを思い出す。


 変形が可能な時間は短かった。それはかなり大変だった。だが魔力制御は大変だったか?いや、大変じゃなかった。マジックショットの操作をする時くらいの感覚しかなかった。


 決して、素手で川の流れを変えるようなレベルではない。


 「ルチルが言うように普通は、術式でコントロールされている魔道具とか魔導機械の魔力っていうのは、操作出来ないんだよ。いや、出来るんだけど、ありえないくらい難しいのね」


 ルチルの言葉を聞き、メイが説明を続ける。


 「だと言うのにナインは出来た。その理由っていうのが、この魔導銃が無属性の魔力弾を撃つものだからなんだよ」


 「・・・よくわからない」


 無属性だから?


 「簡単に言うと、相性が良いんだよ。私達の魔石も無属性だし、魔導銃の中にある魔石も無属性だからね。魔力の質が同じだからそりゃ操作も可能だよ」


 「なる、ほど・・・」


 同じ属性の魔石な上に、魔力の質が同じだから操れる、と。あれ?


 「術式でコントロールされてる魔力って、操作が難しいんじゃないの?」


 「普通はね。でもこの魔導銃に限っては、その制限が無いかな。普通のヒトなら魔力を術式でガチガチにされてるって感覚だろうけど、私達だとむしろ魔力を補助されてるくらいの感覚になるね」


 「そうなのか」


 僕達と普通のヒトでは、感じる魔力が真逆になるようだ。面白い。


 「魔力込めたり見てたりしてたのは、それを確かめてたのか。そういえば、魔導銃を見た事はあっても使った事はないんだっけ?」


 「無いね。type.Ⅱは欲しかったんだけど、どこ行っても売ってなかったからねぇ。type.Ⅰとtype.Ⅲは、同じような事が出来るからそもそもいらないし」


 「属性弾のやつだっけか。僕も欲しいなぁ」


 「2000年前の武器だからねぇ。もう無いんじゃない?」


 「それもそうか」


 残念。


 「メイさんは、作り方って知らないんですか?」


 後ろで僕達の話を聞いていたルチルが話に混ざる。


 おお!確かに。知らないのか?


 「流石に魔導銃は知らないかな。それに知ってても覚えてないよ」


 「そうですかぁ・・・。残念です」


 メイの答えに、ルチルは眉を下げてションボリした。本当に残念だ。まぁ作り方知ってたら自分で作ってるよな。


 覚えてない可能性も仕方ない。昨日のことですら思い出せないことがあるというのに、2000年も前のことなどよっぽどのことでもない限り、覚えていられないだろう。


 「まぁ僕にはtype.Ⅲでいいかな」


 腰の後ろのホルスターに収められた魔導銃に手を伸ばし、そっと撫でる。


 振切剣と並んで僕のお気に入りだ。大事に大事に使おう。


 「ナインならいくらでも使えるからね。っと、魔物が出たよ。9時の方向、距離37メートル」


 「りょーかい」


 おっと、さっき出たばかりなのにまた魔物が来たようだ。


 返事をした僕は、メイの示す方角へと向くと、魔導銃を抜く。


 さて、魔力弾の変形練習だ。

また明後日。

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