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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
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213 5日目の道中1

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 街道周辺にガタガタと馬車の音が、パカパカと馬の蹄の音が鳴り響く。


 クリアマリンを出発してから5日が経過した。


 これまでの道中、盗賊なんかが出る事はなくたまに出る魔物は、護衛の冒険者が遠距離でバシバシ倒していっているので快適だ。


 一応僕達も倒したりはしているのだが、そもそもパーティーに斥候職がいないので、他のパーティーよりも発見に遅い。まあ物凄く遅い訳ではないので、大丈夫だけど。


 ちなみに倒す時は、僕かメイかルチルの魔法だ。魔導銃を使おうとしたのだが、威力が高すぎるのと魔物が爆散しかねなかったので仲間から止められた。むぅ、撃ちたかった。


 「基本は、魔力弾なんだ。なら・・・」


 なので今は、それをどうにかできないかと頭を捻っている。


 魔導銃片手にブツブツと独り言を呟きながら、街道を進む。


 どうにか出来そうな気がするんだけど・・・。うーむ、やっぱり撃ってみないとわからんなぁ。


 何度か撃っているのだがその時は、爆散しないようになど考えてはいなかった。どうすればいいのかわからないが、何となくやれそうな感じはする。とはいえ、それも改めて撃ってみない事にはわからない。


 うん、やっぱり一度撃ってみよう。さてと、お願いしないと。


 「なぁ、次魔物が出た時なんだけどさ・・・、1発だけ撃ってもいい?」


 周囲を警戒しながら進む仲間達に、恐々としながら頼む。


 「私は、別にいいよ」


 「私も構いません」


 隣のメイと後ろのルチルは、すぐにオーケーをくれた。


 先頭を歩くグレンが、顔だけ振り向く。若干渋い顔だ。


 「・・・ちゃんと最低値で撃つか?」


 「もちろん」


 最低値ならそう簡単に魔物も爆散しない。当たりどころが悪ければするけど。


 「ならいい。とりあえず1発だ。2発目以降はそれを見て考える」


 「わかった」


 グレンの許可も貰えたので、僕は全力で魔物を探す。


 護衛中なので出てこないのが一番なのだが、まあそれはそれだ。雑魚ならば問題無い。


 そうして魔物を探しながら街道を進む事30分。魔力弾の調整に関して、これならいけるかな?という案が浮かんで少ししたタイミングで、メイの気配感知に魔物らしき反応が現れた。


 「いたよ。10時の方向、距離42メートル。・・・Eランクくらいだね」


 「りょーかい」


 メイが方向と距離、強さを報告する。


 僕は、やっと来た!という気持ちを抑えながら、左手で腰の魔導銃を抜く。


 いつでも撃てるように歩きながらメイが言った方向を眺めていると、人くらいのサイズの青いトカゲ型の魔物が、草むらの中から顔を覗かせた。


 「・・・よし」


 魔物の姿を確認した僕は、左手を上げ、銃口を向ける。


 そして魔導銃に3000の魔力を込め狙いを定めると、すぐさまトリガーを引いた。


 一瞬のうちに、魔導銃に込められた魔力が銃身を通り、銃口から魔力弾が現れる。


 (ここだ!)


 魔力弾が現れた瞬間、僕は魔力制御に意識を集中した。


 丸い弾として現れる魔力弾の形を、ほんの少しだけ変える。やる事はこれだけである。ただし、この変形が可能な時間は、銃口から魔力弾が離れるまでのコンマ何秒という一瞬だ。そのため、かなりの集中力が必要になる。


 バシュッ!という音をたて、魔力弾が発射される。そしてすぐ気づいた。


 「ぬっ!?」


 思わず変な声が出た。


 一応魔力弾の変形は出来たのだが、あまりの時間の少なさに半分ほどしか形を変えられなかった。


 目標としては、敵と接触する部分を平面にした円柱状の形だった。だが発射された魔力弾は、接触面は少しだけ平面になってるが、何故かちょっと横長だった。見ようによっては円柱にも見える。ほんのり円柱だ。


 変形失敗魔力弾が超高速で飛んでいき、草むらから出てきていた青トカゲの顔面にぶち当たった。


 バシッ!!


 「グゲェエ!」


 正面から食らった青トカゲが、断末魔を上げながらまるでメイスか何かで殴られたかのような勢いで後ろに吹っ飛んでいった。


 そのままどしゃりと草の上に落ち、二、三度ピクピクと体を震わせた後、動きが止まった。


 「うーん、難しいな」


 魔力弾の変形自体は可能だった。だがそれをする時間が短過ぎた。一応変形はしたのだが、目標の半分、いや、3、4割といったところだろう。


 とはいえ、出来たには出来た。


 僕は、グレンの方を向く。


 「倒したよ。回収お願い」


 魔物の死体の回収をグレンに頼む。


 遠距離で魔物を倒した時は、いつも彼が回収している。


 「・・・わかった。今何をしたのか、戻ったら教えろよ」


 僕の返事を待たずに、グレンが凄い速度で魔物の死体の元へと走り出した。


 彼が回収担当になっている理由は、今やった高速移動の練習のためだ。


 あの高速移動は、カルヴァース伯爵から貰った縮地のブーツのアビリティのおかげだ。縮地というスキルと同じ効果があり、発動すると一瞬だけ移動速度が大幅に上昇する。


 ただし使い熟すには、それなりの慣れが必要だった。


 何せ、いきなり倍以上に速くなるのだ。慣れないうちは動きが追いつかず、足を引っかけて転んだりしてしまう。


 最初のうちは、グレンも失敗して転んだり、速すぎて行き過ぎたりしていた。


 青トカゲの死体をマジックバッグにしまったグレンが、行きと同じように縮地を使って戻ってきた。


 クールタイムが短いため、かなり使い勝手がいいらしい。その分動きが難しくなる上に、APの消費も激しいらしいので、乱発するとすぐに武技やスキルが使えなくるみたいだけど。


 隊列に戻ったグレンが、先頭を歩きながら顔だけこちらへ向ける。


 「んで?何か変なぶっ飛び方してたが、今のは何だ?」

また明後日。

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