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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
210/251

209 配置と出発

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 集合場所に到着してから1時間半が経過した。あと30分程で出発となる。


 モッサリヤン商会の裏手には、護衛依頼を受けた冒険者が全員揃っていた。遅刻してきたものはいない。


 「素行の良くねぇパーティーは、受けられねぇからな」


 「あ、やっぱりそうなんだ」


 「そりゃ、数日かけて複数で移動するんだ。途中で問題起こしそうな奴はダメだろ」


 グレンの言葉に納得する。


 素行の良くないパーティーの場合、討伐や採取なんかの依頼ならば問題無く受けられる。だが、今回のような他のパーティーや依頼者と直に接するような依頼の時は、ギルド側が受けさせてもいいか判断するらしい。


 下手に受けさせて問題を起こさせたらギルドも依頼者も他の冒険者も困るから、まぁ妥当だろう。素行が良くない奴が悪いのだ。


 僕は、集まった冒険者達を見回す。


 商会長の言っていた通り、人数は僕達を含めて36人いる。パーティー毎に固まっているので7パーティーいるのもすぐにわかった。


 今回の依頼を受けた冒険者パーティーのランクは、Aが1つ、Bが2つ、Cが4つだ。


 視界に映る沢山のパーティーの中で、骸面氏率いるAランクパーティー、骸の集が一番目立っている。まぁ見た目が凄いからな。はっきりわかったわけではないが、実力も凄いだろう。


 Bランクパーティー2つも、中々に強そうだ。個々人の実力も高そうだが、装備も強そうだった。何人か魔剣や魔槍、魔斧を持っている人がいる。


 Cランクパーティーは、正直Cランクだなという感じだった。数人強そうな人はいるが、はっきり言って目立った感じは無い。僕達とたいして変わらないだろう。


 そうして集まった冒険者を眺めていると、妙にこちらを見る者が多い事に気付いた。コソコソと話すものまでいる。


 「なんだ?」と呟き小さく首を傾げる。すると僕の声と様子に気付いたグレンが、理由を教えてくれた。


 「見られてる理由は、3つだな。1つ目は、来る時にも言ったが見た目の若さだ。実力があろうと、若えと侮られるからな」


 ふむふむ、確かに言ってたな。なるほど。


 「2つ目は、俺らの武器だな。Cランクのくせに全員が魔剣と魔杖持ちだ。どう考えたって目立つだろ?」


 「あー、そりゃ目立つね」


 これもまた、すぐに納得した。


 簡単に手に入る物ではない装備を全員が持っているのは、どう考えても目立つ。羨望と疑問の目って事か。


 「最後は、お前ら2人だな」


 「???」


 言っている意味がわからず、僕はグレンを見る。メイとルチルもグレンへ視線を向けた。


 「・・・お前ら2人、自分の見た目を忘れたのか?」


 呆れた表情をしたグレンが、僕とメイにたいして溜息混じりに呟く。


 「?あー!なるほど!」


 意味を理解したのか、メイが手をポンっと叩く。


 「髪か。そうだった。私達の髪色って珍しかったね」


 「あ!そういう事か」


 そうだった。確かあまりいない髪色だから目立つんだったな。忘れてた。


 理由がはっきりし、そりゃ見られるかと納得した。


 アルメガにいた最初の時は、マントを被って隠していたのだが、アクアタイガーとの戦いの後から面倒になって隠してなかった。視界も遮られるからな。


 「目立ちますもんね。ナインさんにいたっては長さもありますし」


 ルチルはうんうんと頷くと、僕の髪に視線を向ける。


 「バサバサするし不便だから僕は切りたいんだよ。でもメイが切るなって・・・」


 「だって綺麗だからね。ダメだよ」


 僕の髪を切りたいという要望が、バッサリと切り捨てられる。髪を切ってくれ。


 ちなみにこの「切りたい」、「ダメ」という流れは、今までにも何度かあった。毎回同じ流れのため、そろそろ諦めの感情が浮かんでいる。


 そうして冒険者からの視線の話題から、髪の話に変わっていって数分。商会裏手にテオドールの声が響いた。


 「配置や見張り等の指示をします!各パーティーリーダーは、私の所まで来てください!」


 護衛に関しての最終確認のようだ。呼ばれたグレンは、一度テオドールの方を見た後、こちらへ向き直る。


 「行ってくる。大人しくしとけよ」


 「子供か僕は」


 いいから早く行け。


 グレンにそう言い返し、しっ!しっ!と追い払うように手を振る。


 僕の態度に肩をすくめたグレンは、小走りでテオドールの元へと向かった。







 出発時間となり、6台の馬車が商会の前に並ぶ。僕達冒険者も、護衛のために各パーティーに分かれて指示された配置につく。つくのだが・・・


 何故か僕達のパーティーは、一番前の馬車の隣にいた。


 「何でここなんだ?」


 前に立つグレンに問いかける。


 「知らん。テオドールの指示だ」


 「そうか・・・」


 グレンに聞いてみたのだが、理由は聞いていないらしい。聞いといてほしかったな。


 今回の護衛では、商団の前方と後方に1パーティーずつ、残り5パーティーが馬車の側面につく。前方がリーダーである骸の集で、後方がBランクのパーティーだ。


 順番的には、骸の集、馬車6台と左右に5パーティー、Bランクパーティーの順だ。


 僕達の位置は、骸の集の後ろにある先頭馬車の左隣である。


 「Bランクが2パーティーしかないからじゃない?もう1個の方も後ろ側なんでしょ?」


 「ああ」


 メイの質問に、グレンが頷く。


 最後方がBランクパーティーなので、戦力差を合わせたということなのだろう。まぁなんとなくだが理解できる。


 だけどさ。


 「この先頭の馬車って、商会長が乗るやつなんだよね?」


 「そうだ」


 僕の質問に対しても、グレンはすぐに頷いた。


 僕が、何でここ?と思った理由がこれだった。


 この先頭馬車は、商会長の乗る馬車なのだ。かなり頑丈に出来てるらしいので、襲われても壊される心配は無いらしいが、それはそれだ。


 おかしくない?頑丈だからとはいえ、凄く重要な位置だと思うだけど、僕達でいいの?


 チラチラと馬車と先頭にいるテオドールを見る。


 「もうすぐ出発なんだ、大人しくしとけ」


 「あ、ああ。ごめん」


 落ち着きの無い僕に、グレンがリーダーらしく注意する。


 大丈夫なのかな?という不安から、どうしても落ち着きがなくなってしまっていた。


 ふー、と大きく息を吐き、気持ちを落ち着かせる。


 もうすぐ出発となるのだ。護衛位置に関して今更何か言っても、出発を遅らせるだけで迷惑しかかからない。それに決めたのは、護衛隊のリーダーであるテオドールだ。僕達を見て、ここでいいと思ったからこの位置にしたのだろう。ならば指示に従うだけだ。それに決めたのはテオドールなのだから、何かあっても半分はテオドールの責任と言えるだろう。


 「・・・うん。まぁなるようになるか」


 結局色々考えた結果、考えるのをやめた。僕リーダーじゃないし。


 「うん?どうしたの?」


 独り言が聞こえたのか、隣にいたメイが首を傾げる。


 「なんでもないよ」


 首を横に振り、顔を前へと向ける。


 すると時間になったのだろう、先頭にいるテオドールが声を上げた。


 「それでは、時間になりましたので出発します!退場手続き等で遅れないようにして下さい!」


 午前7時5分、モッサリヤン商会による商団と僕達冒険者の護衛は、クリアマリンの町を出発した。

左目が病気になり眼帯装備になってしまいました。

片目だとかなり見えにくくて大変ですね。

次回の更新ですが、もしかしたら遅れてしまうかもしれません。


一応ですが、また明後日。

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