表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
209/251

208 骸面のテオドール

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 テオドール率いる骸の集スカルスクアッドが僕達の側までやってきた。


 パーティー全員が全体的に黒っぽい格好をしており、各所にドクロがあしらわれた見た目は、いるだけで威圧感がある。一般人は怖がりそうだ。


 テオドールは、まずはモッサリヤン商会長に挨拶をする。


 「おはようございます商会長。遅れてしまいました?」


 ドクロ面を着けたその見た目とは裏腹に、とても優しげで穏やかな印象の声がテオドールから響く。完全に見た目詐欺だ。


 「いえ、遅れておりませんよ。おはようございます。彼らは、早めに来られただけなようです」


 「ああ、そうでしたか。時間を間違えてしまったのかと少しだけドキドキしました」


 胸に手を当て、ホッとしたといった様子を見せるテオドール氏。彼だけではなく、後ろにいるパーティーメンバーもどこか安堵した様子を見せていた。


 どうやらパーティーメンバー全員が、テオドール氏と同じような穏やかタイプな人のようだ。見た目詐欺は、テオドール氏だけではないらしい。ドクロ好きなだけか?


 「はじめまして。骸の集のリーダーをしております、Aランク冒険者のテオドール・レイカーです。今日から7日間、よろしくお願いします」


 商会長から僕達へ向き直ったテオドールは、物凄く丁寧な仕草と言葉遣いで挨拶をしてきた。


 ・・・あ、しまった。ランクが上の先輩に先に挨拶させてしまった。


 「はじめまして。自由なる庭園のリーダーをしております、Cランクのグレンです。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、こちらこそよろしくお願いします」


 グレンもしまったと思ったのか、若干慌てながらも返した。


 うーん、テオドール氏。凄く良い人だな。ルチルが見た目以外は、かなりの常識人と言ってたのが良くわかった。


 そうしてグレンからの挨拶を受けたテオドールは、僕達一人一人に目線を移す。


 「おや?ルチルミナさんではないですか。お久しぶりですね」


 ルチルに気付いたテオドールが少しだけ驚きつつも嬉しそうに声をかけた。


 そういえばルチルは、何度か話したことがあるって言ってたな。


 「お久しぶりですテオドールさん。まさか覚えてらっしゃるとは思いませんでした」


 数度話した程度の自分を覚えていた事に、ルチルは僅かに驚きの表情を浮かべた。


 「ソロの魔法使いというのは、中々に珍しいですからね。それにしても、パーティーを組まれたんですね」


 「はい。イース大陸に行った際にご縁がありまして」


 僕達とパーティーを組んだことを、ルチルが嬉しそうに語る。


 その様子が珍しかったのか、テオドールは再度驚くように少しだけ目を見開く。


 「そうでしたか。よかったですね」


 だがすぐに変わり、嬉しそうな表情を浮かべるとそう口にした。







 「ああ、すみません商会長、失礼しました」


 商会長そっちのけで話しをしてしまっていた事に、テオドールが申し訳なさそうにする。


 「お知り合いとの再会だったのでしょう。構いませんよ。それに、まだまだ時間はありますので」


 好々爺のような表情を浮かべた商会長は、気にするなと答える。


 予定されている集合時間まで、まだ30分以上もあった。まだまだ時間はある。だが放置していたのは確かだ。


 「ありがとうございます。それでは今回の護衛について、最終確認も含めての打ち合わせをお願いします」


 テオドールは、申し訳なさそうな表情から真面目な表情へと変え、打ち合わせを願う。


 「わかりました。それではあちらの馬車の方まで行きましょうか」


 「かしこまりました。あっ、とすみません。自由なる庭園の皆さんは、出発の30分前まで待機でお願いします」


 「了解しました」


 「どうしても離れる場合は、商会員の方に一声かけて下さい。もし時間になっても戻ってなかった場合、置いていかれますので気をつけて下さいね。それではまた」


 そう言って僕達へ指示と注意を口にしたテオドールは、パーティーメンバーと共に先を行く商会長を追いかけて行った。


 去っていくAランクの後ろ姿を、僕達は無言で見送る。


 対応は全てグレンがしてくれたが、正直ドキドキした。優しげな感じで凄く良い人な雰囲気だった。だが見た目が怖い。何だあのドクロ面。


 ナインは、頭の中でテオドールの着けていたドクロ面を思い出す。


 凄く邪悪そうな真っ黒なドクロ面。しかも紫色で模様まで入ってる。そんなわけないのだが、紫色が毒っぽく見えた。


 パーティーメンバーも濃い。何で黒いんだ。しかも絶対ドクロ付いてるし。


 テオドールの後ろに待機していた、パーティーメンバーの姿を思い出し、見た目的にテオドールに負けず劣らずだと感じた。


 装備や服が黒い。肩とか杖先にドクロ。なのに見える表情は穏やか。ギャップが凄いよ。


 内面で見れば、骸面氏が一番常識人だと聞いていた。確かに常識人、というか普通な感じだった。


 だからこそ印象の衝撃が凄かった。


 「・・・これがAランクか」


 想像を超えてくる存在達。それがAランクだと、ナインはしみじみ実感した。

また明後日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ