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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
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206 早めに行こう

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 護衛依頼を受けて5日後、僕達は準備を整えて集合場所へと向かっていた。


 集合場所は、モッサリヤン商会クリアマリン支部の裏手だ。


 「時間早くない?」


 向かう道中、僕は少しだけ愚痴るようにグレンへとぼやく。なにせ現在時刻は、午前5時だ。集合時間は、午前6時じゃなかったか?


 「おそらくだが、今回の護衛依頼を受けたパーティーの中でランクが1番下なのは、俺達だからな。そんな下の俺達が時間ギリギリに行くっつうのは、印象悪いだろ?だからだよ」


 「はぁー、そういう事か」


 1番の下っ端だからこそ、早めに行って真面目やってますアピールをするって事か。と何となく納得した。だが眠いものは眠い。


 「もう30分遅くてもよかったんじゃない?」


 「俺も最初はそう考えたんだが、見た目が見た目だからな」


 「ん?どういう事?」


 何故ここで見た目の話?


 僕は、首を傾げながら何の気無しにパーティーメンバーを見回す。


 「年齢と装備がな。俺達のパーティーは、見た目が若え。とくにメイなんかガッツリ子供だ。どう考えても侮られる」


 肩をすくめてグレンが理由を語る。


 確かに、全員若い。グレンは20歳くらいに見えるが、実年齢は19歳だ。ルチルも19だっけ?あれ18か?まぁどっちでもいいが、彼女ももう少し下に見える。


 僕の見た目は、大体16歳くらいだ。そしてメイは、13歳程度。うん。どう見てもお兄さん引率の少年少女パーティーだな。


 「見た目が若えだけならまだいいが、装備が良すぎる。全員が魔剣や魔杖持ちだぞ?成金パーティーに見えねぇか?」


 「見えるかも」


 見た目が若く弱そうなのに、装備は凄いのを持ってる。見た目だけなら侮られるだけだが、装備を含めると羨ましがられるだろう。


 (いや、羨ましがられだけですめば良い方か。場合によっては、パーティー間での余計な対立が生まれる可能性もある)


 なんとも面倒である。


 「だから早めに行って、商会と護衛リーダーを味方につけんのさ」


 「なるほどなぁ。色々考えてるんだな」


 「この面子だからな」


 面子の部分が何やら含みのある言い方だったが反応しないでおこう。グレンも同類だぞ?魔剣持ってるんだから。







 そうして、商会に向けて薄暗い町中をえっちらおっちら歩くこと10分。ルチルが前方を指差しながら声を上げた。


 「あ、見えてきましたよ」


 声に反応し、ルチルの指先が示す方へと視線を向ける。


 3階建ての大きな建物があった。


 「大きいな」


 「儲かってそうだね」


 僕の素直な感想とは違い、メイの感想は何ともストレートだ。まぁ儲かってそうだけど。


 建物の高さ自体は、3階建てと他でも見るくらいの高さだ。だがこの商会支部は、上ではなく横に広かった。


 広大敷地面積の半分が、支部であろう3階建ての建物で埋まっていた。もう半分は、倉庫っぽい建物や馬場になっている。


 敷地の面積は、正直わからん。カルヴァースの領主館くらいはあるかな?これだけの土地を確保しているのだ、大手というのは伊達ではないのだろう。


 「おい、行くぞ」


 「あ、ごめん」


 口を半開きにして眺めていた僕に、グレンが声をかけた。向かう先は、支部の裏手にある馬場だ。そこが集合場所になっている。


 建物の横を通り、裏手に回る。するとすぐに6台の大きな馬車が目に入った。


 「あれが護衛する馬車か。僕らは乗れないんだっけ?」


 「ずっとでは無ぇがほぼ乗れねぇな。基本は並走だ」


 「そりゃ、大変そうだ」


 一応交代で馬車に乗ったりはするらしい。だがグレンの言う通り、基本的には護衛する馬車に並走する形になる。


 僕達が馬車へと向かっていると、積み込み作業をしていた従業員らしき男性がこちらに気付いた。


 「あ!今回の護衛依頼を受けた冒険者の方々ですか?」


 大声を出し、僕達を誰何してきた。


 僕達は、場所から少し離れた場所で足を止めると、返事は任せたとばかりにグレンへ視線を向ける。メイとルチルもグレンを見ていた。頑張れリーダー。


 視線に気付いたグレンは、押しつけやがってとでも言いたげな表情を浮かべると「はぁー」と深く溜息を吐く。だがすぐに表情を戻し、従業員らしき男性に向き直った。


 「そうです!Cランクパーティーの自由なる庭園(フリーダムガーデン)です!」


 印象を良くするため、グレンが丁寧な言葉で返した。


 パーティー名に聞き覚えがあったのだろう、従業員らしき男性は「少々お待ちください!」と言って馬車の裏側に走っていった。


 「何だろう?あ、責任者でも呼んでるのかな?」


 「たぶんそうじゃないかな。って言うか、まだ他の冒険者は来てないっぽいね」


 「まだ早いですからね。もう少ししたら来るんじゃないですか?」


 グレンの体に隠れるようにしながら、僕らは小声でコソコソと話す。本当は黙って待っている方がいいんだろうが、眠気が凄すぎて無言だと立ったまま寝そうだった。


 メイが言うように、他の冒険者の姿は見えない。その代わり、商会の私兵みたいな者達ならば10人ほどいた。あの人達も一緒に行くのだろうか?


 そう思って私兵達を観察していると、グレンが声をかけてきた。


 「おい、そろそろ静かにしろ。来たぞ」


 僕達は、ピタリと口を閉じる。そしてすぐにグレンの後ろに整列する。責任者らしき人が近寄って来ているので、どう考えても今更なのだが、それはそれだ。ちゃんとしてますアピールだ。


 ババっと並び立ち、責任者らしき人を確認する。


 (ん?)


 先頭には、先ほどの従業員らしき男性がおり、その後ろに私兵2人を左右に携えた恰幅の良い男性の姿が見えた。


 真っ直ぐに僕達の前までやってくると、従業員らしき男性が口を開く。


 「お待たせしました。こちらは、今回の護衛依頼の責任者兼護衛対象のモッサリヤン商会長です」

すいません。

都合により次回の投稿は

1日延びて月曜日となります。


それではまた。

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