表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
204/251

203 二つ名持ち達

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 「ノースト大陸で有名な方だと、全破壊(フルブレイク)嵐刃(らんじん)煌閃姫(こうせんき)驟雨(しゅうう)骸面(がいめん)二撃死(アナフィラキシー)防護否定(ノーガード)ですね」


 一気に7人出てきた。それ全部Aランク?


 「結構多いね」


 そんなにいるのか。


 「そうですね。と言ってもアクエリアスだけではなく、ノースト大陸の二つ名持ちですので多いかどうかは、ちょっとわからないです。このくらいじゃないんですか?」


 「ああ、そっか」


 この国だけじゃなくて、大陸でだもんな。なら、少ない・・・のか?わからん。


 その辺どうなのか、メイとグレンに聞いてみた。


 「普通じゃないかな?」


 「ああ、大概そんくらいだ」


 普通らしい。


 ふむ、最初は多いと思ったが、よく考えたら少なく感じてきたな。あ、今のはAランクの二つ名持ちか。別にAランク全員が二つ名を持ってるわけでも無いよな。それにBランクにもいるらしいし。


 まぁ多い少ないは、よくわかんないから別にいいか。


 「そうなんだ。それで?その二つ名持ちの人は、どんな人なんだ?」


 全破壊だ、骸面だ、二撃死だと物騒な名前だけど。


 僕の質問にルチルは、「私もそこまで詳しくありませんが」と前置きをし、わかる範囲で教えてくれた。


 「全破壊と呼ばれている人は、アクエリアスをメインに活動する人間の男性ですね。普通より大きいガントレットを着けて、殴って戦う人です。二つ名の由来は、攻撃の威力が高すぎて、魔物がぐちゃぐちゃになってしまうからだったはずです」


 二つ名が物騒だなぁと思っていたら、本当に物騒だった。


 「え?ぐちゃぐちゃ?」


 「はい。魔物の体がほとんど全損の状態になって、素材が全く取れないほどだそうです」


 「えー、怖っ・・・」


 パンチが大砲か何かなのかな?


 とんでもない人がいるものだと思っていると、他の二つ名持ちについての説明が続く。


 「嵐刃さんは、長剣の二刀流と旋風魔法を使う男性です。剣と風の刃を合わせた戦闘スタイルが基本ですね。剣速が凄い早いのが有名です」


 なるほど、戦闘スタイルが由来か。嵐刃ね。嵐みたいに斬撃がいっぱいなんだろうな。


 「あ、嵐刃さんは狼獣人さんですね」


 「ほぉー、獣人か。獣人の人とは話した事ないな」


 そういえば、見たことはあっても話した事は無いな。ぜひ話してみたいな。


 「煌閃姫さんは、閃光魔法を使う女性の魔法使いです。一応レイピアを持ってますが、ほぼ魔法ですね。とにかく光線を撃ちまくる人です。光線マニアとか言われてますね」


 「またクセの強い人だな・・・。光線ばっかり撃つから煌閃姫なのか」


 「あ、いえ、それもありますが一番の理由は、光線の撃ち過ぎで凄い光ってるからです」


 理由を聞いて体がガクッとしかけた。


 なるほど光線マニアか。クセが強いな。


 「驟雨さんは、弓使いのエルフの女性さんです。水と風、雷魔法を使いながら雨のような矢で攻撃するのが得意な方ですね」


 「エルフかぁ。エルフも遠目からしか見た事ないなぁ」


 「綺麗な方でしたよ」


 「そうなの?はっ!?」


 隣から物凄い圧がきた。


 圧の発生源へ、そっと視線を向ける。


 「そうなのって、なに?」


 無表情のメイがこちらを見ていた。声に抑揚が一切無い。目のハイライトが消えている。


 「・・・た、ただの感想だ」


 声が裏返りそうになったが、なんとか抑えた。


 「そう?ならいいけど」


 メイがにっこりと音が聞こえそうな笑顔を浮かべる。


 言外に「浮気か?」と釘を刺されたような気がした。しませんよ、死にたくないから。死なないけど。


 「・・・あの?続きいいですか?」


 「ああ、ごめん。いいよ」


 説明の途中だった。


 視線をメイから無理矢理外し、ルチルに戻した。


 「・・・こほん。では続けますね。次は、骸面さんですね。この方は常にドクロの面を着けた男性です。高ランク冒険者の中では、かなりの常識人ですね。見た目以外は」


 二つ名通りの見た目らしい。だが常識人?嘘だろ?


 「本当ですよ。王都で何度かお会いした事がありますが、凄い礼儀正しかったです。見た目は怖いですけどね」


 本当だった。ある意味クセが強いな。


 「武器は?」


 「ガントレットと一体化したハンドクローですね。あの爪みたいな武器です」


 「ああ、武器屋で見た事あるな」


 ハンドクローは、手の甲に短剣くらいのサイズの刃が付いた武器だったはずだ。かなり人を選ぶ武器だろう。てことは、骸面って人は近接系か。


 「二撃死さんは、竜人族の男性です。長槍使いですね。同一箇所を連続で突いて防御を貫通する、という戦い方が特徴です」


 「ん?どういう事?」


 狼獣人やエルフの時と同様に、竜人かぁ。と思っていると、よくわからない戦闘スタイルが聞こえた。同一箇所を連続?防御貫通?


 「魔槍のアビリティだそうです。一度目に突いた箇所をほとんど誤差無しにもう一度突くと、二撃目の時は相手の防御力が極端に下がるんだそうです」


 「ああ、そういうことか」


 ルチルの説明を聞いて何とか理解した。


 一撃目は印付けで、二撃目で防御ダウン効果の発動。という感じなのだろう。言ってみれば簡単な効果だ。発動方法がかなり大変だが。


 ほとんど誤差無しはキツイな。魔物だって動くんだ。どう考えても簡単じゃない。かなりの技量が求められる。


 「なるほど。それ故の二撃死か」


 二撃目で確実に倒す。という意味の二つ名というわけだ。


 「最後は防護否定さんですね。この方は、人間の男性さんです。私は、この方が一番クセが強いと思ってます」


 前を歩くルチルが、何やら困ったような笑みを浮かべてこちらを振り向いた。


 他も十分クセが強いと思うんだけどなぁ。


 「どんな人なんだ?」


 「装備を着けない人ですね。戦闘は素手による格闘で、常に上半身裸です。アクセサリーも付けてないですね。とにかく声が大きくて、ムキムキで熱苦しい人です」


 なんだそれ?つか後半はなに?


 「素の肉体のみってこと?」


 「そうです」


 なるほど。武器防具にアクセサリーも無しな上に、上半身裸。声がデカくてムキムキ。説明だけで熱苦しいな。


 「ちょっと、お会いしたくないなぁ・・・」


 勝手な想像だが、なんか汗まみれで抱きついてきそうな気がした。


 「私もです。悪い人ではないんですけどね・・・。絡まれると長いので・・・」


 ルチルの困ったような笑みが、どんよりしたものに変わった。


 ああ、なるほど。絡まれたんだな。


 「王都を拠点にしてる方なので、行った時は気をつけましょうね」


 「そうだな」


 僕とルチルは顔を見合わせ、うんうんと頷き合う。


 もし絡まれたら・・・。グレンを生贄にしよう。


 「・・・俺を生贄にする気だな?」


 ルチルの隣で話を聞くだけだったグレンが、振り返るとジトッとした目でこちらを見る。


 バカな!?何故バレた?口に出してないのに!


 「・・・気のせいだろ?」


 真剣な表情を貼り付け、グレンを見返す。あくまでも気のせいだと思ってもらわなければ。


 グレンが僕の顔をじっと見つめる。


 「もし絡まれたら、お前だけは逃さねえからな」


 「嘘だろ?」


 そこはせめてパーティー全員にしようよ。仲間だろ?


 「俺を生贄にしようとしといてよく言うぜ。絶対逃さねえからな」


 どうやら逃してはもらえないようだ。


 ああ!どうか防護否定さんには、出会いませんように!!

また明後日。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ