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レゾンデートル  作者: 星街海音
聖人と聖女と聖剣
201/251

200 戦利品回収

祝!200話です!!


宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 「碌なものがないなぁ」


 目の前にある箱やら何やらをガサガサと漁る。


 「武器や防具なんかは自分達で使って、食い物系はあいつらが食ったんだろ」


 「それにしたって何もないぞ」


 グレンの言葉に、何か良い物があるんじゃないかと期待していたナインは不満の色を浮かべる。


 現在、森の中にある盗賊のアジトを物色中だ。


 見張りで残っていた盗賊2人は、遠距離からあっさりと倒した。その後、ここまで案内をさせたリーダーっぽい男を再度尋問し、他にアジトは無いか、まだ仲間はいるかどうかの確認をした。


 どうやら他のアジトも仲間もいないらしいので、リーダーっぽい男も処刑済みだ。これで盗賊は全て討伐したことになる。依頼達成だ。


 盗賊の所持品は、討伐者のものになる。なので、僕とグレンで漁っているという訳だ。


 メイとルチルは、周囲の確認と盗賊の死体の処理をしている。アジトにある汚れた物には、触りたくないらしい。盗賊の死体も汚いと思うんだけどなぁ。


 「いらないものとか使えないものは、ここで処分してくんだっけ?」


 「ああ、下手に残すと魔物が持ち去ってくからな。アジト自体も潰すぞ」


 「了解」


 アジトには、木材や食器、ボロボロな布などが散乱している。グレンが言うようにこれらを下手に残すと、ゴブリンやコボルトみたいな二足歩行の魔物が持ち去り、巣の材料や武器にしたりする。アジトも同様だ。持ち去りはしないが、そのまま巣にしたりする。なので全て潰さなければいけない。


 (うへぇ・・・、汚い)


 汚れていない物は無いんじゃないかと思えるほど、アジトにある物は汚かった。


 正直、使えそうなものはまったくと言っていいほど見当たらないので、ほとんどが焼却処分になりそうだ。


 「お!良いもんあったぞ」


 そうして10分ほどガサガサと漁っていると、グレンが少しだけ嬉しそうな声を上げた。


 「何だ?何があった?」


 気になった僕はグレンに近づく。彼は、手のひらより少し小さい銀色の物体を持っていた。形は丸く、ちょっと平べったい。同色の鎖も付いている。


 「それ何だ?」


 「魔道具の懐中時計だ。しかも銀製だな」


 「ほう?」


 見つけたのは銀製の懐中時計だった。魔道具と言っているので、魔石で動いてるのだろう。それはわかったが、何故これが良い物なのかがわからなかった。


 表情に疑問符を浮かべる僕に気付いたのか、グレンが教えてくれる。


 「魔道具の時計っつうのはな、作るのは難しくねぇんだよ。技術は必要だが、魔道具作製スキルと、細工か鍛治のスキルがある程度あれば作れるらしい」


 だがそれで作れるのは、人の顔くらいのサイズなんだとか。


 こういう懐中時計のような小さいサイズを作るには、もっと高い技術と高レベルのスキルが必要になるらしい。


 「高い技術と高レベルのスキルが必要になる。つまりは貴重で高いっつう事だ。これなんか、普通に買おうとしたら4、50万トリアくらいすんぞ」


 「マジで?めっちゃ高いじゃん」


 「銀製ってのもあっからな」


 なんでも、銀は霊体系の魔物に対する魔除け効果があるらしい。効果自体はそれほど高い訳ではないが、装備扱いとならずに効果を発揮する物のため、銀製のアイテムは、街の外に出る事が多い冒険者や商人に人気があるらしい。


 「なるほど、だから高いのか。本当に良い物だな」


 「ああ、これ1個で今回の依頼は、大幅な黒字だ。それに時計持ってなかったからな。買わなくて済む」


 確かに黒字も黒字だ。売って現金にするつもりは無いが、買わなくて済むのは助かる。


 あれ?でも魔道具なんだよな?それなら・・・


 「ルチルなら持ってるんじゃないか?」


 「持ってねぇって言ってたぞ。欲しかったらしいが、高くて買えなかったみてぇだ」


 お金が足りず、ずっと買えなかったらしい。


 僕は、数日前のルチルの姿を思い出した。


 「・・・全自動魔道缶切りとか買ってる場合じゃないだろ」


 缶切りより絶対時計の方が必要だろうに。


 趣味人の思考はよくわからない。という事だけはよくわかった。







 その後、15分ほどでアジトの物色を終えた僕とグレンは、メイとルチルの元へと戻った。


 「お疲れ様。どうだった?」


 掘られた穴の前にいたメイが振り返る。どうやら死体の処理は粗方終わったようだった。焼却していた穴の中の炎は鎮火し、薄く煙を上げている。人が焼けた嫌な臭いがするが、まぁしかたないだろう。


 ちなみに臭いは、ルチルが風魔法を使って上空に散らしている。そのままにすると魔物が寄ってくるからな。


 「これしかなかったよ」


 ポケットから銀の懐中時計を取り出す。


 鎖が垂れるチャラリという音に反応したのか、ルチルが振り向き、僕の手元を見た。


 「あ!もしかして、魔道懐中時計ですか!?ああ!しかも銀製!」


 ズドドドド!!と音を立て、ルチルが突っ込んで来た。怖い怖い!!


 「う、うん。そう、はい・・・」


 魔道具マニアの魂に火が付いたらしい。


 いきなりの突撃に若干引いた僕は、頷くとすぐに彼女に手渡した。


 「うわぁっ!!凄い!しかも綺麗ですね!」


 「本当だ。これ1個で十分なレベルの戦利品だね」


 懐中時計を見るルチルとメイは、先程僕達が話したのと同じようなことを口にする。


 グレン言うには、基本的にDランク依頼の盗賊だと大した物は持っていないらしい。大概は、行商人から奪った食料や布、小物がメインなんだとか。


 「ですね!うへへ、中見てみたいなぁ・・・」


 「分解はダメだよ」


 メイも言ったが、流石に分解はやめてもらいたい。ルチルの事だから元に戻せないという事もないと思うが、万が一がある。それに高価な品だからな。どうしてもしたいなら、実費で購入した物にしてくれ。


 「おい、そろそろここの片付けすんぞ。まだ時間はあるが、ゆっくりしてたら日が暮れる」


 おっと、そうだな。何だかんだでそれなりに時間が経っている。


 「だな。おーい、片付けするぞ」


 僕は、懐中時計に夢中になっている女子2人に声をかける。2人は、わかったーと返事をすると、すぐに片付けを開始した。


 さてと、それじゃあ始めるか。えーと、どうせ全部燃やすんだから、とりあえず崩して穴に放り込めばいいかな?


 「イマジナリーアーム」


 アジトに使われている布や木材に触りたくない僕は、生み出した2本の魔力の腕で強引に解体を始める。


 こういう時に便利だな。この腕。もっと増やせないかな?


 ガラガラとアジトを崩しながら、僕はどうすれば3本目の魔力の腕を出せるのだろうかと、色々と試していった。

自宅に小さいホワイトボードがあるのですが

それほど使用していないのにペンが出なくなってしまいました。

インクが乾いたのでしょうか?



次の更新ですが、作者都合によりお休みさせていただきます。


次回は来週火曜日です。

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