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レゾンデートル  作者: 星街海音
序章
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001 ハローワールド

 風の音が聞こえる。


 木々が揺れる音も聞こえる。


 閉じた瞼の裏には光が瞬いている。


 寝起きの頭のような感覚で音と光を捉えた。

背中も冷んやりしている。

どうやら僕は冷たくて硬い何かに座っているらしい。


 ずっとずっと、とても長く眠っていたような気がする。

と同時に僕の頭はもうそろそろ起きろと言っているような気もする。


 正直起きるのが面倒くさい。

脳がまだ中途半端なせいで寝起き状態だ。

二度寝したい。


 それでも周りも気になる。

いまいち状況がわからないし。


 よし!っと気合いを入れてゆっくりと重い瞼を持ち上げていく。


 少しずつ目を開いていくとすぐに僕の視界に光が入った。


 めっちゃ眩しい。

なんだか久しぶりに光を見た気がする。


 僕は少しだけ目を細めて目を光に慣れさせ、またゆっくり瞼を上げる。


 どうやら僕は石造りの建物の中にいるようだ。

そして最初に視界に飛び込んできた光は、正面にある開口部から入ってきたものみたいだ。


 首をまわして建物内を見る。


 何もないな。それと四角い。

四角い建物にドアの無い出入り口。遺跡にしては小さいし、なんだここ?


 二、三分ほど周りを見回してから改めて正面の出入り口に視線を戻す。


 とりあえず座っていても仕方ないし外に出てみよう。


 まず足に力を入れてみる。

問題なく動くな。じゃあ立ってみよう。


 グッ!と力を込めて立ち上がる。

ふらついたりすることもなくしっかり立ち上がることが出来た。


 出入り口に向かって足を踏み出す。

三歩ほど進んだところでふと後ろ振り返ってみた。


 建物と同じ石造りの椅子があった。

いや、正直言って玉座みたいだ。装飾とかまったくないけど。


 あれに座ってたのか。

それだけ確認するとまた視線を正面に戻し、出入り口に向かう。


 出入り口に到着し、そのまま通り抜けようと進み続けた瞬間、また視界を光が眩ませた。


 とっさに右手で目を覆い、数秒待って手を下ろす。


 外には大量の緑色があった。


 首ごと視線を左右に向けて周囲を確認する。

どうやら建物から十メートルほどは草地で、その先はずーっとずーっと森のようだ。


 次に上へと顔を向ける。

雲一つ無い青い空が見える。とても綺麗だ。


 そしてゆっくりと顔を正面に戻す。


 これはまずいのでは?

正直、外に出るまでにもなんとなくだが感じていた。

だけど状況がわからないことの方に思考を持っていかれていた。

いまいちわかんないとか思ってたしね。

だけど今、やっと僕はわかった。


 いや、わかってはいないな。


 だって。







 「僕は、誰だ・・・?」

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