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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
180/251

179 グレンとルチルが選んだ物

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 「俺でいいか?」


 「いいよ」


 メイが話題を変えたがっているのがわかっていたナインが、すぐに許可を出す。グレンは、マジックバッグからアイテムを三つ取り出し、テーブルの上に置いた。


 皆が置かれたアイテムに視線を向ける。


 「小手とブーツとネックレスか。武器は無いんだな」


 「炎剣以外持つ気は無えからな」


 「なるほどね」


 グレンが炎剣に並々ならぬ愛着を持っているのは、何となくわかっていた。暇さえあれば手入れしてたからな。確か、祖父から貰った物だと言ってたっけ。宝物なんだろう。


 「んじゃまずコイツな。コイツは、操重の小手っつう防具だ。武器重量操作っつうアビリティが付いてる」


 言いながらテーブルに置かれた、黒に黄色の縁取りがされた小手を手にするグレン。ステータスが気になったナインは、小手に鑑定を使用した。




操重の小手

等級:A

種別:小手

属性:地

アビリティ:<武器重量操作>

耐久値:920/920




 予想通りAランク装備だ。地属性が付いているが、これは武器重量操作というアビリティが、重力魔法の効果を持っているからだろう。あれは地属性魔力を使用しているからな。


 アビリティの効果は、名称通りだろうと予想していると、グレンが簡単に説明してくれた。


 「このアビリティは、魔力を使って装備した武器一つの重量を、重くしたり軽くしたり出来るもんだ。加重は最大で二倍、軽減は半分までだな」


 「へぇー、グレンみたいな大剣持ちには、相性が良いね」


 「ああ。移動時は軽くして速度を上げたり、振り下ろしの瞬間に重くして威力を上げたりとか出来るからな」


 重量級武器使いとの相性が抜群な装備なようだ。グレンの攻撃力が大きく上昇した事だろう。


 「そんじゃ次だ。次はコイツだな」


 操重の小手をテーブルに戻したグレンは、灰色に緑色の模様が入ったブーツを持ち上げた。模様がどこか風のようにも見える。おしゃれブーツだ。


 「コイツは、縮地のブーツだ。名前の通り縮地っつうアビリティが付いてる。効果は縮地スキルと同じだ」


 「縮地?」


 「瞬歩のスキルが進化したスキルの事だよ。瞬歩よりも早く移動できるスキルだね」


 聞いた事が無く首を傾げてると、メイが教えてくれた。なるほど、瞬歩の進化スキルか。確か、使用すると一瞬だけ移動速度を上げるスキルだったはずだ。


 「スキルと同じ効果を持ったアビリティか。凄いな」


 そう言ってブーツに鑑定を使用する。




縮地のブーツ

等級:A

種別:ブーツ

属性:風

アビリティ:<縮地>

耐久値:910/910




 やはりこれもAランク装備だった。そりゃそうか。水虎の長剣の水纏のような、魔法の中の一つと同じ効果を持つアビリティとは違い、スキルと全く同じ効果を持ったアビリティなのだ。Aランクなのも当たり前と言えよう。


 「これを使えばAGIが低くても移動速度を上げられるからな。足が遅え俺には、ぴったりな装備だと思ってよ」


 話に聞いたグレンのステータスは、STRが突出して一番高く、二番目にVIT、三番目がDEXとAGIらしい。大剣使いらしいステータスと言えるが、グレンが言うようにAGIが低いせいで足が遅い。大剣の重量も加算されるので尚更だ。それ故に、このブーツを選んだのだろう。


 「なるほどねぇ」


 「それに、スキル枠を使わないでスキルを一個増やしたようなもんだからな。その辺も含めて良い装備さ」


 そう言って彼にしては珍しく、ニヤニヤした表情を浮かべた。余程嬉しいらしい。笑顔で縮地のブーツを撫でている。中々に似合わない光景だ。言わないけど。


 十秒ほどブーツを撫でて眺めていたグレンは、テーブルに戻すと最後のネックレスを持ち上げた。


 「最後のネックレスは、剛魔のネックレスだ。Aランクアクセサリーで、STRとMGIが上昇する」


 それだけ言うと、説明は終わりだとばかりにネックレスをテーブルに戻した。あとは各自で鑑定しろ。という事なのだろう。




剛魔のネックレス

等級:A

種別:アクセサリー

効果:STR+15・MGI+15

耐久値:800/800




 鑑定を使用し、詳細を確認するナイン。表示された内容は、メイが貰ったイヤリングの性能違いといった感じだ。メイのはAGIで、グレンのはMGIなだけだ。ああ、あと見た目も違うか。


 グレンの場合、炎剣や火炎魔法で魔力を沢山使う。だがMGIのステータスは一番低い。故にSTRだけじゃなく、MGIも上がるアクセサリーを選んだのだろう。


 「さてと、俺は終わりだな。次はどっちだ?」


 「あ、じゃあ私で!」


 グレンの言葉に、ルチルが元気良く手を上げた。どうやら、早く僕達に紹介したい魔道具があるらしい。次はルチルの番となった。結果的にナインが最後になったが、別に何番でもいいやと思っていたので口を挟むことはしない。


 「では一つずつ出しますね。まずは腕輪です」


 ルチルはマジックバッグから腕輪を取り出した。意外にもアクセサリーを選んでいたらしい。全部魔道具なんじゃないかって、ちょっとだけ思ってました。ごめんよルチル。


 「MGIのステータスが上昇するアクセサリーです」


 どうやらメイやグレンが選んだ物とは違い、一つのステータスを上げる物にしたようだった。ナインは鑑定を使い、詳細を確認する。




魔道の腕輪

等級:A

種別:アクセサリー

効果:MGI+30

耐久値:800/800




 魔力版脳筋みたいなアクセサリーだ。一つしか上昇しない代わりに数値が倍だ。まぁ結局、合計数値は同じなんだけど。


 魔法をメイン、というか魔法しか使わないルチルにはぴったりのアクセサリーだ。かなりの火力アップになる事だろう。


 「それじゃあ次に行きますね。次は杖です」


 そう言って腕輪をしまったルチルは、すぐさまバッグから長杖を取り出した。


 中々に面白い見た目をした杖だ。杖の先端に、拳よりも大きい銀色の丸い玉が付いており、それを囲うように白と黒の輪が二つ浮いている。そう、浮いているのだ。何だこれ凄いな。不思議杖だ。


 というか、杖も貰ってたんだな。魔道具好きなのに我慢したんだろうなぁ・・・。


 「還元の長杖です。アビリティはシンプルで、魔法使用時に魔力を三割回収する。という物です」


 「おー。魔法使用時限定っていう制限があるけど、ルチルにはデメリットにならないね!ぴったりじゃん!いいねいいね。」


 「はい!」


 メイの言葉を聞き、確かにと納得したナインは、鑑定で杖の詳細を見る。




還元の長杖

等級:A

種別:長杖

属性:無

アビリティ:<魔力還元>

耐久値:870/870




 何の属性なのかと思ったら、無属性だった。なるほど、だからちょっと変わったアビリティなのか。


 「寧ろ制限のおかげで効果量が高くなってるから、ただただ便利な杖って感じだね」


 「そうですね。純魔法使い限定装備といった杖ですね」


 どうやら、魔法に限定されているお陰で効果量が高くなっているらしい。限定されて無い場合はどのくらいなのか、メイに聞いてみたところ、「多分良くて二割か一割半じゃないかな」という事だった。かなり下がるな。


 不思議杖、じゃなかった還元の長杖を嬉しそうに持つルチルは、「これでいっぱい魔法が使えます!」と、とても良い笑顔で喜びをあらわにしていた。


 そうして杖についての紹介が終わるとルチルは杖をしまい、最後のアイテムの紹介に移った。


 バッグから出す前から、顔がニマニマとしている。早く紹介したい上に、余程手に入れた物が嬉しくて仕方ないらしい。絶対魔道具だ。


 「さてさて、では最後のアイテムです。最後のアイテムは・・・、これです!」


 ドンッ!という音を立てて、テーブルの上に箱が置かれた。


 見た目は、革張りの高級そうな箱だ。サイズもそこまで大きくない。五十センチ四方くらいだ。あとは、上面に無属性の魔石が付いている事くらいか。


 あえて鑑定は使わず、何だろうこれ?と箱を眺めていると、メイが驚きの声を上げた。


 「うえぇっ!?これ、アイテムボックスじゃん!」


 「流石メイさん!正解です!」


 驚くメイに、ルチルが更に嬉しそうにしながら正解と答えた。アイテムボックスという名前を聞いても、ナインにはさっぱりわからない。だがグレンは違ったようだ。


 「なに!?アイテムボックスだと!?あったのか!?」


 どうやらグレンは、これが何かわかるらしい。二人の反応から、この箱がとんでもなく貴重な物だという事だけわかった。


 「はい!もう見つけた瞬間すぐこれを貰おうって決めました!うふふふ・・・」


 グレンに答えたルチルは、ニンマリとした笑みを浮かべてアイテムボックスを撫で始めた。


 一人取り残されたように感じたナインは、鑑定を使いつつアイテムボックスとは何か聞いてみた。




アイテムボックス

等級:B

効果:空間収納(0/240)

耐久値:3000/3000




 鑑定結果を見たナインは、その内容から性能を把握する。それと同時にアイテムボックスについて、ルチルがそれはもう饒舌に語ってくれた。


 アイテムボックス。それは、言ってしまえばマジックバッグの箱バージョンだ。だが違うところがいくつかある。その一つが、誰でも使用可能である。という点だ。マジックバッグであれば、使用者登録がされているので他人が中を確認したり、物を取り出したりする事は出来ない。だがアイテムボックスは違う。使用者登録というものが無いため、誰であっても使用可能なのだ。


 そして次に、このアイテムボックスは、マジックバッグに収納可能である。という点もあった。この利点のお陰で、持ち運びが楽になるのだ。


 収納量に関しては、リュックタイプのマジックバッグと同じ容量だ。このアイテムボックスはBランクなので、収納量は240個までとなる。かなりの容量と言えよう。


 そして最後に、何故みんなが驚いていたのかだが、これはアイテムボックスという魔道具の入手方法が故だった。


 「このアイテムボックスは、マジックテントと違って作製方法が存在しない魔道具なんです」


 作製が出来ない。では何故存在するのか。どうやって入手するのか。答えは、単純明快だ。ダンジョンの宝箱から入手する。である。もちろん、どのダンジョンでもいい訳ではない。アイテムボックスが出るのは、Aランク以上のダンジョンの下層以降だ。しかも超低確率らしい。数十年に一個レベルなんだとか。


 その数十年に一個レベルの超絶レア魔道具が、目の前にある。


 「・・・ヤバ」


 どう反応していいかわからず、ボソリと呟く事しか出来なかった。


 「はい、ヤバいんです」


 わかってくれて良かったです。と言いながら、アイテムボックスを撫で続けるルチル。笑顔と撫でる手がずっと止まらないが、そりゃそうもなるかと納得するナイン。普通じゃ絶対に見ることすら叶わない。それくらいレアアイテムなのだから。


 「・・・貰って大丈夫なのか?」


 これ程のレアアイテムだ。本当によかったのか?あとでやっぱりそれはダメとか言われないか?と心配するナイン。だがルチルは、そんなナインの心配に対して、「大丈夫だと思いますよ」と答えた。


 「ちゃんとパウエルさんに確認も取りましたし、パウエルさんも『アイテムボックスですね。かしこまりました』て言ってましたから」


 パウエルさんは二つ返事で了承したらしい。なら、大丈夫。かな?たぶん。わからん。


 「そっか。なら大丈夫だと思っておくか」


 「はい!」


 ナインが納得した事に、ルチルは嬉しそうな声で答えた。


 そうして彼女の番が終わり、最後のナインの番となった。


 「それじゃあ最後は僕だな」

カバンの中にあった手鏡を開けると

2ヶ月前に採った四つ葉のクローバーが入ってました。

カッサカサに干からびてました。


また明日。

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