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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
179/251

178 メイが選んだ物

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


 一人三つのレアアイテムを選び終えたナイン達は、部屋に戻ってくると早速それぞれが選んだ物の話になった。


 「で?何選んだ?」


 全員がソファーに座ると、ナインは皆に声をかける。


 「いきなりだな。まぁ気持ちはわかっけどな」


 「私も気になる!」


 「私もです」


 グレン達も、それぞれが選んだ物が気になるらしい。良い物を手に入れられたのか、皆の顔は、晴々とした笑顔だ。


 褒賞選びには、一時間ほどかかった。ナインが一番早く、二番目は意外にもルチルだった。てっきり魔道具選びと鑑賞に時間がかかると思っていたので、正直予想外だった。


 驚きつつも、『早かったね。ゆっくり見なくてよかったのか?』と聞くと。『我慢出来なくなるので・・・』と言い、血涙でも流すんじゃないかと思えるような堪えた表情を浮かべていた。


 ちなみに三番目がメイで、最後がグレンだった。選ぶのが早そうなグレンが最後だったのには結構驚いた。だが、なんだかんだ言ってこの四人の中で一番真面目なのはグレンだ。おそらく、今後を考えてじっくりと選んできたのだろう。何を貰ったのか見るのが楽しみだ。


 「まず誰から出す?」


 「私!」


 「じゃあメイからで」


 「はーい!私が選んだのは、この三つです!」


 元気良く手を上げたメイが最初となり、お菓子ばかり入ったマジックバッグから三つのアイテムを取り出した。


 テーブルの上に置かれたアイテムは、長剣、イヤリング、そしてよくわからない円柱状のものだった。


 最初の二つは、魔剣とアクセサリーだとわかる。選ぶ時にどっちも見たからな。だが最後の円柱状の物は、見た記憶が無いため何かわからない。長さが長剣程もあり、そこそこな大きさをしている。


 何だろう?と首を傾げていると、向かいに座るルチルが目を輝かせていた。その様子を見て、ああ、これ魔道具なのか。気付いた。ルチルがあんな反応をするという事は、かなり良い物なのだろう。


 「それじゃあまず剣からね」


 そう言ってメイは、テーブルに置かれた黒い刀身に赤いラインが入った長剣を手にする。


 「名前は、魔吸剣って言って、攻撃に魔力吸収効果を付与するアビリティを持った長剣だよ」

 

 コレクションルームに長剣は十本あり、全て確認している。それ故に、ナインはその性能を把握している。だが改めて鑑定を使う。




魔吸剣

等級:A

種別:長剣

属性:闇

アビリティ:<魔力吸収付与>

耐久値:1050/1050




 メイが手にする魔吸剣は、闇属性のAランク魔剣だ。所持するアビリティは、<魔吸付与>。自身のあらゆる攻撃に魔力吸収効果を持たせる事が出来るという凄まじいアビリティだ。もちろんちゃんと制限もあり、一度の攻撃で吸収出来る魔力は、与えたダメージの一割だ。それでも十分多いけどな。


 「ちなみにこれ、たぶんだけど進化武具だよ」


 「何!?何でわかんだ!?」


 驚いたグレンが勢いよく立ち上がる。うおぅ!びっくりした。


 進化武具とは、強化することによって見た目が変化し、アビリティが進化、増加する武具の事だ。もちろん攻撃力や防御力なんかも上昇する。希少なレア武具の中でも、ごく一部しか存在しない。


 そして、何故グレンが『何でわかんだ!?』と驚いたのか。その理由は、鑑定で調べても、ステータス画面に進化武具かどうかの記載が無いからだった。そう、普通はわからないのだ。


 「長く生きてきたが故の経験と直感だね」


 そう言って自信満々の表情を浮かべるメイ。対してグレンは、その理由に納得がいかないのか、何かを口にしようとする。だが上手く言葉が出ずに、ただ口をパクパクと動かすのみだった。見かねてナインが口を挟む。


 「・・・理由になってなくない?」


 結局は勘だろ?


 「勘も中々バカに出来ないんだよ?」


 「いやまぁ、そうだけど・・・」


 何で言い負かされそうになってるんだろう。と疑問に感じながら、ナインは改めてメイに確認する。


 「メイが思う進化武具である確率は、どのくらいだ?」


 「九十パーセントだね」


 「めっちゃ高いじゃん。だからそれにしたのか?」


 「それもあるけど、やっぱりアビリティの良さだね。今の私は魔力が少ないからさ。回復手段は出来る限り多い方がいいんだよ」


 なるほど。と納得する。今のメイは、Cランク魔石なのでMPは34000程だが、既に手入れているBランクを使えば10万になる。とはいえ、この魔力量でも全開戦闘をすればあっさりと枯渇する。僕とメイの燃費の悪さは半端ないのだ。


 「じゃあ次ね」


 それからメイは、魔吸剣をテーブルに戻すと、どこか不満気なグレンを放置して次の紹介に移る。どうやら次はイヤリングらしい。あのイヤリングの見た目と能力は、見覚えがある。というかよく知ってる。だが水を指すのもアレなので黙っておこう。


 魔道具じゃなかったからか、ルチルが目に見えてがっかりしていた。


 「Aランクアクセサリーの、剛迅のイヤリングだよ」


 正直、紹介と説明はこれで終わりだ。なにせステータス上昇効果のみであり、アビリティが付いてる訳では無いからだ。イヤリングのステータスはこんな感じだ。




剛迅のイヤリング

等級:A

種別:アクセサリー

効果:STR+15・AGI+15

耐久値:800/800




 二種類のステータスが15ずつ、合計30も上昇する。今着けているDランクの腕輪は、一種類のステータスが5しか上昇しない。流石Aランクといえる効果だ。


 メイがこれを選んだ理由は、何となくわかる。ステータスを上げ、出来る限り能力制限を小さくしたいのだろう。


 「それじゃあ最後の三つ目ね」


 早々にイヤリングの紹介が終わり、最後の魔道具の番になった。めちゃくちゃ気になっていたので楽しみだ。わざわざ鑑定も我慢してたからな。


 向かいでルチルも、ワクワクとした表情を浮かべている。


 円柱状の魔道具を重そうに持ち上げたメイ。そして良い笑顔を浮かべながら口を開く。


 「よいしょ、っと。これはね、マジックテントだよ」


 「やっぱり!!」


 メイの言葉に、ガタッ!と勢いよく立ち上がったルチルが興奮して叫びだした。え、うるさ・・・。というかびっくりするからやめて。


 「みゃん!!ふーっ!!」


 「あ、ごめんなさい・・・」


 窓際の椅子の上で日差しを浴び、うとうとと微睡んでいたルーチェに怒りの声を上げた。ルチルはすぐにルーチェの側に行くと、誠心誠意謝罪し始める。子猫にしっかりと頭を下げる姿がちょっとシュールだ。


 とりあえず、魔道具が何なのかわかったので鑑定を使ってみる。




マジックテント

等級:B

効果:空間拡張(5mm✖️5mm)

耐久値:2000/2000




 鑑定結果を確認したナインは、記載されていた効果に目を見張る。


 (ん?空間拡張?え?これってもしかして、中が広いのか?)


 空間拡張という効果の後ろに、括弧で長さが記されていた。おそらく、いや間違いなくそういう事なのだろう。ていうか耐久値高いな。


 「あ、ナイン鑑定した?そう、これはね、中が空間拡張されて広くなったテントなんだよ。しかも拡張されてるのは中だけだから、本体は一人用テントサイズという優れ物なのさ」


 「マジか・・・。凄い便利じゃん」


 本体サイズは小さいのか。と驚いていると、ルーチェに謝っていたルチルが戻ってきた。どうやら許してもらったらしい。

 

 「それだけじゃありませんよ。何とこのマジックテント、今じゃ作製方法が失伝した魔道具なんです。なので手に入れるには、ダンジョンや遺跡で見つけるか、オークションなんかで買うしかないんです。ただ絶対数が少ないので、ほとんど見つからないですし、出回らないんですけどね」


 Bランクアイテムですけど、正直Aランク魔剣よりもレアですよ。と付け加えるルチル。どうやらとんでもないレベルの魔道具だったようだ。


 「え!?そうなの!?」


 「何で選んだメイが驚くんだよ・・・。わかってて選んだんじゃないのか?」


 「いや、知らない。初めて聞いたよ。選んだ理由は、単純に広いテントがあれば、野営が楽になるなぁ、って思って・・・。あと値段が高いし・・・」


 「ああ、そう・・・」


 メイのやつ、昔の感覚で選んだんだな?おそらく四百年前は、まだマジックテントの作製方法が失われておらず、世界中にいっぱいあったのだろう。値段については、数があった昔とはいえ、便利なアイテム故に普通に高かったのだろう。となれば今の値段はいくらくらいなのか。正直、想像するのも怖い。


 「作製方法って、今は伝わってないんだ・・・」


 「はい。確か何百年か前に、どこかの国の王が一部の魔道具の技術を独占しようとして、他国の高ランク魔道具師を攫ったり、殺したりしたんだそうです。その後、王は技術の独占に成功しましたが、世界中の若い魔道具師達が王の悪虐非道な所業に怒り、国に攻め入って王を殺し、滅ぼしたんだそうです」


 国が滅んだ結果、色々あって高ランクの魔道具師がいなくなり、マジックテントのような一部の魔道具の作製方法が、完全に失伝した。という事らしい。王は阿呆だ。


 「そうだったんだ・・・」


 「はい。・・・あれ?そういえばメイさんって・・・。あの、メイさん。もしかして、マジックテントの作製方法知ってたりしませんか?」


 メイが遥か昔から生きているというのを思い出したルチルは、もしかしてと思い確認をしてみた。


 ルチルからの確認が予想外だったのだろう。メイの体が、ほんの少しだけビクッと動いた。


 「い、いや。知らないかな」


 絶対嘘だ。と思ったが、面倒くさくなりそうなので余計な口は挟まないことにした。触らぬ神に祟り無しだ。


 「そうですか・・・。残念です」


 「・・・あはは、ごめんね」


 メイの言葉を受け、ルチルが目に見えてガックリと肩を落とす。どうやらメイの様子には気付かなかったようだ。メイは、良かったバレなかったとホッと胸を撫で下ろしていた。


 そうして、この話を続けるのはマズイとでも思ったのか、メイは話題を変えるために「さーて、次は誰が発表する?」と早口で喋りながら、テーブルの上に置かれた魔剣やイヤリング、マジックテントを片付ける。


 テーブルの上が綺麗になると、魔剣の時から無言だったグレンが手を上げた。


 「俺でいいか?」

先月、火曜日に行くといつも閉まっている近くのたこ焼き屋さんに行きました。

その際に、メニューが書かれたチラシを持って帰ってきたのですが、

毎週月曜定休日と書かれてました。

・・・火曜日じゃないの?


また明日。

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