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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
172/251

171 聖剣と勇者

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 「なぁメイ、聖剣の勇者?ってなんだ?」


 猫か羽の髪飾りで悩んでいたメイは、いきなり何?っといった困惑顔を浮かべる。


 「どうして急に聖剣?」


 「いや、なんかノースト大陸のアクエリアスに、聖剣の勇者が現れたって聞こえてきてさ」


 「ん?これから向かう先?」


 「うん。あと、またどうせ偽物だろうとも言ってた」


 聞こえてきた内容をメイに教えると、「ああ、なるほど」と呟き、聖剣と聖剣の勇者についての説明を始めた。


 「まず聖剣っていうのは、この世界に八本だけ存在する、特殊な武器の事だよ。炎とか水とかの各属性に一本だね」


 「ふむ、なるほど・・・。ん?」


 特殊な・・・、武器?


 「剣じゃないのか?」


 聖剣という呼び名なのにも関わらず、メイは武器と言った。説明を始めたばかりであるが、その辺が気になったナインは、どういう事なのか聞いてみた。


 「剣じゃない、と言うより、剣だけじゃないって言う方が正しいかな。その辺りもまた特殊って言われる理由の一つでね。聖剣は、所持者の望む形に変化するんだよ」


 なんでも、基本の形は剣なのだそうだ。だが、それは基本なだけであって、所持者によってその形を変えるのだという。長槍の使い手であれば長槍に、両手斧の使い手ならば両手斧にといった具合だ。ちなみに、槍になっても名称が聖槍とはならないらしい。どんな形になっても聖剣なんだそうだ。


 それからもう一つ、この所持者というのは、ただ手にするだけでなれる訳ではないらしい。聞けば、聖剣には意思があり、その意思が所持者を選ぶんだそうだ。


 「剣が所持者を選ぶのか?」


 「うん。ちなみに、所持者がいない聖剣は見た目が凄い地味だよ」


 「地味?」


 「そう地味。でも、これも理由があってね。聖剣は・・・」


 聖剣なのに地味な理由。それは、所持者無しの時に限り、外見と能力が偽装されているからだった。偽装された状態の聖剣は、ただの鉄剣と大差無い見た目であり、鑑定結果も鉄の長剣と表示されるらしい。


 「所持者が現れれば見た目は、ちゃんと変わるよ。その代わり、所持者以外鑑定出来なくなるけどね」


 所持者が現れると聖剣は、正しく聖剣と言える見た目に変化するらしい。その反面、他者からの鑑定を弾く。所持者大好き武器といった感じである。恋人かなんかかな?


 「さて、それじゃあ次は聖剣の勇者についてだね。勇者っていうのはね・・・」


 聖剣についての説明を粗方終えたメイは、そのまま勇者についての説明に移る。


 勇者とは、聖剣の力を解放した者の事を指す、との事だった。それだけではなく、<勇者>という特殊なジョブでもあるらしい。しかもこのジョブは、現在のジョブに上書きされるものでは無く、セカンドジョブという、唯一の特徴を持つ。つまりは<長剣士>、<勇者>といった具合で、ジョブを二つ持てるのだ。


 「<勇者>のジョブは凄いよ。ジョブレベルが存在しない代わりに、全ステータスが50上がるから」


 ジョブの効果を口にしたメイは、半笑いを浮かべると「意味わかんないよね」と呆れた声を漏らす。


 確かに意味がわからん。覚醒者にならなければいけないという条件があるとはいえ、ジョブを持つだけでステータスが爆上がりするというのだから。しかも全部で50じゃない。STRからMGIまでの各五つのステータスが50ずつ上昇するのだ。合計で250だ。レベル換算すれば25レベル分である。ぶっ飛んでんな。


 次に、聖剣の力の解放とは何か。それは、聖剣の所持者が真の所持者である、覚醒者に至る事により使用可能となる、武器アビリティの事であった。この覚醒者に至る条件は不明であり、過去に数人しか発動した者がいない。


 力の解放。正しくは、聖剣解放という名称なのだが、この聖剣解放を発動すると、神気を帯びた属性が溢れ出し、聖剣と覚醒者を超強化する。<勇者>のジョブで上昇したステータスとはまた別に強化されるのだ。その強化効果は、なんとジョブと同じく全ステータス+50。更に倍である。本当に意味がわからん。


 聖剣解放による、覚醒者の超強化はステータス上昇だけだが、聖剣自体の超強化はまた別だ。溢れ出した神気を帯びた属性によって、聖剣はその姿をまた変化させる。各聖剣によってその変化は色々と異なるが、どの聖剣も共通するのは、その圧倒的威力である。


 何故威力が高いのか。それは神気を帯びた属性の影響だった。この神気とは、言葉の通り神の力であり、そんな神の力は、あらゆる耐性、防御効果を無効化する。という特徴を持っている。つまりどういう事かと言うと、解放された聖剣の攻撃に対して、スキルと装備が無意味になるのだ。


 高ステータス、高威力の攻撃を、生身で受けるようなものだ。普通に死ぬ。


 「と、まぁこんな感じだね」


 長々とした説明を終えたメイは、「喉乾いたから、ちょっとジュース買ってくる」と言ってその場を離れて行った。残されたナインは、何も反応を返せずに立ち尽くす。軽い感じで聞いたつもりが、とんでもない内容だった。

 

 所持者だか覚醒者だかになる条件は、かなり厳しいのだろう。いやそれよりも、聖剣を見つけるところから厳しい。なんせ見た目が鉄剣らしいから。だが見つけ、選ばれ、そして解放出来れば、圧倒的と言えるほどの強さを得る事が出来る。ちょっと強過ぎてズルい気がするけど。とはいえ。


 (・・・ま、僕には縁の無い話だな)


 あまりにも凄過ぎるが故に、徐々に冷静になってきたナインは、自分が聖剣を手にする事は無いだろう。と考える。そしてそれどころか、とくに欲しいとも思わなかった。


 屋台でジュースを買う、メイの後ろ姿を眺めるナイン。すると、先程の聖剣と勇者についての話が聞こえていたのか、グレンとルチルが近づいてきた。


 「なぁ・・・、さっき、聖剣がどうたらって聞こえたんだけどよ。どういう事だ?」

作者体調不良のため、明日の更新はお休みとなります。

申し訳ございません。


次回は月曜日です。

それでは。



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