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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
171/251

170 ジョブ取得

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 「これがジョブストーンか。四角いな」


 ゆっくりとステンドグラスを堪能したナイン達は、その後、少ししてから近くのシスターにジョブ取得に来た事を伝えた。シスターは「こちらです」と言い、教会内にある一室へと案内してくれた。


 部屋の構造は、普通な感じだ。窓があり、そこまで広くも無い。教会内に数あるうちの一室といった様子だ。ど真ん中にある黒にキラキラが混ざった、まるで星空のような色合いをした四角い物体を除けばだが。


 この四角い物体が、ジョブストーンだという。本当に石だ。パッと見は本当に綺麗な石だ。


 「これに触れれば良いんだっけ?」


 「そうだよ。触れると今取得出来るジョブが表示されるから、そこから選べば良いよ。わからない事があったら聞いてね」


 「わかった」


 ナインはジョブストーンの前に立つ。そして、ゆっくりと右手を上げ、石の表面に触れた。




 [対象者の確認・・・]


 [ようこそ、ナイン・ウォーカー]


 [現在の貴方が取得可能なジョブは、以下の通りです]


 [<戦士>、<剣士>、<斥候>]




 触れた直後、こちらの反応などお構い無しといったペースで何やら色々と表示されだした。ナインは表示された内容を、急いで確認する。特に難しい事は書かれていないようであった。


 (戦士、剣士、斥候か。三つしか無いな)


 これが多いのか少ないのか不明だ。振り返ったナインは、言い忘れと隠し事の多い知恵袋に聞いてみる事にした。


 「<戦士>と<剣士>と<斥候>が表示されたんだけど、最初はこんなに少ないの?」


 「所持スキルによって変わるけど、最初は多くないよ。とくに私達には、魔法使い系のジョブは出てこないから、そのくらいが普通だね」


 「あ、属性魔法スキルを取得出来ない影響ってここでも出るのか」


 「まあね。その辺はもう諦めてね」


 「わかってるよ。もう慣れた」


 もう気にしていない。そんな想いを込めて、メイへと笑いかける。無属性魔法は使えるのだから、別に問題は無い。水虎の長剣で水も出せるしな。


 それにしても所持スキルによって変わるのか。と思ったナインは、追加でジョブについて聞いてみた。


 以前に軽く聞いたがジョブは、レベルが30以上になるとジョブストーンにて取得出来るようになる、能力上昇のみのスキルのようなものだ。


 取得出来るジョブは、所持スキルによって変わるため、スキルが増えたり進化したりすると、取得可能ジョブも増えたりする。


 <戦士>のジョブの場合は、物理攻撃系スキルの所持が条件だ。僕の場合は、長剣、武道、双剣のスキルを持っていたため、取得可能ジョブとして表示された。


 次に<剣士>だ。これは、その名からもわかる通り、剣系統のスキル所持が条件である。僕の長剣スキルが対象になっている。


 最後の<斥候>は、僕の持つ三つのスキルが対象になったため、表示されたとの事。そのスキルとは、隠蔽、罠感知、疾走だ。斥候という役割にあったスキルと言えるだろう。


 この三つのジョブの上昇能力は、<戦士>が、近接攻撃時の威力上昇。<剣士>が、剣で攻撃時の威力上昇。<斥候>は、手先の器用さと移動速度の上昇。となる。


 「さて、三つしか表示されないなら選ぶのは決まりだよなぁ」


 表示される三つのジョブに視線を向けるナインは、ボソリと呟くと右手を上げ、ジョブを選択した。


 [選択ジョブは<剣士>でよろしいですか?]


 [YES/NO]


 選んだのは<剣士>のジョブだ。無難どころだが、これがこの三つでは一番良いと思った。まず、<斥候>は無しだ。前衛として戦う事が多い僕と、<斥候>の上昇効果は合わないからな。


 次に<戦士>。能力上昇効果の範囲が近接系と広く、剣以外にも対応している。だがその分、上昇効果は低くなっている。剣以外も上昇するのは良いが、大半を長剣で戦うナインには、効果を持て余す事になる。


 となれば、残った<剣士>になる。剣使用時のみの威力上昇効果は、戦士よりも高く、進化すれば<長剣士>という、さらに効果範囲が狭いが、威力上昇率が高いジョブになる。相性で見ても一番良いだろう。


 ナインは、YESの文字を指でタッチする。


 [ジョブ<剣士>を取得しました]


 文言が変わり、無事にジョブが取得出来た事が表示された。案外、あっさり終わるんだなと、ナインは少しだけ拍子抜けした。


 「終わったよ。<剣士>にした」


 「まぁそれが無難だな」


 ナインのジョブ選択を待っていた三人プラス一匹へと振り返る。そして、ついでとばかりに三人のジョブを聞いてみた。


 「俺は、<剣士>から進化した<大剣士>だ」


 「私は、<魔法使い>から進化した<魔法師>です」


 グレンとルチルが、現在のジョブを口にする。進化したジョブを二人が持っていた事に、ナインはちょっとだけ羨ましいと感じた。


 ジョブのランクは、初級、下級、中級、上級とあるらしい。ナインの<剣士>は初級。グレンとルチルは下級だ。


 「今の私はジョブ持ってないよ。これも、肉体年齢による制限の影響だね。Bランクの魔石になれば、たぶん解放されると思うよ」


 「今教えてくれないのか?」


 「あとでのお楽しみだよ」


 「・・・それは、お楽しみになるのか?」


 ならないと思うだが・・・、とナインは考えていた。とはいえ、彼女は話さないと言えば話さないので、どうしようもない。伯爵がBランクの魔石を譲ってくれるまで、大人しく待つとしよう。どうせそこまで時間がかかることでも無いからな。












 そうしてジョブ取得を終え、ジョブストーン利用による寄進を済ませたナイン達は、教会を後にすると意気揚々と町へと躍り出た。


 ここから先は何の予定も無い。つまりは、出来なかった観光をゆっくりと楽しめるという事だ。


 到着した次の日からは、連続日帰り弾丸討伐ツアー。次の日の午前中だけは、少しだけ町を観光出来たが、その後から今日まで、町を巡るごたごたに巻き込まれていたので、正直大して回れていない。だからこそ、今日から存分に観光を楽しむのだ。


 「どこに行く?海?浜辺は無いんだっけか?なぁルーチェ、お前も砂浜で遊びたいよな?」


 「みゃん!」


 色々なものから解放され、テンションの上がりまくったナインは、ルーチェを頭に乗せて町中をうろうろする。そんな一人と一匹の姿に町の人は、小さな子でも見るような微笑ましげな目を向けていたが、夢中になって観光を楽しむナインが気付く事は無かった。


 それから数時間。ナイン達は、あっちへふらふらこっちへふらふらと町巡りを楽しみ、港付近までやってきた。


 屋台や、出店が多くなり、それに釣られて人の数も多い。だからだろうか、ふと気になる会話がナインの耳に入った。


 「聞いたか?ノースト南のアクエリアスに、聖剣の勇者様がやってきたらしいぞ」


 「聖剣の勇者?それ、度々現れたって噂になるけど、大概が嘘ばっかりのやつだろ?今回の奴だってどうせ、有名になりたいとか考えた偽物じゃねぇのか?」


 「いやいや、今回のは本当らしいぞ!なんでも、風の国の・・・」


 会話をする男達が離れて行ってしまったため、途中までしか聞こえなかった。だが途中までとはいえ、その内容はかなり気になるものであった。


 (聖剣の勇者?なんだそれ?)


 ナインの持つ最低限の知識には無い言葉に、人知れず首を捻る。わからん。となれば、早々に聞いてしまうのが一番である。ナインは、視線を隣にいる少女に向ける。


 出店に並ぶ髪飾りを楽しそうに選ぶメイ。彼女ならば、聖剣の勇者についても詳しく知っていることだろう。答えてくれるかは別だが。


 「なぁメイ、聖剣の勇者?ってなんだ?」

最近のペットボトル。キャップが薄くないですか?

中身がカバンの中にちょっとだけ漏れてました。


また明日。

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