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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
167/251

166 戦闘成果

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 客室へと帰って来たナイン達は、絶賛まったり中だ。なにせ、レッサーキマイラを回収しに行っただけだったのに精霊獣なんて存在を見つけてしまった。その上、よくわからない内に契約まで結んでいた。


 しかもそれらの前には、潜入から戦闘、魔道具の解除に領主の解放、しまいには領主館内の昏睡者の覚醒。これだけの事をやっている。どう考えても体力の限界だった。


 「お腹いっぱいだ・・・。やば、眠い」


 ちなみに今のナイン達は、領主館から提供された軽食を食べた後である。


 ナイン達が部屋に戻って来た時、客室の扉横で待機していた侍女さんが「おかえりなさいませ、軽食の用意がございますが、如何いたしますか?」と言って迎えてくれた。潜入前に軽く夕食を済ませていたが、流石に色々あり過ぎてお腹が空いていたナイン達は「お願いします」と答え、ついでにルーチェの分のミルクもお願いした。


 しっかりとした真面目な女性、といった風に見える侍女さんだったが、「みゃー」というルーチェの鳴き声に「くぅ・・・、可愛い」と心の声が漏れていたのは、聞かなかった事にしてあげた。


 「忙しい中、あれだけ用意してくれたのは嬉しいね。軽食とは言えない感じだったし」


 侍女さんが下がってから10分程で、パンやらスープ、サラダに果物、肉に魚、そしてルーチェ用ミルクと、どう見ても軽食には見えない大量の食事が、侍女さんの押すワゴンに乗せられて運び込まれた。


 そうしてそれらに驚きながらも、感謝の言葉を伝えてありがたく頂き、無心で全てを平らげたナイン達は、こうしてやっとゆっくりし始めたところだった。


 「そうだね。それにしても、意外とお腹減ってたね。まさか全部食べ切るとは思わなかったよ。僕も食べたけど」


 「忙しかったからねぇ・・・。そりゃお腹も減るよ」


 ナインとメイは、ソファーに沈み込むようにして並んで座りながら、先程の食事を思い出していた。


 グレンは、床に座り込んで自慢の炎剣を磨いている。戦闘後、出来る限りすぐに手入れをしないと、耐久値がかなり落ちるからだ。それに、明日すぐに武器屋へ行けるか、今のところまだわからない。領主であるカルヴァース伯爵次第になるだろう。


 ルチルは、客室に置かれた魔道具に物凄くニヤニヤした顔で張り付き、興奮している。何やらブツブツと小さな声で「あぁ、すごい。欲しい・・・」、「あは!こんな物まで!」と聞こえてくる。どうやら彼女は魔道具を見ると元気になるらしい。趣味人とは凄まじい人種だ。


 ルーチェは、久しぶりのご飯をたらふく食べて満腹になった事により、部屋の隅に置かれたクッションで熟睡している。仰向けでお腹丸見えのへそ天状態だ。やっと警戒せずに寝れるからか、完全に隙だらけなっている。まぁそれだけ僕達の事を信頼してくれているのだろう。


 そうしてゆっくりと仲間達を見回したナインは、ふと数時間前の出来事を思い出した。


 「そういえば、レベルアップしたって出てたな」


 グラベルが死亡した直後、お馴染みである[レベルアップしました]の表示があった。だがあの後は、すぐに魔道具の解除をしなければいけなかったので、確認を後回しにしていた。その後も、館中を駆け回ったりしていたので、すっかりと頭から抜けていた。


 「グラベルってレベル62でBランクだったんでしょ?かなり上がってるんじゃない?」


 「本当自分でもよく倒せたよなぁて思うよ・・・。ステータス」




ナイン・ウォーカー

Lv.35

HP:780/780

MP:32,558,419/32,558,419

AP:660/660


EXP:6200/23500


STR:86+5

VIT:60

DEX:66

AGI:71+5

MGI:81


SP:42


エクストラスキル

<---><---><--->


スキル

<長剣Lv.19><武道Lv.21><双剣Lv.30><魔力制御Lv.19><魔力感知ⅡLv.19><身体強化ⅡLv.16><鑑定ⅡLv.13><気配感知Lv.20><思考強化Lv.30><MP回復UPLv.30>


所持スキル

<隠蔽ⅡLv.7><罠感知Lv.16><空中跳躍Lv.19><疾走Lv.25>




 「おお!?」


 「わぁ!やっぱり凄い上がってるね!」


 潜入前は27だったレベルが、8レベルも上がって35レベルになっていた。これにはナインのみならず、ナインのステータスが見えるメイも、驚きの声を上げた。


 凄まじい上昇っぷりだ。おまけにスキルもかなり上昇したようだ。<双剣>、<思考強化>、<MP回復UP>のスキルが30レベルになり、進化可能になっている。


 「お?レベルか?そういえば俺も上がってたな。どれ・・・、ステータス」


 「あ、私もでした。ステータス」


 2人の声に釣られてか、グレンとルチルも、自身のステータスを確認し始めた。そしてすぐに「おっ!」、「わぁ!」と声を上げた。


 魔人との戦闘で、グレンがレベル39、ルチルは40に上昇していた。これには2人も嬉しそうな表情で、喜びをあらわにする。


 だが何故か、グレンが少しだけ落ち込み始めた。どうしたのかと思えば、「ルチルにレベルで負けた・・・」という、何ともくだらない理由だった。


 「それにしても凄い上がったなぁ、流石62レベル」


 落ち込むグレンを放置してスキル進化を行っていたナインは、それらの作業を終えると自身のステータスを見ながらそう呟いた。


 先の戦闘で、果たしていくらの経験値を手に入れたのか、メイならわかるかな?と考えたナインは、何の気無しに聞いてみた。


 「レベル62のボスクラスなら、10万くらいじゃないかな?」


 「10万!?そんなにか!」


 メイの言葉に、レベルを確認した時と同じくらい驚くナイン。それもそのはず、10万とはそれだけの数値だからだ。


 アルトの町の側にあった四足ダンジョン。そのボスであるCランク下位のウインドウルフ。そのウインドウルフを倒した時の経験値で、大体1000くらいなのだ。対してグラベルは10万。驚きの100倍である。そりゃこれだけ上がるはずだ。


 ちなみに、ボスだったウインドウルフで1000の経験値だが、ボスではない、通常の敵としてのウインドウルフだった場合、取得する経験値は400ほどになる。ボスクラスは強さが少し増えるので、その分取得する経験値量も多いのだ。


 レベル上げをするならBランク以上の敵と戦う方がいいかな?BとかAのダンジョンって近くにあったかな?あったら是非とも行きたいなぁ。と、リスクを無視したレベル上げ方法を考えるナイン。そんな彼は、とある重要な事を忘れていた。


 「30超えたから、やっとジョブを取得出来るね」


 忘れていた重要な事。それはジョブだ。30レベルを超えると、ステータス上昇効果のある、スキルのようなもの。以前、四足ダンジョンのボスを倒した後に、教えてもらっていたものだ。


 「おお!そうだった!」


 (まだ先だと思ってたし、ここ最近色々あったからすっかり忘れてた!!)


 ソファーに沈めていた体をカバッ!と起き上がらせ、喜びを全身で表すナイン。それと同時に、ジョブについて教えてもらった当時の会話を思い出す。


 「確か、教会にあるジョブストーン?だっけか、それに触れればいいんだったか?」


 1ヶ月程前の記憶を掘り起こし、その中にあったジョブの取得方法を口にする。たぶん合っているはずだが、まだ先だと思っていたので、記憶が若干ふわふわしていた。


 「そうだよ。触れると今選択出来るジョブが表示されるから、その中から希望するジョブを選んでまた触るだけ、これだけだよ」


 どうやらかなり簡単なようだ。それに時間もかからなそうである。であるならば、話は早い。


 「じゃあ明日行こう!」


 さっそく明日、町に出て教会に行こう。我慢出来ないとばかりに、元気な声でそう宣言するナイン。だがここで、待ったがかかった。


 「待て待て!明日はカルヴァース伯爵と面会するかもしれねぇし、あるとしても何時になるかわかんねぇんだ。その辺の確認が取れねぇ内は、外になんて出れねぇよ」


 「うぐっ・・・」


 至極ごもっともなグレンの発言に、ナインは言葉を詰まらせる。


 ついさっき事件が解決したばかりだ。だが解決はしたが、状況の確認やら何やらと、未だやる事は沢山ある。今も伯爵は、事態への対応に汗水垂らして奔走している事だろう。となれば、ナイン達への面会は早くても明日以降になる。とはいえ、早くて明日だ。日にちと時間が決まったら伝える、と言われているが、それが決まるのでさえ、いつになるのか不明だ。故に、今のナイン達は、勝手に出歩ける状態では無いのだ。


 気持ちはわかるが落ち着け。そう言いたげな目をしたグレンの姿に、ナインは少しだけ落ち着きを取り戻す。


 「・・・わかった。じゃあ確認が取れた上で明日、時間があったら行こう」


 取り戻しはしたが、行くのは決定だ。とナインは引かぬ意思を示す。


 対してグレンは、そんなナインの様子に深く溜息を吐く。


 「わかったわかった」


 面倒臭くなったグレンは、適当に返事をする。だがそんな態度とは裏腹に、内心では(とりあえず一度、明日の朝一番に確認取るか)と、ナインのために明日の予定を考えていたりした。


 そうしてステータスの確認や、明日の予定を少しだけ決めたナイン達は、疲れによる眠気が流石に限界となり、男女に分かれると客室に隣接した寝室へと向かった。


 「それじゃ、おやすみ」


 ナインの言葉に、仲間達がおやすみと返す。


 本当に限界だったのだろう。いつもなら一緒に寝ると騒ぎ出すメイは、ルチルに手を引かれると無言で目を擦り、半分寝ているかのような状態のまま寝室へと入っていった。

熱中症が怖いです。

暑いのが苦手です。


また明日。

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