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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
166/251

165 ルーチェ

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 「精霊獣と契約すると、何か変化はあるのか?」


 「ああ、教えてなかったね。契約者は、精霊獣のステータスを確認出来るようになるよ。ルーチェに触れた状態で、ステータスって言ってみな」


 「ほう、そうなのか」


 普通は見る事の出来ない、他者のステータスを見る事が出来る。なるほど、契約者の特権という事か。とナインは嬉しそうにする。


 「じゃあちょっと見させてもらうな。ステータス」


 抱き抱えるルーチェを見つめながら、ステータスを開く。すると、ヒトと大体同じなステータス画面が目の前に表示された。




ルーチェ:エレメンタルキャット

Lv.7

ランク:F

属性:光

HP:220/220

MP:826/826

AP:130/130


EXP:20/150


STR:18

VIT:11

DEX:13

AGI:18

MGI:20


SP:4


固有スキル

<光精霊獣・幼>


エクストラスキル

<--->


スキル

<隠蔽Lv.12><空中跳躍Lv.7><MP回復UPLv.8><消費MP減少Lv.8><--->




 上からゆっくりと目線を下ろし、鑑定では見られなかったステータス値などを一つ一つ確認していく。


 (ふむふむ、まだ幼いからなのかレベルに対してステータスが低いな。これって大きくなれば変わるのかな?まぁいずれわかるか。それよりも、この固有スキルだな。スキル名からして、種族固有のものかな?どんなスキルだ?)


 ステータス画面から顔を上げ、再度メイに質問する。


 「固有スキルで<光精霊獣・幼>っていうのがあったけど、これって種族固有のものって認識で合ってる?」


 「合ってるよ。例えば、レッサーウルフとかだと<下位狼>っていう固有スキルを持ってるね」


 「なるほど。ルーチェのこのスキルはどんな内容なんだ?」


 スキルの内容を聞くと、メイは真面目な表情をして「それじゃあまずは、固有スキルについてから説明するね」と言って話し始めた。


 固有スキルとは、ヒト以外の魔物や精霊などが持つ、その種族特有のスキルの事だ。この固有スキルの内容は、その種族に合ったスキルが複合されたものになっており、所持者の進化や成長に合わせて、スキルも進化や成長、または変化していく。レベル表記が無いのはそれが理由とのこと。


 次に、光の精霊獣であるルーチェが持つ、固有スキル<光精霊獣・幼>について。このスキルの内容は、光魔法や治癒魔法の一部、そしてヒトでは取得出来ない爪や牙に関するスキルが含まれているとのこと。


 ちなみに、この固有スキルがある影響で、ヒトよりも取得出来るスキルの種類と数が制限されている。ルーチェのステータス画面に表示されているスキル枠が少ないのは、それが理由だ。


 「そういう感じか。よくわかったよ」


 メイの説明を受け、固有スキルについては概ね理解出来た気がする。各スキルから抜粋された複合スキル、といった感じのもののようだ。


 「もう大丈夫?」


 質問はもう無いか?という意味の言葉に、ナインは「無いよ」と返事をした。


 「じゃあ契約についての説明に戻るね」


 そういえばその話をしている最中だった。とナインは思い出した。メイは、ナインのそんな様子には気付かず、契約についての説明を再開した。


 「契約者と精霊獣の間で<念話>が使えるようになるよ」


 「念話?メイとやってる思念会話みたいなものだっけ?」


 「そうそう。と言っても、今のルーチェはまだ人語を話せないから、ほぼナインからの一方通行になるけどね。ルーチェからは『みゃーみゃー』届くだけだね」


 メイの説明に、(中々に便利そうだ)と考えたナイン。一方通行とはいえ、口に出さずに言葉を伝えられるのは、かなり有効だ。グラベル戦でも、ナインは思念会話を使ってメイに不意打ちを頼んだりしている。聞かれない上に離れていても会話できるのは、大きなアドバンテージだ。


 それはさておき、念話の補足として説明された内容に、ナインは頭の上に疑問符を浮かべた。


 「精霊獣って、喋るの?」


 「ん?ああ、喋るよ。といっても、最低でも成獣であるBランク以上にならないと無理だけどね」


 どうやら本当に喋るらしい。腕の中でゴロゴロ喉を鳴らすルーチェに、思わず視線を向けるナイン。どう見ても猫にしか見えない。だが、成長したら人語を喋るようになる。


 (どうやって喋るんだ?口とか喉とか、人と全然違うじゃん)


 ナインの頭の上に浮かぶ疑問符が、更に大きくなった。しかし、念話についての説明を終えたと感じたメイは、またもやそんなナインの様子には気付かず、最後の説明を始めた。


 「最後に、契約者と精霊獣の間で魔力の受け渡しが可能になるよ。とはいえ、ナインの魔力の方が圧倒的に多いから、基本はルーチェに供給するだけになるだろうけどね」


 いずれ喋るという事実に頭を持っていかれていたナインだったが、魔力の供給という、自分ならいくらでも可能な内容に、大きく興味を惹かれた。


 「魔力の供給か、いいね。ルーチェがいくら魔力を使っても問題無いくらいあるから、今の幼い状態でも、魔法だけならガンガン戦闘に参加させられるな」


 「そうだね。レベル上げも楽に出来ると思うよ」


 ナインの考えに、メイも頷いて同意する。キリッ!とした顔で「みゃん!」と鳴き、ルーチェもレベル上げに積極的なようだ。全身からやる気が感じられる。ただ、やる気の所為か無意識に立てた爪が腕に刺さって痛い。気付かずやってしまうのは、まだまだ幼いからだろう。


 幼い精霊獣という部分で、ふととある事が気になったナインは、独り言のように知らず知らずに呟いた。


 「・・・何で、こんなところにいたんだろう」


 凄まじく珍しいが、まだまだ幼い精霊獣。探すだけでも容易では無い、そんな存在がこんな場所にいた、その理由が気になった。まあ、ほぼラグナロクの所為だとはわかっているが、この子は魔物では無い。その上、知能も生態も生息地も違う。ルーチェには悪いが、いくら操れるからとはいえ、こんな幼い精霊獣に何が出来るのか?とナインは疑問に思う。


 「たぶんだが、手当たり次第に集めたんだろうさ。裏の従魔用魔物業者とか戦闘用魔物を売買する商人とか、色々あっからな。そん中にルーチェも混じってたんだろ」


 「そしてここに連れてこられて、今までずっと隠れてた、って事ですかね?」


 「おそらくな」


 ナインの呟きに反応したグレンとルチルが、理由についての推測を口にした。選んで連れてきた訳じゃなく、混ざっていた。なるほど、混ざっていたと考えればあり得そうだ。それと、精霊獣だと気付かれなかったのは、ルーチェが幼く小さかったのも理由かもしれない。


 グレンとルチルの会話に、メイも混ざり始める。


 「レッサーキマイラの時は、まだギリギリ魔力があったから隠れられたんじゃないかな?1ヶ月以上も隠れられたのは、精霊や精霊獣の魔力効率が高いからだね。あの少ない魔力で休みつつ頑張ってたんだと思うよ。でも、流石に限界がきて気配が漏れたんじゃないかな?」


 メイの推測に、「あー、なるほど」とナインは納得した。


 「その漏れた気配に、相性が良かった僕が気付いたって事か」


 「そうそう」


 最初に地下独房へやって来た時、僕達はルーチェの存在に全く気付かなかった。だが、メイのそれらしい推測によって合点がいった。


 全ては偶然という事になる。けれども、ナインはこの出会いを偶然とは思わない。出会うべくして出会ったのだ。


 新たな仲間であるルーチェの頭を撫で、そっと微笑みかける。


 「みゃ?」


 「なんでもないよ。さぁ部屋に戻ろうか。」


 首を傾げるルーチェにそう言うと、ナインは帰ろうと提案する。


 急遽仲間が増えるというトンデモ事態はあったが、今日やる事はこれで終わりだ。あとはゆっくり休もう。


 そうしてナイン達は、多大な疲れによってずっしりと重くなった足を動かし、地下独房を後にした。

暑いこの時期、スポーツドリンクが激ウマです。

いつもの3倍くらい美味しく感じます。

アクエリアス派です。


また明日。

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