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レゾンデートル  作者: 星街海音
間章
165/251

164 君の名は

宜しければ、評価、ブックマーク、いいねをして頂けると嬉しいです。


誰かと誰かが入れ替わったりとかはしません。


 「とりあえず、名前を付けてあげなよ。」


 名称無しはかわいそうだとでも言いたげな顔で、メイが提案してきた。確かに、連れていくならば名前は必要だ。


 さてどんな名前がいいだろうか、と子猫を顔の高さまで抱き上げ、目線を合わせながら良さげな名前を考えるナイン。そうして10秒ほど「むむむ」と溢しつつ真剣に熟考したナインは、これだ!とばかりに名前の候補を口にした。


 「モチ」


 「え?」


 「ん?」


 渾身の名前だ。と感じた名前を言った瞬間、メイが疑問符をあげた。その声に、どことなく嘘でしょ?という意味が込められていそうな感じがしたが、勘違いだなと思いながらも、ナインは振り返った。


 「・・・もう1回言ってもらっていい?」


 すると渋い顔をしたメイが、再度名前を聞いてきた。どうやら聞こえていなかったのかもしれない。


 なので自信満々な顔をして、名前をもう一度口にする。


 「だからモチだよ」


 「・・・」


 今度は無言が返ってきた。メイの顔がさらに渋くなる。


 そんなにダメだったか?とナインが思っていると、メイが子猫を指差す。


 「・・・ナイン。その子の顔を見てごらん」


 「顔?・・・あ」


 言われて子猫の顔へと視線を向ける。


 猫ってこんな表情も出来るのか、と驚くくらいに、物凄く嫌そうな顔をしていた。


 「・・・ごめん。無しにしよう」


 「みゃん」


 子猫に謝り、モチを却下する。すると、まるで「そうしろ」とでも言っていそうな声で、子猫が一声鳴き声を返してきた。


 そんなにダメだったかなぁ・・・。と若干落ち込んだナインは、パーティーメンバーへと顔を向ける。


 自分では良いのが思いつかない。なので、仲間の力を借りようと考えたのだ。ちなみに、ナインがモチ以外に考えていた名前は、はんぺんとホタテであった。モチと同レベルである。


 「なぁ、グレンはなんか良い名前ない?」


 驚愕で硬直した状態からいつの間にか復活し、黙って成り行きを見ていたグレンに、ナインは何か良い名前の候補は無いかと尋ねる。


 聞かれたグレンは顎に手をやると、真剣な表情で考え始めた。


 「あー・・・、マグロとかどうだ?」


 「ん?」


 (マグロ?魚の?)


 キリッとした顔で変な名前を口にしたグレンに、全員の視線が向いた。


 ちょっとそれは・・・、とナインが思っていると、「何でマグロなの?」と、その名前を選んだ理由を、メイが代表して聞いてくれた。


 「猫は魚好きだろ?」


 シンプルな理由だった。確かに好きだろうけど・・・。


 一応確認するか。と考えたナインは、恐る恐る子猫の顔を伺いながら聞いてみた。


 「マグロって名前はどうだ?」


 「シャーッ!!」


 全力で拒否された。


 「私も無いと思う。モチと似たり寄ったりだよ」


 メイにまで拒否され、グレンが割と本気で落ち込み出した。そして引き合いに出されたナインも、静かに落ち込んだ。


 (僕のモチはもう終わっただろう・・・。くそ、こうなれば)


 キッ!とメイを睨みつけ「当然君も考えてあるんだろうね?」と、彼女にも名前を挙げさせる。


 「私も?え、えっと・・・、ニャ、ニャン太郎?」


 何も考えていなかったメイは、咄嗟に振られて焦りながらも何とか絞り出した。だが、出された名前にナインとグレンが噛み付く。


 「ニャン太郎!?モチと同レベルじゃん!」


 「俺のマグロとも大差無ぇぞ! 」


 わーわーと騒ぎ立て、酷評してきたメイへと講義の声を上げる男2人。ただその内容は、自分で自分の挙げた名前を下げる行為になっているのだが、不満がある2人は気付くことはなかった。


 「みゃー・・・」


 自身の名前で騒ぎ出す3人の姿に子猫は、ナインの腕の中で、いいから早くしてくれとでも言いたげな顔をしながら小さく溜息を吐いた。


 「・・・まぁ、もういいや。さて最後はルチルだ!」


 「ふぇっ!?」


 低レベルな言い合いを切り上げたナインは、まだ名前候補を挙げていないルチルへ顔を向けた。彼女はパーティーメンバーでは無いが、そんな事は些事である。


 いきなり巻き込まれたルチルは、驚きの声を上げると、律儀にも真剣に考え始めた。


 「えーと・・・、ルーチェ、というのはどうですか?」


 「ルーチェ?」


 「はい。光という意味の言葉で、光属性の精霊獣なその子にぴったりだと思って・・・、ダメですか?」


 おずおずとした態度で由来と理由を口にしたルチル。それに対し、ナインも含めた皆が「おお」と声を出した。


 (良いのでは?どう考えてもモチやマグロ、ニャン太郎よりマシだ)


 これは決まりか?とナインが感じていると、子猫が肩まで這い上がってきた。


 「みゃん!」


 子猫が嬉しそうに鳴き声を上げた。この名前がいいらしい。


 「1番喜んでんな」


 「決まりだね」


 皆も、ルーチェという名に賛同なようだ。ならば、これで決定だ。


 肩に乗る子猫を持ち上げ、顔の前に連れてくるとナインは目を合わせる。


 「よし、じゃあ今日から君の名前はルーチェだ。よろしくな」


 「みゃー!」


 そうして口に出して名前を伝えると、ルーチェは、わかった!とでも言ってそうな返事をした。


 ナインは確認のため、ルーチェに鑑定を使用する。




ルーチェ:エレメンタルキャット

Lv.7

ランク:F

属性:光

HP:220/220

MP:826/826




 名付けが完了した事で、名称無しの部分が、ちゃんとルーチェという名前に変化していた。


 こうして僕達のパーティーに、新たな仲間が加わった。


 (さて、それじゃあ名前も付け終わったし、契約について詳しく聞くか)


 先程聞いたのは、契約方法についてのみだ。契約することで何か変化があるのか、そういった事はまだ聞いていない。メイの様子から見て、僕が不利になるような事は無いだろう。だが、それはそれとしてしっかりと把握しておかなければいけない。


 ルーチェを抱き寄せて頭を撫でると、ナインは契約について、メイに問いかけた。


 「精霊獣と契約すると、何か変化はあるのか?」

ブックマークが増え、数時間後に減りました。

弄ばれた気分でした。


また明日。

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