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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
150/251

149 ルチルミナVSリアンヌ2

本日の2話目です。


すいません短いです。


 「へえ・・・、意外さね。まさか近接相手にここまで戦えるとは思わなかったさね。」


 純魔法使いの見た目をしたルチルが魔法を使って近距離戦闘をした事に、素直に驚くリアンヌ。彼女からしたら、もう少し楽に倒せると思っていたのだろう。


 確かに、普通ならそうだ。純魔法使いは近接や近距離に弱い。これは間違いない。現にルチルも近距離での戦闘は得意で無い。だが得意では無いだけで、戦えないわけでは無い。なぜなら


 「ヒール。・・・ソロで冒険者をしているんです。それくらい出来なきゃあっさり死んじゃいますよ。」


 左腕の傷を治療し、リアンヌへと言い返す。


 依頼によってや、お試しでパーティーを組んだことはある。だが基本はずっとソロで冒険者をしてきた。寄られた事に焦って対処に失敗する、などというミスは犯さない。


 槍が掠ってしまったが、直撃していないのでこれくらいなら十分許容範囲だ。


 「ソロ冒険者?・・・ソロ冒険者の魔法使い。ルチルミナ・・・。」


 「?」


 ルチルが口にしたソロ冒険者という部分に何かあったのか、リアンヌが槍を下げてブツブツと呟き出す。


 ソロが何かおかしいのでしょうか?それに私の名前まで。


 「あーっ!!」


 「っ!?」


 何かに気付いたのかリアンヌは手をポンと叩き、嬉しそうに大声を上げた。警戒はしていたがいきなりの行動にルチルがビクッと驚く。

 

 そうして嬉しそうな声と表情をそのままに、リアンヌが口を開く。


 「そうかそうか、思い出したさね。あんた、爆破実験の犯人役だった奴さね。」


 「・・・そうです。」


 仕組んだ魔人に直接言われるのは凄く腹が立つ。ルチルは否定する意味も無いと考え、とりあえず肯定で返した。


 「いやー、やっぱりそうさね。」


 「だったら何なんですか?貴女達の所為ではありますが、戦いの最中に話すことでは無いでしょう。」


 「いやいや、せっかくだから教えておこうと思っただけさね。」


 「はい?」


 苛々を感じながら、何を教えることがあるんだ?と疑問を浮かべるルチル。


 そして嗜虐的な笑みを貼り付けたリアンヌは、とある事実を口にする。


 この発言が、彼女の運命を決定づけるとも知らずに。







 「あんたを犯人役に選んだのは、あたいさね。」







 は?

 

 とんでもない言葉が聞こえた気がした。


 いや、気がしたではない、実際に聞こえていた。ただ脳が上手く理解出来なかっただけだ。


 この女、この女の所為で・・・?


 あまりの事実に驚きと怒りが大きくなり、逆に冷静になっていく。


 「・・・何故、私だったのですか?」


 他の誰かだったら良かった、とかそういう訳では無い。私だった理由は何なのか、それが知りたかったルチルはリアンヌへと問う。


 「あん?あんたにした理由は特に無いさね。強いて言えば船に乗ってやってきたのが目についただけで、別にソロの魔法使いだったら誰でもよかったさね。」


 悪気も何も感じていない、むしろ楽しそうですらある口調でリアンヌが答えた。


 ブチッ。


 ルチルの中で、何かが切れる音がした。


 「そう、ですか・・・。貴女の所為だっただけでなく、誰でもよかった、と。」


 両手で持っていた長杖を右手で持ち、石突で床をトンッと打つ。


 「今から、貴女を倒します。ですが・・・」


 長杖を持ち上げ、リアンヌへと向ける。


 「死んでしまっても、恨まないでくださいね。面倒ですから。」


 ルチルの表情も言葉遣いもいつも通りのものだった。だが声だけは、氷の如く恐ろしいほどに冷えきっていた。

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また明日。

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