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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
149/251

148 ルチルミナVSリアンヌ1

ブックマークありがとうございます!!


本日は2話投稿です。


2話目の投稿は20時です。


 「ルチル!」


 「はい!」


 戦闘開始と同時にナインが大きな声で私の名前を呼ぶ。


 「ウインドバースト!!」


 答えたルチルは即座にグラベルを中心とした旋風魔法を発動した。


 この魔法に攻撃性能はほぼ無い。魔力で生み出した風を発動地点で解放するだけの魔法だ。


 だが風力は侮れない。


 ブワッ!!という音を上げて、突風が吹き荒れる。


 「むっ!」


 「いきなりさね!?」


 先手で放たれた旋風魔法に、左右に立つ魔人が吹き飛ばされる。


 発動地点にいたグラベルはその場から動く事はなかったが、リアンヌはより左に、ジャグラはより右に大きく移動させられた。


 「よし!それじゃあ予定通り行くぞ!」


 「ああ!」


 「はい!」


 ナインの言葉を受け、全員がその場から走り出す。


 グレンは右に飛ばされたジャグラへ、ナインはその場に残ったグラベルへ、そして私は、左に飛ばされたリアンヌへと向かう。


 3対3では無く、1対1を3つ。これが私達の考えた対魔人戦の作戦だ。


 本当は3対3、もしくは3対4がよかった。相手に連携をされるが、こちらも連携が取れる。戦い易さを考えればそっちの方がいい。だが今回に限り、その方法は選べなかった。


 グラベルという魔人には洗脳がありますからね。現状、メイさんかナインさんでしか対処出来ませんし。


 メイとナインに状態異常が効かないらしい。いや、実際は効いているのだが、再生で即座に回復するから効かないのと同じなのだとか。


 本物の魔人は凄いですねぇ。


 走りながらそんな事を考えていたルチルは、足を止めると目の前で槍を構える偽魔人と対峙した。


 「やってくれるさね。」


 ニヤついた表情はそのままだが、声に苦々しさが混じっている。してやられたと思っているのかもしれない。


 「今の私では洗脳は防げませんからね。」


 言葉を返しながらリアンヌに対して鑑定スキルを発動する。




リアンヌ・トロス

Lv.46

ランク:C

属性:炎

HP:1000/1000

MP:13622/13749

<長槍><火炎魔法><治癒魔法>




 戦闘中であるため、現れた鑑定結果をチラリと一瞬だけ見て確認する。


 レベルはほぼ予想通りですね。長槍スキルを持っているのは見たらわかりますが、火炎魔法に治癒魔法ですか。他のスキルは鑑定のレベルが低くてわかりませんね。


 ナインよりも鑑定スキルのレベルが高いため、ルチルには相手の所持スキルが3つまで確認できた。


 スキルはこれしか確認出来ませんでしたが腕とお腹がムキムキですね。見た目から考えておそらく、近接メインで魔法がサブといった感じでしょうか。


 長槍を持つ腕と金属製の部分鎧から覗く腹部を見て、相手の戦闘スタイルを考察する。


 「まあいいさね、さっさと殺してあたいは次に行くとするさね。」


 純魔法使いであるルチルには興味が無い、といった様子を言葉内に見せるリアンヌ。


 はぁ・・・、と小さく溜息を吐いた彼女は左前半身で長槍を構えると、すぐさま地を蹴り真っ直ぐルチルへと突撃してきた。


 「アースバレット!」


 距離を詰めてくるリアンヌへと、大地魔法による石の散弾を発動する。


 射程は短く威力は低いが、2、3センチの石が広範囲にばら撒かれるアースバレットは、足止めや牽制に便利な魔法である。


 「ちっ!面倒さね。」


 目の前に広がる石の散弾に、思わず舌打ちをしたリアンヌが足を止める。


 そして構えを崩すと長槍を振り回し、自身に迫る石をバシバシと叩き落としていった。


 魔法を放ったルチルは発動後、即座に数歩後ろに下がり、次の魔法を発動する。


 「ウインドエッジ!」


 石を弾き終わったリアンヌに向けて、旋風魔法による風の刃を3本飛ばす。


 ヒュンッ!!という風切り音を上げ、角度と少しだけ時間差をつけた3本の風の刃がリアンヌへと襲いかかった。


 「甘いさね!その程度じゃ当たらないさね!」


 ニヤリと笑みを強くしたリアンヌは、顎が床に付くほどまで体勢を低くし、迫り来る風の刃の下を潜り抜ける。


 角度と時間差によって回避は困難だと思ったが、一切動じること無くやり過ごされてしまった。


 「そらお返しさね!フレイムスロワー!!」


 避けたリアンヌは左手を前に突き出すと火炎魔法を放ってきた。


 猛烈な熱と勢いを纏った火炎放射が、ルチルへと迫る。


 「くぅ!アースウォール!」

 

 回避は不可能と判断したルチルは即座に前方へ岩の壁を作り出し、迫る火炎を防御する。


 炎自体は防げても熱量までは完全に防げず、チリチリと肌や髪が焼けていく。


 岩の壁によって5秒ほど続いた火炎放射を防ぎ切ったルチル。


 「まだ終わってないさね。」


 だが自身の魔法と火炎で視界を遮られた事、そして戦闘に合わせて気配感知スキルを外した事でリアンヌの接近に対し、反応が僅かに遅れた。


 「っ!?」


 「そら隙ありさね!」


 岩の壁の陰から現れたリアンヌが右手に持つ長槍を突き込んできた。


 まずい!?狙いは!?胸!回避は無理!防御も無理!なら!!


 「っ!!ストーンニードル!!」


 発動の早い下級の地魔法が発動し、ルチルとリアンヌの間の床から細い石の針が勢いをつけて現れる。


 シュンッ!カンッ!


 そしてそのまま勢いよく伸び上がった石の針はリアンヌの槍の穂先に当たり、ほんの少しだけ向きを逸らした。

 

 「なにっ!?」


 いきなり現れた石の針と、それによって槍を逸らされた事に驚愕するリアンヌ。


 「うっ!!」


 だがルチルも完全に逸らす事は出来ず、穂先が左上腕を掠めた。


 直撃は避けた!距離を取る!


 「エアーバースト!!」


 ほぼ最速で発動させるため下級の風魔法を使用し、自身の体を後ろに飛ばす。


 3メートルほど距離を取ると痛む左腕の状態をチラリと確認する。


 ローブが切れ、その先の上腕辺りに切り傷が見えた。


 出血は多いですが深くはないですね。警戒しつつまずは治療しましょう。


 いつでも対応出来るよう杖を構えながら、ルチルは治癒魔法を準備する。


 「へえ・・・、意外さね。まさか近接相手にここまで戦えるとは思わなかったさね。」

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