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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
140/251

139 レッサーキマイラ


 「レッサーキマイラ・・・。」


 慌ててナインも中断していた鑑定を使用する。


レッサーキマイラ

Lv.47

ランク:C

属性:闇・炎

HP:2360/2360

MP:14101/15817


 Cランクだが最上位の強さだ。こんなのほぼBランク下位と言っても過言では無い。


 土煙が完全に晴れ、レッサーキマイラの全体がはっきりと見えた。


 全身真っ黒な大きな体、獅子の頭と蛇の尾、体高だけ見てアクアタイガーくらいと思ったが、体長もそのくらいありそうだ。6メートルくらいか?強さも同じくらいありそうだ。


 「こいつがいるから他はいらないんさね。てことで・・・、『こいつらを殺せ』」


 「なっ!?」


 何が、てことでだ。何にも関係無いだろ。


 内心で愚痴を吐き捨てながら、いつでも戦闘に入れるよう重心を下げる。


 「グルゥォォオ!!」


 リアンヌの命令を受けたレッサーキマイラは一声鳴くと、押し潰すような勢いで飛びかかってくる。


 ナインとメイがシールドを張り、全員で後方に回避する。2回の回避で部屋の中央付近まで戻されてしまった。


 「それじゃあ精々頑張る事さね、ま、もう会うことは無さそうさね。」


 「おい!待てや!」


 身を翻して離れるリアンヌの背に向けて、静止を叫ぶグレン。だがそんな願いを聞くわけもなく、リアンヌは入ってきた通路を通って部屋から去っていった。


 リアンヌが去っていった出口へ視線を向けていると、急激な魔力上昇を感知したナイン。慌ててその感知先を確認すると、魔力はレッサーキマイラの口元に集まっていた。


 やばい!絶対ブレスだ!!


 「グレン!前!前!」


 「くっ!わかってる!」


 未だリアンヌが去った方向を睨み付けるグレンに、ナインが焦って声をかける。


 「グオァァアア!!」


 レッサーキマイラの叫び声と共に、闇属性のブレスが吐き出された。


 真っ直ぐ吐かれたブレスを、ナイン達は咄嗟に左右に分かれて何とか回避する。


 さて、どうしたものか。


 もう侵入がバレてしまっているとはいえ、ここでもたもたしているのは非常に良くない。出来れば早く、あのリアンヌとかいう魔人を追いかけたい。だがレッサーキマイラがいるせいで、それも難しい。簡単に倒せる魔物ではないからだ。


 本当にどうしたものか。


 ナインが悩みに悩んでいると、メイが解決策を出してきた。


 「私が残るよ。3人は先に行って。」


 「メイさん!?」


 ルチルが驚愕から声を上げる。


 「時間を与えれば何か余計な手間を増やされるかもしれない。それに、計画を前倒ししないとも限らない。」


 僕達を説得するように理由を述べていくメイ。


 「奴らに、爆破をしないという選択肢は無いんだよ。爆破予定の抽選会はまだ始まってないけど、入場券を持った人間はもう会場内やその周辺に集まってる。これなら最大限の効果は見込めなくても、最低7割くらいは吹き飛ばせる可能性がある。」


 だから急いで追って。


 言葉にせずに視線でそう伝えてきた。


 「放置して全員で追えばいいだろ。」


 「無理だよ。あの出口、レッサーキマイラがギリギリ通れるサイズなんだよ。置いて行けば追ってきちゃう。そうしたら上にいる非戦闘員に被害が出ちゃうよ。」


 「ちっ!面倒だな状況だ・・・。」


 放置は出来ない。誰かが残ってレッサーキマイラに対処する。それが1番被害を出さずに、早く追いかけられる方法だった。

 

 「誰かが残らなきゃいけないなら、私が1番適任なんだよ。私なら死なないからね。もしやられても、肉体が消えちゃうだけだし。」


 「・・・強さ的にもか?」


 「うん。」


 肉体による能力制限を受けているとはいえ、この中でメイが1番強い。経験や技術、知識が豊富だからだ。故に、レッサーキマイラにも個人で対応出来る可能性が高い。


 「・・・わかった。頼む。」


 尾の蛇から発せられた炎弾をシールドで防ぎながら、ナインは渋々了承する。


 「ありがと。」


 不満そうなナインの表情に優しく微笑んだメイは、出口の前に立ち塞がるレッサーキマイラへと視線を向ける。


 追いかけるには、あいつが邪魔だ。


 「それじゃあまずは、アレを移動させないとね。」

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また明日。

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