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レゾンデートル  作者: 星街海音
序章
14/251

013 野営と起床

本日の3話目です。


 「よし!じゃあ枝とか集めてここで夜を明かすとしようか。」


 ちょっとだけわくわくしながら周りをうろつき、焚き火の準備を始める。

乾いた枝と枯れ草は沢山落ちているので集めるのに苦労はしない。


 集めて持ち運び、開けた場所の中心に下ろすと、少し太めの枝で地面を掘り返す。


 草の上で焚き火をすると煙が大量に出る上に、場合によっては延焼する可能性がある。と枝を集めてる時にメイが教えてくれたからだ。


 直径的一メートルに満たないくらいに掘り返し、集めた枝と枯れ草を置いたら皮袋から火の魔道具を取り出す。


 「ついにこれの出番だな。早く使いたかったんだよ。」


 ただ魔道具の使い方がわからないのでメイに尋ねる。


 『魔力を込めたら魔石の部分から火が出るよ。魔力は怪我を治した時のことを思い出して見て。』


 なるほど。


 魔石から火が出るみたいなので、魔石部分を焚き火の方に向くように持ち直し、治療した時のことを思い出す。


 たしか魔石を意識して、そこから力を引き出す。

それから今度は怪我をした場所じゃなくて、腕を通して手の先の魔道具に持ってくるイメージ・・・。


 ゆっくりとイメージして魔力を移動させる。

すると魔道具から五センチほどの火が吹き出し、枯れ草が燃えだした。


 「おっ!出たぞ!」


 おお!こんな感じなのか。

ちょっと楽しいな。

それに魔力もなんとなくわかってきたぞ。


 『すぐできたね。魔力はこの先色々と必要になるから、その感覚は忘れないでね。』


 「そうだな。」


 確かにこの先も魔道具とか怪我を治す時に必要になるので、しっかり覚えておこうと心に決める。


 魔道具を袋にしまい、代わりに採取したリンゴを取り出すとゆらゆらと燃える焚き火の前に座る。


 「とくにする事ないな。」


 不規則に揺れる火を見ながらリンゴを食べる。

少し酸っぱいがシャリシャリしていてなかなか美味しい。


 『真っ暗だからね。そうだ、もう剣スキル取れるんじゃない?』


 おっとそうだった。

言われてやる事があったと気付く。

リンゴを食べている途中だが、すぐにステータスを開いた。


 「あ、SPが一ポイント増えてる。」


 スキル欄にある気配察知がレベル五になっていた。

スキルリストを開き、剣スキルを見つけると勢いそのままに取得する。

これでスキルが四個だ。


 「さて、スキルも取ったし、おとなしくリンゴを食べて早めに寝るとしようか。」


 完全にやることも無くなったので食事をして寝ることにした。


 『そうしよっか。明日は早く起きて、お昼までには森を出たいね。』


 確かに早く出たいわ。


 明日は今日より急ごう。

そう心に誓いながらメイに返事をし、目覚めて初めての夜は更けていった。











 チュチュン、チチチチ・・・


 「・・・ん、うぅん。」


 鳥の声が聞こえて目が覚めた。


 地面に横になっていた体起き上がらせ、寝ぼけ眼で周りを見回す。

どうやら日の出と共に目覚めたようだ。

通りで鳥がチュンチュン鳴くはずである。


 『・・・おはよ。』


 メイも起きたようだ。

体が無いのに寝起きみたいになるようだ。


 「おはよう。」


 朝の挨拶を返すと、ゆっくり立ち上がり移動の準備を始める。

昨日早く森を出ようと心に決めていたからだ。


 持ち物も少ないのでさっさと終わり、焚き火跡に土をかける。


 「さて、行くか。」


 起きてからまだ五分ほどだが準備と片付けが終わったので移動を開始することにする。

まだ眠気は取れていないが移動しているうちに取れるだろう。


 『早いね・・・。私はまだ眠いよ。』


 ぽやぽやした声で返してきたは本当に眠そうだった。


 本当に不思議だな。

なんで心だけの状態であんなに眠そうなんだ?


 不思議に思うが、聞いたところでそうなのか。くらいで終わりそうなのでスルーすることにした。


 「勝手に進んでるから別に寝ててもいいぞ。なんかあったらこっちから声かけるからさ。」


 『んー、大丈夫。』


 まぁ少しだけ声がしっかりしてきたので大丈夫だろう。

そう思うことにして、さっそく出口に進むことにする。


 目標は昼までに森の出口だ。

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