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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
122/251

121 煽るウォーカー夫妻


 『いいね。それじゃあ私も混ざるよ。あのタイプは、子供に言われたらすぐ怒るだろうしね。』


 メイもやる気満々だ。すごく悪い笑みを浮かべている。今の僕も同じような表情をしているかもしれない。


 ナインはわざと相手を馬鹿にするよなうな表情を作り、煽りと誘導を始める。


 「それにしてもお前、サージェスだっけか?下っ端だろう?」


 「なっ!?貴様・・・、何を根拠に言っておる!!我を馬鹿にするか!?」


 「いや、わかるだろ普通。現場まで直接足を運ぶ奴なんて、基本下っ端だろう。」


 「愚弄するか!それと、我は下っ端ではない!魔道爆弾の担当をしているだけだ!この町にいる4人の魔人の中で2番目に偉いのだ!訂正せよ!」


 え?嘘だろ?喋っちゃうの?


 さっそくとばかりにナインは雑なやり方でサージェスを煽った。結果、怒ったサージェスがあっさりと情報を口にした。


 流石の状況にナインは焦ってしまう。敵とはいえ、いくらなんでもこんなに簡単に機密を漏らすのはダメだろう。逆に心配になってくる。いや、こいつだけが馬鹿なのかもしれない。他の魔人には油断しないようにしよう。


 『爆弾担当に魔人は4人だってさ。それにしても想像以上に馬鹿だな。』


 『いやぁ・・・私もここまでとは思わなかったよ。』


 情報を手に入れられた事よりも、敵のあまりの酷さに呆れが顔に出るメイ。彼女の乾いた笑いが、思念ではなく音となってナインに届いた。

 

 『次は私がやってみるね。』


 『わかった。』


 呆れ顔から心配そうな表情を作ったメイは、その表情とは真逆にサージェスを煽り始めた。


 「だめだよ。あのおじさんは自分が偉いと思い込んでる人なんだから。そんなにはっきり言ったら傷ついちゃうよ。」


 「んなっ!?」


 「ああ、そうだな、気を遣わなきゃダメだったな。ごめんごめん。」


 「そうだよ。どうせあの人とその仲間は大したことない人達なんだから、気を付けなきゃ。」


 「我ら魔人に対して、まだ言うか貴様ら!いいか!この町にいる我らが上官は第二級魔人様だ!我以下のお前達ごときでは絶対に勝てないお方である!速やかに訂正せよ!」


 また喋ったよ・・・。もうプライドが高いって言うより、ただの自慢したがりにしか感じないんだが・・・。


 顔を真っ赤にして激昂するサージェスの姿に、ナインとメイは溜息が溢れる。


 第二級魔人が上官だと言っていたが、自分がそいつだったら絶対にこの男は使いたくない。ペラペラと喋り過ぎだ。僕達は助かるけど。


 『あとは何を聞けばいいかな?』


 『犯人が魔人だったって事は、領主は操られてる可能性が高そうだ。警備隊まで使ってるしな。だからその辺りを探ったらいいじゃないか?』


 領主が犯人だと思っていたが、ラグナロクの魔人が現れた。しかも魔人は複数人いる上に、その中に爆弾担当が存在している。こうなると、領主が魔人に協力していると考えるより、領主が魔人に操られていると考える方がしっくりくる。なので、その辺りを突いて探るのがいいだろう。


 『わかった。まかせて!と言っても、たぶんすぐ喋りそうな感じがするから、まかせても何もないんだけどね。』


 『そこは、ほら、誘導も重要だよ。難易度が低いだけだ。』


 魔人全員がこんな奴なら楽なのに、と思ったが、絶対にそんなわけが無いので甘い期待はしない。


 僕の謎フォローに、そうだね。と微妙な表情で返したメイは、軽く頭を振るとすぐさま情報収集を再開した。


 「第二級魔人って言っても、所詮領主を操って裏でコソコソ暗躍するくらいしか出来ない小物でしょ?訂正はしないよ。」


 「馬鹿にするな!!グラベル様だからこそ領主を傀儡に出来るのだ!!」


 さらに激昂したサージェスが、叫ぶように1人の名と真実を口にした。おそらく、グラベルというのは第二級魔人の名前だろう。様ついてるし。


 そして、やはり領主は操られていた。だがこれで、数週間前よりこの町で起こっていた全ての事件は、魔人達の仕業であるという事が判明した。


 よくは無いのだが、いいね。敵はラグナロクの魔人4人だけと、わかりやすくなった。


 「なら大人しくお人形遊びでもしてなよ。ほら、大通りに可愛いお人形屋さんがあったよ?紹介しよっか?」


 サージェスが漏らした情報を頭の中で整理していると、メイの煽りがまだ続いているのが聞こえてきた。相手をかなり馬鹿にした言い方に、思わず笑いそうになってしまう。


 君、さっき傷付いちゃうから、はっきり言ったらダメとか言ってなかった?


 「貴様ら・・・、もう許さん。今すぐこの場で細切れにしてくれる!!」


 赤を通り越し、紫に見える顔色で怒り狂うサージェスは、その顔に鬼のような形相を浮かべる。そして同時に、その身に纏う魔力を大きく膨れ上がらせた。


 「あ、ここまでかな。それじゃあ、戦闘用意!」

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また明日。

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