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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
120/251

119 敵の正体

本日の2話目です。


 『来てるね。』


 メイが思念会話にて、確認するかのようにポソりと呟いた。


 港の手前から道を逸れ、倉庫街へと向かうナイン達の数十メートル後ろから、気配が1つ感じられる。


 『ずっと付いて来てるな。』


 服屋を出てからおよそ10分。気配の主は一定の距離を保ったまま、ナイン達の後を付いて来ていた。


 現在は倉庫街の入り口付近を過ぎたところだ。あと5分ほどでルチルと合流したあの倉庫街奥に辿り着く。


 それにしても・・・。


 『・・・なあ、後ろ奴って、あれで気配隠してるんだよな?』


 『隠してるね。』


 『そうだよな。でもそれにしてはさ、気配隠しきれてないよな?』


 多少小さいが、今も後方からしっかりと気配が感じられる。果たしてどういう事なのか。不思議過ぎて意味がわからなかった。


 『・・・たぶん、ナメられてるね。』


 『は?』


 肩をすくめたメイが、嫌そうな感情を思念に乗せて答えてくれた。


 だが、答えを聞いても上手く理解が出来なかった。


 ありえない。いくら僕達が弱そうに見えるとはいえ、尾行をしているのだ。普通は念には念を入れて気配や姿を隠すものだ。なのに後ろの奴は、距離を取ることで姿は隠しているが、気配は少ししか隠していない。そこまで気配が読めないと思われてるのか?


 確かにナメられてるな。


 『・・・ふざけてるな。僕達は油断せずいこう。』


 『もちろん。逃すつもりはないよ。』


 言葉の端から彼女の怒りが感じられた。流石のメイもイラっとしたらしい。まあ僕もなので気持ちはよく分かる。


 だが相手がナメているからとはいえ、油断はしない。イラつきはしても冷静に対処するつもりだ。それはそれとして。


 『何かあっても問題無いと思えるくらい、強さに自信があるのかな?』


 『そうなんじゃない?そんなに強そうな感じはしないんだけどねぇ。』


 どうやら相手は自信過剰な奴のようだ。ふむ、素直に口を割ってくれるだろうか。多分無理か。となれば拷問か・・・。


 どんな拷問をしてやろうかとあれこれ頭の中で考えながら、引き続き僕達は倉庫街の奥へと足を向けた。












 ルチルが逃げ込んだ倉庫街の奥に辿り着いたナイン達は、その場で立ち止まる。ここからは、再度メイが敵を誘き寄せよる行動をする予定だ。


 ちなみに何をするのか、ナインは知らされてないのだが、メイの手元を見ることですぐに判明した。


 「何してんの?」


 パカパカと入場券を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返すメイに、わかっていても聞いてしまう。


 たぶん、異常知らせる信号を小刻みに送って敵を誘っているのだろう。雑じゃない?


 「わかりやすく異常でしょ?」


 「まあ、そうだな。」


 「本当は違う事をしようと思ったんだけど、相手はこっちをナメてるみたいだしね。ほら、これだと馬鹿にしてる感じしない?」


 「かなりするわ。ていうか馬鹿にしてるだろ。」


 いいのかな?まあいいか。敵に情けはいらんだろう。


 呆れつつもメイのやりたい様にやらせる事にしたナインは、腕組みをしてメイの手元を見続ける。だが警戒は一切解かない。今も尾行者の気配を感知し続けている。


 お、ほんの少し殺気が出たな。怒ってる怒ってる。


 敵の気配が強くなり、こちらに近づいてくるスピードが上がった。


 来る。


 『来たね。』


 接近とともに、メイからの思念会話が届く。


 ナインとメイは現れた敵の方へと向き、その姿を捉える。通路の端には、黒いローブを着てフードを目深に被った者が立っていた。


 見た目では種族だけでなく、男か女かも不明だ。だがこいつが敵側の存在なのはわかる。なにせ姿を現した瞬間、殺気が膨れ上がったからだ。


 「誰だお前?僕達に何の用だ?」


 先手を打つ意味はあまり無いが、話しかければ答えるだろうと思い、ナインが声をかける。言葉に棘が出てしまったのは仕方ない事だ。


 ナイン達は警戒を強めながら静かに相手の反応を待つ。すると、黒ローブから不機嫌そうな男の声が聞こえてきた。


 「下等種が、調子に乗りおって・・・。すぐに死ぬことになる貴様らには、冥土の土産として教えてやろう。我は、ラグナロク第三級魔人サージェスである。」

何故2話目を20時にしたかですか?

分ければアクセス数が稼げるんじゃないかという

せこい考えからです。


また明日。

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