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レゾンデートル  作者: 星街海音
序章
12/251

011 落とし物と装備

本日は多めに4話投稿です。


明日はおそらく2話です。


 「きたきたきたきた!!」


 布だ!!


 布があるぞ!!


 視線の先にあるくしゃっとしたものにテンションが上がりまくる。


 『よかったね!皮袋もあるから何か採取したりも出来るね!』


 メイも嬉しそうだ。

先に気づいてくれたのはメイだったのだ。

彼女も頑張って探してくれていたのだろう。


 「そうだな!」


 僕は元気よく返事をしながら布に手を伸ばす。

そしてしっかり掴んで持ち上げ、くしゃくしゃの布を広げる。


 「おー!マントだ!しかも結構綺麗だぞ!」


 広げた布はマントだった。

大きさは大体僕の膝くらいまでの長さで、穴や目立った汚れもなかった。


 「さて、この袋は・・・。」


 マントの確認を終えその場に戻すと、次に皮袋に手を伸ばす。


 「何か入ってるな。なんだろう?」


 持ち上げてみると中から重さを感じる。

さっそく袋の口を緩めて中に手を入れ、中身を取り出してみる。


 出てきたのは、紐、水筒、赤い石の付いた何か、そして小さなナイフだった。


 「お!ナイフあった!」


 手のひらサイズだがナイフだ。

森の中だからかなり助かる。


 『これで倒した敵とか解体して、食糧にできるね。』


 確かに。

というか食糧について考えてなかった。

この先は進みながら鑑定して食べられそうなものを採取していこう。


 「解体は教えてくれ。」


 『いいよ。』


 できればやりたくないが、必要なので教えてもらおう。


 「この赤いのはなんだ?」


 皮袋に入っていたナイフより小さい赤い石の付いた丸い物を持ち上げる。


 魔石かな?


 『それは火種の魔道具だよ。その炎の魔石からほんの少しだけ火を出すって物だね。よかったね!』


 おお!それはいいな!

なんせ火のことも忘れてたし。


 「火は助かるなぁ。忘れてたし。さて、中身はこれで全部、と。あとは。」


 出した中身を袋に戻してマントの近くに置くと周りを見直す。


 周囲にはまだ何個か落ちている。

一つずつ拾いながら確認しよう。


 少しわくわくしながら一番近くにあるものに近づいていく。


 「なんだこれ?」


 落ちているものをよく見てみる。

どうやら鏃の折れた矢のようだ。


 「ゴミか。」


 『ゴミだね。』


 さっさと興味をなくし次の落とし物に近づく。

さっきのゴミよりは大きそうだ。


 あれ?


 チラッと見えた形に、短い距離を走る。


 もしかして!?


 すぐに辿り着くと落ちているものじっと見下ろす。

どうやら想像通りのようだった。


 「剣だ!!」


 鞘に入っていない抜き身の状態で落ちている。

僕はゆっくり柄を握り、持ち上げる。


 「少しだけ欠けがあるけど剣だ!やった!武器だ!」


 喜びのあまり声が大きくなった。

正直素手ではもう戦いたくなかったからだ。


 『まだ使えそうだね。分類としては長剣かな。SPが増えたら剣のスキル取ろうか。』


 そうだ。武器スキルだ。

たしかSPはスキルレベルが五の倍数の時に貰えるって言ってたな。


 僕は時間も惜しいとばかりにステータスを開きスキル欄に目を向ける。


 スキルレベルを確認すると、<鑑定Lv.2>、<気配察知Lv.4>、<隠蔽Lv.2>と表示された。


 「気配察知が四だからあとちょっとだな。」


 常時発動しているからか、レベルが上がりやすいようだ。

鑑定は使っていなかったので低いままだ。

さっそくこの剣に使ってみよう。


 剣を見て、鑑定と念じる。


鉄の剣

種別:長剣

耐久値:85/100


 鑑定結果が目の前に現れた。


 レベルが低い割に耐久値の情報も表示された。

耐久値はそのままの意味だろう。

たぶんゼロになれば壊れる。


 「よし!次だ!」


 あと二つほど落ちているので拾わなければ。


 剣を右手に持ちながら残りの落とし物に僕は軽い足取りで駆け出した。











 残り二つの確認が終わった。


 結論から言えばゴミだった。


 壊れた水筒に、ひしゃげて穴の空いたコップ。

全くもっていらない物だった。


 「残念。まぁマントに皮袋、紐に水筒、種火の魔道具にナイフと長剣。十分すぎるな。」


 むしろこれだけ落ちていたのだ。

今の状況からしたら十分どころではないだろう。

たくさん落ちていたからか、欲が出てしまっていたようだ。


 『そうだよ。使える状態で欲しかった物がほとんど手に入ったんだから。』


 メイにも諭される。

全くもってその通りだ。自重しよう。


 「ごめんごめん。それじゃあマントとか着ちゃうか。」


 そう言ってマントと皮袋の元へ行き、さっそく着てみる。


 着てみると前が空いて丸見えだった。


 「うーん・・・、ちょっといじるか。」


 今の状態だと前が空いて手が出ていない。

これでは困るので少しマントを改造する。

 

 マントを脱いで皮袋から紐とナイフを出し、まず肩の位置に穴を開ける。

切りすぎないように開けるともう一度マントを着て、先ほど開けた穴から両手を出す。

次に前をしっかり閉じ、腰の位置で紐を縛る。


 これで簡易的な服になった。はずだ。


 「よし。どう?」


 メイに感想を求めてみる。


 『まぁ、裸よりは全然いいと思うよ。脱獄囚みたいに見えるけど。』


 それは仕方ない。

僕は全裸が嫌なだけなのだ。

脱獄囚なら全然マシだ。


 「問題なさそうだな。」


 聞いておきながらメイの発言をスルーして、ナイフを袋にしまい、肩にかける。

右手に剣を持って周りを確認する。

もう何もなさそうだ。


 「先に進むか。」

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