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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
113/251

112 爆発は何のため?


 「・・・ありそうだね。」


 神妙な表情でメイが同意する。


 彼女の中でも実験の可能性が大きくなったのだろう。その後も何かをぶつぶつと呟きながら、しきりに頷いている。


 声が小さいのとテーブルを挟んでいるせいで、何を口にしているかはまったくわからない。


 「俺も実験の可能性はあると思う。だがよ、ならその実験ってのはなんだ?何で爆発なんだ?」


 僕の推測にグレンも同意すると、新たな疑問点を挙げてきた。


 確かに、実験云々はさておき、何で爆発なのかは最初からずっと疑問に思っていた事だ。


 そしてそこに、今回浮上した実験という可能性を加えて考えてみる。


 爆裂魔法をしようした町中での実験ってなんだ?


 実験なのだから何かを試している事になる。では何を試す?


 「実験・・・として考えますと、爆裂魔法の術式のテスト、とかでしょうか?」


 なるほど、術式のテストはありそうだ。だが、なら何のためのテストなのかという疑問が新たに生まれる。


 疑問と不明点が出るばかりで、全く答えに辿り着かない。


 「術式のテストねぇ・・・。ありえそうだとは思うけど、それなら別に町中で、しかも人相手にやらなくてもいい事なんだよねぇ。」


 「そうだな。でも、ルチルの時以外は必ず犠牲者が出てる。」


 「そう、それ。それを踏まえて考えると、人相手じゃないとダメな実験だったんじゃないかな?」


 「・・・相手が死ぬ前提か?クソだな。」


 メイの推測に、心底嫌そうな顔をしたグレンは、犯人に対する侮蔑を口汚く吐き捨てる。


 同じような気持ちを感じているナインも、隠す事なく眉を寄せて嫌悪感を露わにする。


 向かいに座るルチルも、ナインと同じように眉を寄せていた。


 メイに至っては、自分で言って自分でイラついているようだ。眉を寄せるだけじゃなく、口がへの字になっている。


 それからしばらく、僕達は無言でテーブルを囲む。4人全員が事件について、何か他に思い当たる事は無いかと考え始めた。


 ナインは今推測している部分から、他に予想できる事は無いか考え始めていた。


 爆裂魔法による人を対象とした何らかの実験。


 人を対象にしているという部分と、実験の部分はおそらく間違ってはいないだろう。


 ならば次に考えるのは、爆裂魔法という部分だ。


 これは正しいのか?本当に爆裂魔法か?爆裂魔法を使用して事件を起こしているって言っていたのは誰だった?警備隊ではなかったか?信用出来るのか?


 警備隊は事件に関わってはいないだろうと僕達は考えている。上からの命令を聞いているだけのような感じだったからな。


 そんな警備隊だからこそ、犯人がルチルだと嘘を教えられたように、犯行方法もまた、嘘を教えられていたのではないか?


 となればやはり爆裂魔法ではなく、何かの爆発物の可能性があるのでは?


 ふむ・・・、これも可能性がありえそうだな。とりあえずみんなに話してみよう。意見が欲しい。


 「なあ、これって本当に爆裂魔法なのか?」


 「ん?爆発方法が?」


 「うん。」


 「なんでそう思ったの?」


 表情を戻したメイに理由を聞かれたナインは、ソファの上で居住まいを正すと理由を語り始めた。


 爆裂魔法と最初に言ったのは警備隊だった。だが事件に関わってないだろうとはいえ、犯人や犯行方法などの情報は信用出来ない。嘘の可能性がある。


 メイは時折頷きながら、真剣に聞いていた。そして聞き終えた彼女は腕を組み、目線を下げると考え込み出した。


 すぐに意見や質問が返ってこないだろうとは思っていたので、一応、一緒に話を聞いていたであろうルチルとグレンの様子を確認してみる。


 2人もメイと同じように、僕の推測とその理由について考えているようだった。


 また暫し無言の時間が流れる。


 さて、みんなはどう思ってどう考えるかな?


 おやつとしてテーブルに置かれたクッキーを手に取り、口に運びながら彼女達の考えをゆっくりと待った。


 「・・・うん、理由はわかったよ。ナインは爆裂魔法じゃなく、何かの爆発物だって考えたんだね?」

予告通り、今週から土日がお休みです。


また月曜日に。

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