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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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109 今日の報告


 「そんじゃまずは昨日の爆発現場からだな。とりあえず行ってみたんだが、ぶっちゃけこれといった発見は無かった。」


 現場には焦げ跡とひび割れくらいしか見つからなかった。人っ子1人いなかったくらいだ。


 まあ誰もいないのも変だという話になったのだが。


 「そっかー、やっぱり何も残ってないよね。」


 メイは予想していたのか特にこれといった反応は無かった。


 「数十分は探したんだけどね。」


 「ああ。」


 本当に何も無かった。


 「んで、爆発現場に行った時に警備隊がいねぇのが気になってよ。調べ終わった後に警備隊にちょっと探りを入れてきたんだよ。」


 「え!?だ、大丈夫だったんですか?」


 ルチルが驚きを隠せず少しだけ前のめりになる。そんな危険な事をしなくてもとでも言いたげな顔だ。


 だが警備隊に直接接触したほうが情報を手に入れれる可能性が高かった。なので仕方ないのだ。


 僕はめちゃくちゃ怖かったけど。


 「ヘマしねえように一応気を付けたから大丈夫だ。たぶんな。」


 「・・・たぶんなんですか?」


 「何回も行かなきゃ大丈夫だ。それより話し続けんぞ。」


 謎の自信で問題無いと公言するグレン。すごいドキドキしたけど、僕も1回くらいなら問題無いと思ったので大丈夫だろう。


 それからグレンは、メイとルチルに警備隊の隊長らしき人物と話した内容を出来る限り鮮明に伝えていった。












 「・・・なるほど。」


 十分ほどかけ、警備隊との会話の内容を2人に伝え終える。


 聞き終えたメイは顎に手を当てて考え込み出す。ルチルも似たように考え込み出した。


 思い返しながら話の整理でもしているのだろう。


 この後に、警備隊の会話からわかった事などをみんなで整理しようと思っていたが、彼女達が落ち着いてからがいいだろう。


 ナイン自身も警備隊との会話で気になった部分があるので、黙ってゆっくりと待つ事にする。


 隣に座るグレンも同じように待つ構えのようだ。グラスにお酒を追加し、美味しそうに飲みながらまったりとしている。


 そんなに美味しいのだろうか?僕はまだお酒を飲んだ事が無いので味の想像が全然つかない。


 夜に酔っ払いをよく見るが、アルコールで酔うという感覚もいまいちわからない。


 果たしてどんな感じなのだろうか。明日お酒を買う予定なので、楽しみにしておこう。


 「・・・あ、ごめんね、おまたせ。」


 「すいません。ちょっと考え込んでました。」


 明日買うお酒について考えていると、メイとルチルが申し訳なさそうにしながら謝罪してきた。


 どうやら考えがまとめ終わったようだ。


 「気にすんな。それより、話してみた感じ俺の予想じゃ、警備隊は爆発事件に関わってねえと思う。」


 「僕もそう思った。豊漁祭開催について聞いたら、なんか隊長みたいな人困った顔してたよね。」


 「ああ、おそらくあの人は中止したほうがいいって思ってたんだろう。だが上からそんな方針も指示も無かったんじゃねえかな。だから困ってんだろ。」


 「そんな感じの雰囲気っていうか、言い方だったね。」


 中止という話は無い。この発言を困ったような表情で口にしていた。


 警備隊と話をしていた時、グレンの説明した内容と同じような事をナインも感じていた。


 それに


 「グレンが、犯人は捕まったのか?って聞いた時も、答えられない、話せないって言ってたよね。あれも最初、守秘義務だからかな?って思ってたんだけど、なんかそれだけじゃないような感じしなかった?」


 「それな。俺は口止めされてるように感じた。これもよく考えなくても意味わかんねえよな。なんで犯人が捕まってねえ事を隠すんだ?普通隠さないで、町民に注意を促すなり情報提供を願ったりするだろ。危ねえんだからよ。」


 グレンの言う事はもっともだ。町に爆発を起こす危険人物がいる、だから注意しろ。何か見かけたら教えてほしい。これが普通だろう。


 なのに捕まったかは答えられない、話せない。


 これらを踏まえて強引に予想を立てるとすれば。


 「上の人間は、ルチルが犯人だと公にしたくないんじゃないかな。下手にルチルが犯人だと周知しちゃうと、知り合いとか冒険者ギルドから抗議なんかが入る可能性がある。そんな事になればルチルに冤罪をかけているのがバレてしまう。だから中途半端に情報が漏れたりしないように、犯人の確保云々の段階から口止めした。」


 自分で語りながらちょっと強引だと思ってしまう。犯人確保を口止めした理由としてはどうしても弱い気がする。


 「まあ話せなくても守秘義務って事で無理矢理に通せるからな。」


 「うん。」


 グレンが僕の予想に乗ってきた。それにしても守秘義務って便利な言葉だな。言われたら、それなら仕方ないなって何故か納得してしまうくらいだ。


 くだらない事を思い浮かべながら、可能性の高そうな口止め理由を考えていると、ずっと黙って聞いていたメイが口を開いた。


 「やっぱり、ナインが言ってた通りルチルを捕まえたとしても、名前とか公表しなさそうだよね。」


 その可能性が高いと思う。


 さっき自分でも言ったが、ルチルが犯人だと周囲の人が知った場合、知り合いや冒険者ギルドから抗議がなんかが入る可能性がある。


 「・・・たぶん、犯人確保だけ公表して、ルチルが犯人だった事は隠すだろうな。そしてルチルは秘密裏に消す。」


 「ふえぇぇぇっ!?」


 僕の予想にルチルが半泣きで悲痛な声をあげる。そりゃそんな反応になる。こんなの、生贄みたいなものだ。


 「でもそれじゃあ、なんで犯人に選ばれたのがルチルなんだ?公表しねえならルチルじゃなくてもよくねえか?」


 それもそうだ。そこんとこメイはどう考えてるんだ?


 「うーん、流石にわかんないよ。ルチルじゃないとダメだったのか、それともルチルがよかったのか、色々理由があるだろうし。」


 それもそうだ。流石に今ある情報だけじゃわからないだろう。予想も難しそうだ。


 「そうだな。その辺は今後集まる情報しだいか。とりあえず今日の結論として、今のところの予想は、警備隊はおそらく事件に関わってねえ。警備隊の隊長っぽい人は祭を中止した方がいいと思ってそう。犯人確保に関して、理由は不明だが何らかの口止めがありそう。・・・こんな感じか。」


 「あんまりわかんなかったな。それに色々予想を立てたけど、あくまで予想だからなぁ・・・。」


 あくまで予想だ。どこまでいっても想像でしかない。


 何かもっと重要な情報が欲しい。探りを入れた時はかなりビクビクしていたが、やはりもっと強引にいった方がいいのだろうか。


 たらればだな。言っても仕方ない事は忘れよう。


 それよりも明日はどうするかだ。グレンに相談してみるか。


 「明日はどうする?」


 「聞き込みだな。つっても、今日の買い物の時に一応やったが、知ってる情報ばっかだったんだよなあ。」


 「そういえばそうだったな。」


 魚屋や八百屋の店主に聞いてたやつか。爆発事件が起きてたみたいだが、どうなったんだ?ってグレンが聞いてたな。


 返ってくるのは一般的に町で広まっているような事ばかりだったので、グレンがそんな反応になるのもわかるが。


 それでもそんなにいっぱい聞き込みをしたわけじゃない。市場だけでも聞き込み出来る店は沢山ある。


 やるだけやってみよう。


 「よし!じゃあ今日はこの辺でお開きにしよう。しっかりと寝て、また明日だな。」


 「そうすっか。」


 グレンが同意し、テーブルの上を片付けを始める。


 遅れてメイとルチルも片付けを始めた。


 ティーカップや皿などをキッチンに運んでいく。洗い物は留守番組が明日やってくれるとの事だった。


 そうして僕等は片付けを終えると、早々と寝る準備を済ませ、就寝する。


 明日は何か新しい情報が見つかる事を願うばかりだ。

諸事情により明日の更新はお休みになります。


また明後日。

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