100 ルチルについて2
100話だ‼
と喜んでいたら、第0話があったので
実際は101話でした。
皆様、今後ともよろしくお願いします。
「私も気になる。風魔法で移動速度も上げてたよね。あ、言いたくなかったらいいよ。普通はパーティーメンバーとかじゃないと教えないし。」
そういえば一般的には教えないんだったか。
話題を変える為だったのもあるが、気にはなっていたので普通に聞いてしまった事に少しだけ後ろめたさが湧き上がる。
ただ、やはり気になる。自分は魔法スキルの取得が出来ないので、憧れみたいなのがあるのだ。
「いえ、大丈夫ですよ。私が使えるのは、旋風、大地、重力、光、治癒の5つです。」
特に気にした様子もなく、あっさりとした口調で自身の持つ魔法スキルを口にするルチル。僕達を信用してくれているのか、隠す気は無いらしい。
いや、疑われる可能性を極力減らしたい。という思いがあるからかもしれない。
「5つもあるんだ。」
スキル枠の半分が魔法スキルなのか。というか、旋風に大地か。重力は使うところを見てたからわかるが、風じゃなかったらしい。
旋風とは、旋風魔法の事だ。風魔法スキルのレベルを30まで上げる事で取得する事ができる。
大地は、大地魔法の事だ。こちらも旋風魔法の時と同じく、地魔法スキルのレベルを30まで上げる事で取得が可能だ。
そして重力魔法。これは地魔法の派生スキルだ。
地魔法の進化スキルが大地魔法。派生スキルが重力魔法といった具合である。
因みに、先に説明した風魔法の派生スキルは、大気魔法という。
それと、ルチルが使って事件を起こしたと疑われた爆裂魔法は、炎魔法の派生スキルだ。進化スキルは火炎魔法という。
光魔法に関しては、まだナインは見たことが無い。知識としてあるだけだ。
主な特徴としては、陽光の特性を持ったものや、聖なる光による浄化などが出来る魔法である。アンデッドや死霊、闇属性の魔物などに特攻を持っている。
治癒魔法は、名前の通り治癒効果のある魔法が使えるスキルだ。パーティーを組んでいる場合は一部のメンバーが持つ事が多いが、ソロの場合は、ほぼほぼ所持しているスキルだ。
ナインとメイは自力で再生が出来るので必要無い。というよりそもそも取得出来ない。
「5つも魔法スキルを持ってるって事は、武器スキルは持ってないの?」
ルチルのスキル構成を想像したメイは、おそらく取得していないだろうとわかっていながらも質問した。
近接は杖で叩くくらいって言ってたもんな。叩くだけなら武器スキルもいらないだろう。
「持ってないです。あの、スキルに関してはとくに隠したい訳じゃないので、教えますよ?」
「いいの?」
「はい。それに魔法使いが取るスキルって結構偏りがありますから、すぐに気付かれちゃうので。」
「あー、まあそうだね。」
ルチルの言葉にメイがこくこくと頷きながら納得する。そして聞くだけになっていたナインどグレンも納得したような表情をする。
魔法使いが取るスキルとは、魔法や魔力に関係するスキルだ。
となればルチルが持っているスキルはナインや、おそらくグレンも持っているスキルだろう。
「魔法スキル以外は、鑑定、魔力統制、MP回復UP、消費MP減少、高速魔法です。」
ルチルがゆっくりと自身の持つスキルを口にする。
鑑定とMP回復UPはナインも持っているのでよく知っているスキルだ。
消費MP減少は、スキルリストを見ている時に見かけた事がある。名前の通り、MPの消費量を減らしてくれるスキルだ。魔法使いならば必要なスキルと言えよう。
高速魔法もスキルリストで見た記憶がある。たしか、このスキルも名前の通り、魔法の発動を速めるものだったはずだ。
無属性魔法には効果が無いのでナインは取得していない。魔法スキルが対象となるスキルだからだ。
残りの魔力統制は・・・、正直わからない。
たぶん進化したスキルだと思う。
「なあメイ。魔力統制ってなに?」
「魔力統制は、魔力制御と魔力感知のスキルを統合したスキルだよ。」
わからないのでわかる人に聞けば早いと、メイに尋ねる。すると、打てば響くようにすぐ答えが返ってきた。
「統合?あれって合体するの?」
「するよ。魔力制御と魔力感知Ⅱのスキルレベルが40になると、進化先としてスキルに表示されるんだよ。」
「へー・・・、ん?てことは、スキル枠1個空きができるって事か?」
「そうそう。」
かなり便利になるじゃないか。
メイの簡単な解説を聞き、セットを泣く泣く諦めたスキル達を頭の中で思い浮かべる。
まだ魔力制御も魔力感知Ⅱもスキルレベルが低いので、取得は先の話にはなるのだが、浮かれたナインの頭にはその事実が浮かんでこない。
「それにしても、本当に純魔法使いのスキル構成だね。ソロじゃなくて、パーティー所属の魔法使いって言われた方が信じれるよ。」
「よく言われます。」
「ソロでやってるのはお金のためって言ってたけど、魔法使いだと大変じゃない?」
「結構大変ですね。でも、憧れている魔法使いがいるんです。それで、その人もソロだったみたいなので、私も。と・・・。」
ソロだと大変じゃないかと思ったメイは、ルチルに対してとても心配した表情をする。
ルチル自身も、メイに心配されているのがわかったが、やめるつもりはないとばかりに自身の憧れを口にする。
ソロだった、か。もういない人なのかな?過去の偉人とかか?その辺の知識は無いから、全然わからん。
「憧れている魔法使い?誰だ?」
グレンも気になったのか、お酒が入ったグラス片手にルチルに尋ねる。
「翠の賢者です。」
・・・誰だ?
「あー、あれか。」
ナインには全くわからないが、どうやらグレンは知っているようだ。
グレンが知ってるならメイも知ってるだろうと思い、隣に目を向ける。
何ともいえない微妙な顔をしたメイがそこにいた。可愛い顔が台無しである。
「メイ?どうした?」
「いや・・・、翠の賢者か、って思っただけ。」
「知ってるのか?」
知ってるかと聞いたが、たぶん知っているのだろう。じゃなければこんな微妙な表情はしないはずだ。
もしかしたら直接見た事すらあるかもしれない。
「うん、まあ。」
「やっぱり知ってるんだ。なんか僕だけ知らないみたいだからさ、ちょっと教えくれない?」
また明日。