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レゾンデートル  作者: 星街海音
第二章 海町は明日を願う
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099 ルチルについて1


 情報整理に方針、そして明日の行動予定を立てたナイン達はその後、部屋にあるキッチンで簡単な夕食を作るとささっと食事を済ませた。


 その際、ルチル以外の3人は普通に食べたのだが、心身ともに疲れ切っていた彼女はあまり食べられなかった。


 一応、何か食べられそうなものがあるなら買って来ようか?と提案したのだが、そもそも食欲が無い、というより無くなってしまったために、申し訳なさそうにしながら断ってきた。


 「そういえばルチルって純魔法使いだよね?」


 今日する爆発事件に関しての話は、夕食前に終わった。なので、それとは関係の無いルチル自身の事について教えてもらおうと思った。


 それに、話題が爆発事件から離れればルチルの食欲も戻るかもしれないからな。


 「はい、そうですよ。」


 「近接戦闘は?」


 「えと、杖で叩くくらいしか出来ないです。」


 ソファに深く座りながら食後のお茶を飲んでいたルチルは、軽く座り直すと、ちょっぴり恥ずかしそうにしながら答えてくれた。


 話しぶりからして、近接はほとんど出来ないようだ。


 「でもソロ冒険者なんだろ?大丈夫なのか?」


 バッグから酒瓶を取り出したグレンが話に混ざる。


 ナインも同じ事を聞こうと思っていたので、開きかけた口を閉じ、ルチルに視線を戻す。


 「大丈夫ですよ。これでもCランクですから。それに、ずっとソロでやってきましたからね。」


 「Cランク!グレンと同じか。それにしてもずっとソロ?何か理由があるのか?」


 彼女の冒険者ランクがCというのにも驚いたが、純魔法使いでずっとソロというのにも驚く。


 何かパーティーを組みたくない、もしくは組めない理由があるのだろうか?


 「グレンさんCなんですね。それと、私がソロでやってる理由は・・・、お金が欲しいからです。」


 「「「お金?」」」


 恥ずかしいのか下を向いて両手で顔を隠すルチル。対してナイン達3人は予想外な答えに揃って声を出し、首を傾げる。


 正直、お金好きには全く見えない。


 「はい・・・。あの、私、魔道具が好きで。でも魔道具って基本高いんです。だから、お金が・・・。」


 顔を上げたルチルは理由を話しながらスッ、と目を逸らした。


 そう言えば倉庫街で話した時に、魔道具が好きって言ってたな。しかもかなり興奮して。


 変装時にした会話を思い出し、その時のテンションの上がり具合から、彼女はかなりの魔道具好きだと判断する。


 趣味人というやつかもしれない。


 「じゃあ、稼いだお金はほとんど魔道具購入に使ってるの?」


 「ほとんどではないですよ。装備にももちろん使いますから。ソロなので出来る限り良い物を装備しないと、危ないですからね。」


 「それもそうだね。そういえば、豊漁祭に参加するためって言ってたけど、やっぱり魔道具目当て?」


 「そうです。こういう大きいお祭りだと、珍しい魔道具が売りに出される事がよくあるので。それに、港町のお祭りですからね。」


 魔道具目当てでわざわざカルヴァースまでやってきたらしい。何とも行動力のある人だ。


 だが港町のお祭りだからとはどう言う事だろう。


 「港町のお祭りだと何か違うのか?」


 「そりゃ、他の大陸の商人が船に乗って沢山やって来るからさ。となれば、色々な商品が集まるだろ?」


 「そうだな。」


 「つう事は、珍しい魔道具もあるって事さ。ルチルの目当てはそれだろ。」


 「そうです。」


 なるほど、そういう事か。確かに珍しい魔道具がありそうだ。


 それに、もしかしたら魔剣とかもあるかもしれないな。絶対買えないけど。見たいな。


 グレンとルチルの言葉を聞き、まだ見ぬ魔剣に思いを馳せる。だが同時に、このままでは見に行く事は出来ないだろうとも考える。


 祭り当日までに事件が解決するかもわからないし、そもそも祭りが開催されなくなるかもしれないからだ。


 今のところ、豊漁祭開催までに解決できる可能性はかなり低い。


 「そういえば、重力魔法使ってたけど、他は何の魔法が使えるんだ?」


 このまま話しを進めると、ルチルの元気がまた無くなりかねないので話を変える事にする。


 珍しい魔道具目当てでわざわざカルヴァースまで来たのに、このままだと見に行く事すら出来ない。それなのに話を続けるのはかわいそうだからだ。


 「私も気になる。風魔法で移動速度も上げてたよね。あ、言いたくなかったらいいよ。普通はパーティーメンバーとかじゃないと教えないし。」

明日、明後日は休載です。

また木曜日に。

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