000 終わりで始まり
初執筆、初投稿です。
更新は毎日を予定していますが
状況によって投稿できない時がございますので
ご了承ください。
よろしくお願いします。
暗く深い場所。
まるで海のような場所。
僕はずっと漂っている。
ここがどこかもわからない。
僕が誰かもわからない。
時間だけが過ぎていった。
僕という存在が少しずつ泡となって溶けていく感覚がする。
僕は、死んだのだろうか。
それもわからなかった。
記憶も少しずつ消えてしまった。
未だ残ったのは、僕がここを漂う直前の記憶。ただそれだけ。
遺跡のような場所に鎮座した黒い塊。僕と五人の仲間。そして塊に近づいた僕たちは、その塊から突如現れた黒い靄に飲み込まれた。
僕も含めて仲間たちは叫び声を上げた。
それはまるで己という存在を押し潰してくるような感覚だった。
そして仲間たちはゆっくりと声を落とすと一人、また一人と・・・
塵になった。
最後に残った僕が見たのはそこまでだった。
その後はもうここを漂っていた。
なにもできなかったという思いが、小さくなった僕の中に記憶と共に残り続ける。
どうしたらよかったのだろう。
そう考えても記憶も自分のこともわからない僕には答えなど出せない。
ただ・・・
「あんな思いは、二度とごめんだ・・・。」
どれだけの時間が経ったのだろう。
残っていた記憶すら思い出せなくなってしまった。
でもその事になんの感情も浮かんでこない。
いよいよ僕は消えるのだろう。
そう予感することはできた。
光が現れた。
虹色に光る、とても明るく、そしてとても暖かい光だ。
今にも消えそうな僕はただその光を見つめた。
残った最後の心があれを求めたていたからだ。
見つめ続けていると、光も僕を見ているような気がした。
そうして僕を呼んだような気がした。
行かなければ。
あそこに行かなければ。
あの光が終着点なのだ。
僕はあるのかもわからない力で進んだ。
自分でも無理をしているのがわかる。
ただでさえ残り滓のような僕が少しずつ剥がれていっている。
だがそれでも進む。
だってこれで終われるのだから。
この、なにもない世界から。
距離も時間とても長く感じる。
でももうすぐ。もう目の前だ。
そしてようやく、僕は虹の光の近くまで来た。
近づきながらよく見れば光は人の形をしている。
人なのだろうか。
まあ、よくわからないがなんでもいいだろう。
目の前まで来ると虹の人は両手を伸ばしてきた。
それはまるで抱き止めようとしているようだ。
それから虹の人は小さな声でなにかを呟くと、僕をゆっくり抱きしめた。
暖かさと、そして優しさを感じる。
あぁ・・・、終わった。
やっと・・・。
そして僕はゆっくりと虹の光に溶けていった。
『おやすみなさい・・・。』
小説を書くってなかなか難しいですね。