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透き通った霧  作者: 私
幼年期
1/2

普通ではない私の何気ない日々

これは私が生きた証明の為に書かせてもらう。


初めに言っておこう。これは嘘の物語だ。

異常者が書いた嘘で塗り固めた嘘のような話である。


S県


立ち並んだ住宅街、大きなショッピングセンターそんな景色に似合わない街の中心にある透き通った川。

1990年代のそんな町で私は生まれた。

3200gの男の子。母親は産むのが大変だったと言っていた。


幼少期は両親に愛されて過ごしていたと思う。両親が言うには立ち上がり、単語を話したのはのは普通の人より早かったとのこと。

ちなみに生まれて初めて喋った言葉は「おうま」だった。

それを聞いた両親は「競馬ぐるいになるのかな。」と少し心配したらしい。そんな両親は名馬オグリキャップのおかげで結婚できたんだとか。

そんな話を聞かされたのは確か中学生の頃の話である。


私は泣くときに変な癖があったと聞いた。それは顎笑しゃくれながら必ず右を向いて泣くと言うおかしな癖だった。

私はよく泣く赤子だった。

その癖のことを私が知るには時間はかからなかった。


3年後に弟ができた。

弟も私と同じく立ち上がり、単語を話すのは人より早かったらしい。

だが、違うところが一つあった。それは日本語も早か覚えられたとのことだった。


幼稚園の頃の私はよく言えばやんちゃ、悪く言えば落ち着きのない子だった。幼馴染の加藤くん(仮名)と鈴原くん(仮名)とよくグランドに出ては遊具で遊んだ。


そんな私は小学生になった。

幼稚園と違い、人が何倍にもいたて期待でむねがふくらんみ、「

ピカピカの一年生。友達をたくさん作る!」

そんな気持ちで入学したのを思い出す。だが、最も鮮明に思い出せるのは隣の席の女の子の一言だった。


「あんたの目の位置と、アゴの位置がおかしい。気持ち悪い。」

(何を言ってんだこいつ…。)

私は疑問が浮かんだ。本当に意味がわからない。初対面なのになんだ?と当時おもっていた。

「こいつマジでやばい!またアゴがキモい!」

そう女の子が話すとクラス中の視線は自分に向いた。

「ホントだ!」「きもい!」「びょうきだ!」とクラス中が騒ぎ、先生が止めても収集がつかなかった。

私は本当にわからなかった。加藤くんと鈴原くんにもそんな事言われた事も無いし幼稚園でも普通に遊んでいたのだ。

頭の中が疑問で一杯になって言われない誹謗中傷でいっぱいの中私は泣いた。

その日はうまく収まり、自宅に帰り、母親に聞いた。

「俺って気持ち悪い?」

そんな事ないよ的な事を母親が言ったと記憶をしている。

それでもモヤモヤが残り、歯磨きの最中に鏡を見た。

確かに、目が左右非対称で、アゴもしゃくれていて、顔の形も非対称であった。

クラスの子達の言っていたことは何も間違ってはいなかった。原因は多分あの癖のせいだった。幼少期のあの泣き方は徐々に頭と顎の骨格を変形させ、顔を歪ませたのだ。

私はこの時初めて、自分がおかしいと気付いてしてしまった。だが、それはおかしな私のほんの一部だった。


幸い、イジメは起こらずに2年生3年生と徐々にら学年は上がっていった。クラスからは少し避けられていたが、加藤くんと鈴原くん、そして新しか友達になってくれた。赤原くん(仮名)、柳くん(仮名)など、少なからずのメンバーで日々を過ごしていた。

特に加藤くんは足が早く、クラスからも人気があった。

だが、幼馴染の私を蔑ろにせずにいつもつるんでいた。


ある日、私と幼馴染と友達はある物を作ることにした。

言い出しっぺは柳くんだった。

私の時代には男の誰もが憧れて求めたもの、最高の遊び場。その名は


秘密基地


みんな賛成した。無論私も賛成した。

早速その日から作戦会議が始まった。何があると楽しいとかどんな場所に建てようとかそんな話をしてたと思う。

最初は場所を決めることにした。

川のほとりとか隣町の公園とか色々候補を出した。

色々見に行ったが、どこもピンとくるところがなく、早くも難航

をした。

そんな時、私は思ったのだ。学校の近くに誰もこなさそうな場所がそれは、小学校の近くにあるH山だった。

下校後にふとよれて、頂上までそんなに時間をかけず、尚且つ誰もこなさそうなそうな場所であり、そんな頂上には展望台比較的大きな展望台がある。水道もあるのが最高だった。

私が提案するとみんなが賛成をしてくれ、早速休みの日に視察を開始。半日誰も来ない事を確認してから早速そこを丸々秘密基地にた。

次の日から各自でものを持ち寄った。

バットとボール。プラモデル。デュ○マのデッキ、ソフビ、100均の刀とモデルガン、ホースなど今では考えられないものや、赤原くんと加藤くんが近所でもらってきた椅子代わりの沢山のビールケース、私が拾いバカバカ団(みんなで考えたチーム名)と書いた布を木の棒にくくりつけた旗が秘密基地感をより高め、みんなテンションが上がり、毎日学校帰りに寄っては遊び、廊下から見えた山の展望台を見てあそこが俺達の基地なんだと思いながら放課後まで過ごしていた。


そんな4年生になってから、私のおかしさの片鱗を見せ始めた。

勉強についていけず、運動も音楽も音痴だと周りも自分も気づき始め、友達以外とは孤立していた。

私と違い優れている弟はクラスの中では人気になり、親にもたくさんのエピソードを話していた。

孤立していてそんなエピソードがない私は親に学校の話ができず、幼馴染と友達との話しかしなかった。

出来る弟と不出来な兄、普通の人ならどちらに愛情と期待を注ぐかは一目瞭然だろう。

両親は普通の人だった。


そんなは日々に転機が訪れた。それは5年生の頃、初めて女の子に優しくしてもらった。そらは隣の席の玲奈さん(仮名)だった。

彼女は誰にでも優しく、私も優しくしてもらった。

初恋。大恋愛。

例えるなら霧が晴れて透き通った視界な中に見えた大きな桜の様な感覚だっただろう。今でもまるで呪いかのように思い出せる。

その日から子供ながらにアピールをした。何か話題を放り出しては積極的に話す。困ってそうな時は手を差し出す。誰かと話しているときはついつい目で追ってしまったりした。

恥ずかしながら、バカバカ団のみんなに相談した。鈴原くんや柳くんは少し煽ってが加藤くんは

「俺も協力するわ」

とイケメンがイケメンみたいな事を言ってくれた。

赤原くんは無言だった。


みんな言いふらすようなことはなく、加藤くんはちょくちょく話をしながらいちごが好きとか、犬○叉が好きとかを聞いた。

かく言う私はフルーツが苦手で特にいちごがダメだった。いち○100%は好きだった。クラスの奴らは誰も知らなかった。

かすりもしなかったのだ。せっかくなので赤城くんと柳くんが持っていた犬夜○を借りて秘密基地で読んでみたがどうも好きになれなかった。めぞ○一刻とら○まはハマった。

親に頼んでめぞ○一刻などを買ってもらおうとしたが怪訝な顔をしていたので私はこれも普通じゃないのかと思い、買うのを諦めた。


今、思い返してみると私は何かを買ってもらったことはあまりなかった。買ってもらうとしても弟とセットであった。

ポ○モンのルビーサファイアや金銀。マンガも興味が一致したら、

なのに持っているソフトは弟の方が多かった。

最初は借りてるのかなと思ったが、それは違った。

いつの記憶か忘れたが、たまたま入った中古屋で1人で立ち読みしていたら親と弟がゲームを選んでいるところをみてしまったのだ。

何か言おうとしたが何も言えなかった。家での立場は最下位だから。我慢をした。いつか報われる日が来ると、俺には最高の友達がいると。そう自分に言い聞かせたのを覚えている。


話を戻そう。

そんなこんなで小学校を卒業をした俺だが、まだ玲奈さんに告白する勇気がなかった。幸い、小学生の頃には色恋沙汰の噂はなかったので中学生になったらと先延ばしにしていた。

ちなみに親は見にきてくれなかった。

せっかくなのでいつものメンバーで帰ろうとするがみんな親と帰ると言ってた。卒業でさえ、私は普通ではなかったのだ。

ふと、赤原くんの姿が見えないことに気が付いた。

探してみると、誰もいないグランドのアスレチックの裏に放心状態の彼がいた。

その目には薄ら涙が見えたのでどうしたのか聞くと彼は振られたらしい。しかも玲奈さんに。

フィクションでありがちな展開に内心驚いたがあの日の沈黙の意味も2年越しに理解をした。

その日、彼は両親とは帰らず私と一緒にいつもの秘密基地に直行し、街全体に聞こえるような男泣きをした。

しばらくするといつものみんなが集まり励ました。

最初は元気がなかった彼だが太陽が隠れそうなぐらいの時間にポツポツと経緯を話し出した。

好きになったのは3年生の頃だったこと、奥手だったので話かけられなかった事、話をしている私をみて少し羨ましく思っていた事、加藤くんの情報で妄想をしていた事など。

肝心の振られた理由は

「他に好きな人が居る。」

と言うありきたりな話だった。

当時、自惚れていた私はきっと自分の事だろうと本気で思っていた。

最後に彼は

「お前も頑張れよ。あの子メチャクチャモテるし、今日俺で3人目だって。あと1人にこの後呼ばれたらしいよ」

と聞き正直不安で吐きそうになった。

それぐらい、私は夢中だったのだ。

しばらくの間、私の心の大きな桜は霞がかかる事になる。

話終わった時には空が暗くなり、街に灯りがともり始めていた。

秘密基地から見えたその景色はまるで地上にある天の川みたいに無数の光が中心の川を囲むように広がっていった。

私たちはそれに見惚れ、まだ開けてなかったジュースで乾杯をした。

その日の私たちは泣いた。笑った。叫んだ。悲しんだ。

まるで、感動巨編のエンディングの様でスタッフロールが流れても不思議ではなかった。

同時に、次回予告が流れる様なワクワク感があった。少しだけ大人になった喜びがあった。小学生が終わると言う虚無感があった。


未来は希望で満ち溢れていた。


これが、小学生までの私の生きた証だ


普通ではない小学生の私と普通とは呼べない友情で結ばれた友達に恵まれ今でも夢の中ではその時代の彼らがあの秘密基地ではしゃぐ姿を時々みる。

あの頃に戻れたらと心から思う。無垢なままでいたかった。

今の様になんでも買えるわけでは無かったし、携帯電話なんて高級品持ってる子供なんてまずいなかったけど、不便はしなかった。

冒険と自由があったのだ。

今ならオト○帝国での大人たちの気持ちが痛いほどわかる。



過去に戻れはしない

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