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《WEB版》『お飾り』なんてまっぴらごめんです!  作者: 友坂 悠@書籍化しました!!(電子書籍配信中です!!)


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クローゼット。

 真っ暗な部屋。

「ライト!」

 アークの権能、ライトの魔法。

 空中にホワンと光の球が浮かび、辺りを照らしてくれた。

 色とりどりのドレスが掛かるそこ。ちょっと狭いお部屋だけど、わたくしの私物が色々仕舞ってあるそこ、寝室の隣のクローゼットの中にちゃんとたどり着いて。

 さあどうしようと一瞬躊躇したけれど、まさかドレスを着るわけにもいかない。

 これから、なんとかこの国から逃げ出さなければいけないんだもの。

 先輩たちの誰かなら、もしかしたらわたくしの味方をしてくださる方もいるかもしれない。

 でも、相手は一応この国の国王だもの。

 正面から逆らえるとも限らない。


 とりあえず、基本は乗馬服がいいかな?

 馬にだって乗れないとだめかもしれないし。


 ブーツにキュロット。上着は厚手のワンピースを羽織りウエスト部分をコルセットで止める。

 後は、寒さにも耐えるよう厚手のマントも持ち出さなきゃ。

 長旅になるかもしれないから、下着やタイツもリュックに詰めた。


 流石にね?

 ここから帝都まで跳ぶのは今のわたくしには無理だ。

 空間転移っていうのは精霊アウラの権能なんだけど、結局転移先の座標? そういったものをちゃんと理解していないとできなかった。

 今でも、ここであれば距離的にも近いし何度も来たことがある、わたくしの心にちゃんと場所として残っているからアウラも大丈夫だったけれど、遠距離になるとそもそもその転移先の座標計算っていうのがとんでもなく複雑になるらしい。

 一つ間違うと、転移しちゃいけない場所に転移してしまったり、もう全く違う世界にだって跳ばされちゃうかもしれない。

 それぐらい危険な魔法。

 習得している人もそんなに多くないはず。少なくとも、わたくしの知っている人でこの魔法が使える人はいなかった。

 わたくしだって、昔に帝都の図書館で見つけた文献にあったこの魔法。結局そのやり方はアウラに直に聞いてみなければわからなかったもの。


 だから。

 どうしてもなんとしてもこっそりここから逃げるには……。


 馬か馬車。

 そんなのを手に入れるしかない??

 やっぱりマキナスにまず頼ってみるしかないかな?


 ほんの少しだけでもいい。

 ここから逃げるために、なんとか手を貸してもらえないだろうか。

 クレインに内緒でこっそり馬車を手配してもらうだけでもいい。

 彼にだったら、念話がつながる。

 前にも何度もそうやって頼み事をしたことがあるし。


 そんなことを思案しながらゴソゴソとクローゼットの中を移動していたわたくしの耳に、キィっという音が聞こえた。

 寝室の扉が開いて、人が中を覗いている?

 そんな気配に、身体がびくって震えた。

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