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オルコット子爵家物語

なぜ、先に婚約破棄したと言われても・・・

作者: みのみさ

定番の婚約破棄ですが、先にやらかされたらどうなるかな? と、ふと思いつきましてーー

楽しんでいただけたら、幸いです。


8/15 日刊短編ランキング11位になりました。皆様のおかげです。ありがとうございます。

「アイリス・オルコット! 貴様との婚約を破棄するつもりだったのに、なぜ先に婚約破棄した!」

 談話室の扉を開けるなり、いきなり大声をあげたのはジェイミー・ベインズ侯爵令息だった。談話室はしんと静まり返り、誰もがアホな発言者へと白い目を向けた。


 王国一の名門校――貴族学院はもうすぐ卒業式を迎える。

 最終学年はほとんど授業はなく、卒業式やその後の卒業パーティーの支度や卒業後も縁を繋ぎたい相手と連絡先の交換や訪問予定を詰めるなど、今から社交界にでる準備中だ。

 貴族学院は全寮制だった。

 寮生活でも学生同士の交流を深めるのが目的で、入寮は健康上の理由などでもない限り必須だ。貴族専門の学び舎で男子寮と女子寮に分かれており、各自一名のみ従者や侍女を伴えていた。談話室は唯一寮内で男女の学生が同席できる共同スペースだ。

 まだ婚約者がいない男女が最後の思い出にと、パーティーのエスコート役を探して交渉中でもある。

 そこへアホな発言と共に現れたジェイミーは邪魔者でしかない。


「アイリス! 質問に答えろ!」

「まあ。元婚約者様、ご機嫌よう。貴方との婚約は一カ月も前に白紙撤回されてますのに、今さら何を仰っているの?」

 窓際のソファーから立ち上がったのは艶のある栗毛に緑の瞳の令嬢だ。アイリスは会話中の学友たちに目線で断りを入れると、不思議そうに元婚約者とその背後の取り巻きを眺めた。

 ジェイミーの後ろには一人の薄紅色の髪の可憐な少女を守るように数人の男子生徒が群れていた。いずれも、下位貴族で婚約者がいるのに在学中から少女に侍っていた輩だ。薄紅色の髪の少女は母が亡くなってオルコット子爵家にひきとられたダイアンだ。

 アイリスはダイアンを見て、小首を傾げた。

「わたくしとの婚約がなくなったのですもの。これで堂々とダイアンと懇意にできるではないですか。何を怒っていらっしゃるのかしら?」

 ジェイミーは入学当初からアイリスを放ったらかして、学院内の所かまわずダイアンと親密になっていた。婚約者がいるのに蔑ろにして、他の女性と親しくしているなんて貴族社会では十分不貞行為だ。

 だが、ジェイミーは周囲の浮気者認定にアイリスに虐げられているダイアンの力になっているだけだと反論して行動を正すことはなかった。


「一カ月前だと? 聞いてないぞ! しかも、白紙撤回とはどういう事だ!」

「貴方のご両親――ベインズ侯爵夫妻が貴方に手紙をだすと言っていたわ。

 話し合おうとして呼びだしても貴方が全然邸に帰ってこないからと。貴方の従者は全て把握しているはずよ」

 寮生活でも週末の休日や長期休暇は帰宅できるが、ジェイミーは学院に入学してからはあまり帰宅していなかった。学院での成績が奮わずに両親から説教されるのが億劫だったのだ。手紙も叱責の言葉ばかりだから、まともに目を通しもしなかった。開封もせずに放っておいている状態だ。

 ジェイミーはそう言えば、従者から手紙を読めと何度も忠告されていたと、今更ながらに思いだした。


「お前とは5年間も婚約していたのだ。破棄するなら、一言ぐらい謝罪すべきだろう?」

「あら、どうして、わたくしが謝罪しなければなりませんの? 

 第一、破棄ではなく、貴方の不貞行為が理由で白紙撤回になりましたのよ」

 アイリスの言葉に同席の学友だけでなく、談話室中の全員が頷いた。

 白紙撤回は婚約の事実そのものもなくす。全く関わりのない赤の他人と宣言されたのだ。それなのに、ジェイミーがアイリスの名を呼び捨てにし、お前呼ばわりするなんて非常識の限りだった。


「アイリスお姉様! 酷いわ。わたくしを虐めるようにジェイミー様にも失礼な事をなさるなんて・・・」

「ダイアン、お姉様と呼ばないで、と言っているでしょう。いい加減にしてくれないかしら?」

「なんだと、この悪女め!」

「ダイアンが可哀想だろう」

「妹を虐げるなんて、なんて悪逆非道な姉なんだ!」

 騒ぎだしたのはダイアンに侍る令息たちだった。アイリスは頭痛がしてきてこめかみを押さえた。


「このような場で大騒ぎはやめてくださる? 部外者はひっこんでいてくださいな。ベインズ様、ダイアン、無関係な方たちは下げさせて。まともに話ができないわ」

「まあ、なんて酷い。この方たちはわたくしを心配してくれてるのよ」

「そうだ、彼らは皆お前のような悪女に虐げられたダイアンの味方だ。お前は誰も味方する者がいないからと僻んで」

「え、バカなの? 君たち、よくも恥ずかしくないものだね。周りをよく見てごらんよ」

 ジェイミーを遮り、冷笑と共に侮蔑の眼差しを向けたのはアイリスの学友の一人だ。銀縁メガネがよく似合うクールな美形だった。

 ダイアンの目が思わずハートマークになって、ジェイミーは不機嫌そうに相手を睨みつけた。


「誰だ、貴様。無礼な上に不作法な。類は友を呼ぶんだな。アイリスのような悪女に加担するだけはある」

「無礼なのは君のほうだろう。まさか留学を終えて帰国した従兄弟に、誰だとか? 

 マヌケすぎて笑えるね」

「従兄弟? ・・・お前、ブライアンか!」

「ええ!」

「まさか・・・」

「まああ、本当に?」

 驚愕の叫びをあげるのはジェイミーと取り巻きの令息たちだけだ。最後に喜色をあげたのはダイアンで、うっとりと端正なブライアンの顔に見惚れている。


 ブライアンはケイフォード伯爵家の次男で昨年から隣国へ留学していた。卒業を前に帰国したのだが、手紙を無視しているジェイミーがそれを知るわけがなかった。

 ブライアンは視力が悪くて常に分厚い瓶底メガネをかけていた。顔立ちなんかメガネで占領されていて瞳の色さえ判別できなかったほどだ。それに加えて黒髪で毛髪が多いせいか、もっさりとした印象だった。

 それがメガネを変えて、顔がよく見えるようになった途端、別人のように垢抜けていた。銀縁メガネでも涼やかな目元が顕になり、水色の瞳がはっきりと見えている。もっさりとした黒髪も丁寧に撫でつけられてオールバックだ。前髪をあげているせいか、数歳年上に見えて大人びていた。


「ブライアン様、お姉様に騙されてはいけませんわ。お姉様はお父様にわたくしの悪口をふきこんで、わたくしを使用人のように扱うのです。古い本を書き写しさせたり、ドレスを縫わせようとしたり。

 とても、()()()()のすることではない事をやらせるのよ」

 涙目で訴える美少女の姿は儚げで庇護欲を誘うが、ブライアンはしらっと無表情だ。ジェイミーを始めとするチヤホヤとする取り巻きをゴミでも見るように目を眇める。

 ブライアンはふっと口角をあげてダイアンに皮肉げに微笑んだ。

「留学先ではレンズの加工技術がこの国より進んでいてね。薄いレンズでも度の合うメガネが作られたんだ。私はメガネを変えたぐらいで目の色変えて迫ってくる節操のない雌猫はご免だね」

「あら、子猫ちゃんなんて・・・」

『いや、子猫ちゃんなんて、誰も言ってないから』とその場の全員の心の声がハモった。頬を赤く染めてブライアンに色目を使うダイアンに取り巻き以外はドン引きだ。


「大体、アイリスと君は姉妹ではないだろう? お姉様呼びは失礼じゃないか」

「まああ、ブライアン様。もう、お姉様にすっかり騙されているのね。お気の毒に・・・。

 お姉様はすぐにそうやって、わたくしを貶めるお可哀想な人なのです。お父様に愛されてないから。捻くれて、わたくしを羨んでいるのです」

「そうだ、ブライアン、貴様はそこの悪女に何をふきこまれた? 

 アイリスはダイアンが愛人の子供だからと虐げているんだ。子爵はダイアンを認めてひきとったのだから、ダイアンはアイリスの義妹で間違いない」

「アイリスの名を呼び捨てにするな、ジェイミー。もう、お前と彼女はなんの関係もない、赤の他人だ。

 私の婚約者に無礼は許さない。大人しくひっこんでいろ」

「はあっ?」

「まあ、そんな!」

 ジェイミーとダイアンが同時に大きく目を見開いた。


「アイリス、貴様、浮気していたのか?」

 ジェイミーの言葉に周囲は『何言ってんだ、こいつ』と冷ややかな雰囲気になる。

 浮気というならば、ジェイミーのほうだ。学院内のダンスパーティーや茶会だって、婚約者がいる者は婚約者をエスコートする。それなのに、ジェイミーがアイリスをエスコートした事は一度もない。いつも、ダイアンを連れていた。

 はあ、とため息をついて、アイリスは元婚約者を面倒くさそうに見やった。

「ベインズ様、貴方との婚約は一カ月前に()()()()です。いいですか? 破棄でも、解消でもなく、最初からなかった事になってます。とやかく言われる筋合いはありません。

 それと、ブライアン様、まだ婚約者()()ですわ。父からよく見極めるように言われてますの。勝手に候補を外さないでくださいな」

「ああ、すまない。つい、怒りで我を忘れてしまった。私は確かに君の婚約者候補だな。私の気持ちは君以外には向かないけれど」

 ブライアンから熱のこもった流し目をくらって、アイリスは視線を彷徨わせてから、ごほんと咳払いした。


「ええと、それはそれというか・・・。

 ともかく、ダイアン。貴女の面倒をみるのは学院の卒業までと契約を交わしているでしょう。弁護士からも再三忠言されていたのに。まさか、忘れたの?」

「契約だなんて! お父様はわたくしをひきとってくださったのに・・・」

 ダイアンが涙目でうるうると訴えると、周りのバカな男どもが同調して『酷いことを言うな』と騒ぎだした。

 アイリスはうんざりと彼らを睨めつけた。

「ダイアンがそうやって誤解を招く言い方をするから、ややこしいことになるんじゃないの。

 貴女はわたくしの父、オルコット子爵の妹の子供。わたくしとは父方の従姉妹で異母姉妹ではないわ」

「はあっ?」

 衝撃の事実にジェイミーが大きく目を見開いた。ダイアンはオルコット子爵の愛人の娘で、母が亡くなってひきとられた子爵家で虐げられていると思いこんでいたのだ。


「で、でも、子爵がひきとったのは間違いないのだ。ダイアンはお前の義妹だろう?」

「お前だなんて、気安く呼ばないでくださる? ベインズ様、貴方の勘違いによる妄想に付きあわされるのはもううんざりよ。

 父はダイアンと養子縁組はしていません。保護者が責任遺棄して逃亡したから、しかたなく我が家でひきとったのです。父は婿養子です。婿入り先で勝手に養子にできるわけないでしょう。

 父はわたくしが成人するまで、子爵家当主を代理で預かっていただけなのですよ? 子爵家は母が跡取りで、母亡き後はわたくしが継ぐのですから」

「はあっ?」

 驚愕の声をあげるジェイミーをブライアンが訝しげに見やった。


「まさか、婿入り先の事情を把握していなかったのか? それで、よくもアイリスが義妹を虐げたなどと妄言を言えたものだな」

「妄言などではない! ダイアンは確かに虐げられていた。新しいドレスは作ってもらえずに、アイリスのお古のドレスを押しつけられたり、装飾品なんか一つも買ってもらえなかったのだぞ!」

「それは家格差があるからしかたないだろう?」

 何を言っているのか、と呆れたようにブライアンが首を捻ると、ダイアンがポロッと涙をこぼした。

「まあ、酷いわ。わたくしは従姉妹でもひきとられたからにはオルコット子爵家の家族よ。それなのに、お姉様と差をつけられるのが当然なんて・・・」

「ダイアン、ああ、可哀想に」

「泣かないでくれ。君の悲しむ姿は見たくない」

「ケイフォード、貴様がそんな差別をするなんて思いもしなかったぞ」

 取り巻きが再び騒ぎ始めるが、アイリスもブライアンもジト目になった。


「オルコット()()()の娘はわたくしだけよ。ダイアンはオルコック()()()の娘。何度、訂正しても理解しないなんて・・・。貴方がた、気は確か?」

「オルコック士爵?」

「そうよ、一代限りの士爵位。ダイアンの父は騎士だったの。妻が亡くなると、娼婦にいれあげて借金をこしらえたくせに、娼婦と夜逃げしたの。もう6年くらい経つかしら?

 我が家はその借金を肩代わりし、ダイアンの面倒をみて、生活費も学園の費用も全て賄った。入寮に関して侍女もつけてあげたし、最高の教育を受けられるようにしたわ。その上、ダイアンが将来自立できるよう勤め先と住まいだって手配して。

 ダイアンが自分でドレスや装飾品を用意できるように、貴重な古書の模写やお針子の仕事を紹介だってしたわ。それをぜえ〜んぶ、自分への不当なイジメだと騒いで、何もしなかったのはダイアンじゃないの。

 それなのに、なぜダイアンのドレスや装飾品まで我が家が負担しなければならないのかしら? 

 ねえ、ベインズ様、おまけに話を聞かない貴方が勝手にダイアンをオルコット()()令嬢だとふれ回って大騒ぎするから、我が家は根も葉もない醜聞にさらされましたのよ? 

 その責任はどうなさってくれるのかしら」

「なんだと?」

 困惑するジェイミーはダイアンとアイリスを交互に見やった。アイリスが義妹を虐げる下劣な女だと貶めて婚約破棄しようとしていたのに、先を越されたと激怒したのが勘違いだったとか、理解が追いつかない。


「それに、ベインズ様はダイアンの誕生日を知っていて?」

「ああ、夏の半ばだ」

「それでは、わたくしの誕生日は?」

「・・・確か、夏の初めだろう?」

「いいえ、秋の終わりよ。婚約しても交流はなく、誕生日プレゼントにカードさえ贈らない方ですもの。やっぱり覚えていなかったのね」

 ふうと息を吐くアイリスに周囲から同情の視線が集まる。ジェイミーには侮蔑どころではなく、汚物でも見るような視線が向けられた。

「ダイアンの方が先に生まれたのに、わたくしが姉のわけがないでしょう。

 それなのに、『義妹を虐めるな』なんて、見当違いの暴言ばかり。事情を説明しても、全く話を聞かないし、思い込みだけで暴走するし。

 こんなにも蔑ろにされて貴方との婚約を維持する意味なんかなかった。

 ずうっと婚約を解消したいと言っていたのに、貴方のご両親がきいてくださらなかったの。学院だけの事、学生時代の恋人ごっこに目くじらを立てるなんてみっともないと言われて・・・。

 でも、我が家の乗っとりを企む方との婚姻は無理、王家に訴えるしかないとまで言って、ようやく理解してもらえたわ」

 各領地を治める領主を任命するのは国王だ。貴族の爵位も国王に任命権がある。お家の乗っ取りは国王に異議を唱えるのと同じで叛逆行為だ。当然、厳しい処罰が降される。


「な、お家乗っ取りとか、事実無根だ!」

「はっ? 『アイリスと婚約破棄した後にはダイアンと婚約しなおして、子爵家を継ぐから安心するように』と、子爵に手紙をだしたのはお前だろう、ジェイミー。

 オルコット家に婿入りの立場のくせに、義妹と思いこんでいる相手とオルコット家当主のアイリスを取り替えようなんて、十分お家乗っ取り行為と見做される。

 ダイアン・オルコックは士爵令嬢で継ぐ爵位はない。アイリスと従姉妹と言っても、子爵家の血筋には全く関係ないのだ。彼女との婚姻で子爵家を継げるわけがない。

 貴様の計画は重罪ですぐに牢獄に捕われても仕方のない行為だ。それを子爵家が温情で訴える代わりに婚約の白紙撤回で済ませてくれたんだ。

 ジェイミー、感謝こそすれ、批難する資格は貴様にはないぞ」

 うぐっとジェイミーが言葉に詰まると、ダイアンが首を傾げた。


「お父様が伯父で、お姉様が従姉妹でも、わたくしをひきとって育ててくれたのだから、家族には違いないでしょう。子爵家の跡取りがおねえ、いえ、アイリスだから、なんだと言うの? 

 わたくしにも貴族令嬢の生活をさせているのだから、アイリスと同じにしないとおかしいじゃない。それなのに、ドレスや装飾品は用意してくれないし、婚約者だっていない。家族なのに、虐げているのは本当の事だわ」

「・・・ダイアン、貴女、本気でそう言ってるの?」

 アイリスが唖然としていると、ダイアンは大きく頷いて両手を組んだ。うるうるとした目でブライアンを見上げてくる。

「ブライアン様。ご覧になって。これが、アイリスの本性ですわ。ひきとったくせに、わたくしを虐げた挙句に路頭に放りだそうとしているのです。

 契約しないと学院に入学させられないと脅されたのよ? そんな契約なんて無効でしょう。

 アイリスが当主になるなら、わたくしの面倒をみるのはアイリスの義務よ」

「・・・正気か、貴様」

 ブライアンは理解不能の不気味な生物でも見る目になって、もはや令嬢扱いする気もなくなった。

 年端のいかない少女が借金を背負って一人で生きていくなんて無理だ。悲惨な末期しか予想できなかったから、同情してオルコット子爵家ではひきとって養育したのだ。それを感謝する事なく、当然のことだと、義務とさえ言い切る神経がとても同じ人間とは思えなかった。

 さすがに取り巻きやジェイミーでさえも顔をしかめているのに、ダイアンだけはわかっていなかった。


「世話になってる家の跡取りの婚約者を奪っておきながら、よくもそんな世迷言が言えるな。君はただの居候で、オルコット家のために何かしたわけでもない。士爵家相応の待遇の何が不満だと言うのだ。

 しかも、()()と同じ真似をしておきながら、恥いる気持ちもないとか、全く畏れいるよ。

 君とは徹底的に感性が違う。こうして会話するのさえ、気持ち悪くてしかたがない。馴れ馴れしくするのはやめてもらおう。今後は不審人物として排除する。警告はすでにしたからな」

「そんなあ、ブライアンさまあ」


 ジェイミーは呆然としていた。

 放課後など人気のない時に『アイリスではなく、ダイアンが婚約者だったらよかった』とよく愚痴っていた。

 それが、次第に『同じオルコット子爵家の娘なのだから、ダイアンが婚約者でもいいだろう、ダイアンと婚約しなおして子爵家を継いだほうが子爵も安心するだろう』と言い募るうちに本気になっていった。ダイアンの取り巻きも無責任に同調して、ダイアンを守るためにそうした方がよいなどと煽てられた。

 ダイアンはそれを全て側で聞いていたのに、ジェイミーの勘違いを訂正しなかった。ジェイミーの計画にも『わたくしを守ってくれるのね、嬉しい』と賛同していた。

 今日はいきなり家令がやってきてアイリスとの婚約がなくなったから、至急自宅に帰れと言われた。従者に荷造りを命じる間にアイリスに真意を質しに来れば、全て思い込みの勘違いだったとか・・・。


 オルコット子爵が婿養子で卒業後はアイリスが女当主になるのだという重大な事をどうして忘れていたのか?


 アイリスとは親同士が決めた婚姻で、イヤでも結婚しなくてはならないのだから、学生時代だけは好きに過ごしたいと言っても、両親は怒らなかった。学生の間だけならと条件付きで認めてくれた。

 だから、アイリスもわかっていると思っていたのに。

 アイリスを捨てるのはよくても、自分が捨てられるのは許せなかった。卒業パーティーという晴れ舞台で華々しく糾弾してやる計画が頓挫して問い詰めたら、まさかこんなことになるなんて。

 ジェイミーの思考がぐるぐると渦を巻いていると、冷ややかななんて生やさしい嫌悪に満ちた声でブライアンがダイアンを拒絶していた。

 その中にひっかかる言葉がでて、ジェイミーは従兄弟に声をかけた。


「ブライアン、『母親と同じ真似』とはどういう事だ? ダイアンの母親はアイリスの叔母だろう。一体、何をしたのだ?」

「まさか、知らなかったのか? 伯父上、伯母上からは何も聞いていないのか?」

「・・・わたくしはダイアンの実母を『叔母』だなんて、認識していないわ」

 ブライアンの驚きにアイリスの嫌悪する声が続く。ジェイミーは元婚約者がこんなにはっきりと感情を表すのを初めて聞いた。

「何よ、わたくしのお母様が何をしたと言うの?」

 ダイアンの言葉に取り巻き以外の全員が驚愕の表情になった。

「え、ウソでしょう」

「なんで、知らないんだ。あんなに有名な話なのに・・・」

「自分の母親の事なのにね」

「な、何よ。知らないんだから、しかたないじゃない」

 ダイアンは居心地悪そうに室内をぐるっと見渡した。側に侍る男子生徒も不安そうに顔を見合わせている。きっと、彼らも知らなかったに違いない。

「アイリスから話させるのは気の毒だ。私が話してもいいだろうか?」

「・・・ブライアン様にお任せしますわ」

 アイリスから首肯されたブライアンが重々しく語りだした。


 ダイアンの母親・ジャニスは子爵令嬢で婚約者がいるのに、他の令嬢の婚約者に言い寄り、身体を使って籠絡した。子供ができたから責任をとれと相手に詰め寄ったが、相手は一時の気の迷いだとジャニスとの関係を金で解決しようとした。

 それをジャニスは王家主催の夜会で暴露した。しかも、自分を襲って妊娠させた男が卑怯にも金で事件をもみ消そうとしていると歪曲した内容にしたのだ。


 名指しされたのはアイリスの母・カトリーナの婚約者だったオルコック男爵令息・クラークだ。


 オルコット子爵家とオルコック男爵家は偶然名が似ている縁で仲がよく、親しく交流していた。カトリーナとクラークは子供の頃からの婚約で良好な関係だったのに、この夜会で決定的に絶縁することになった。

 当然、社交界にこの醜聞は一気に広まった。

 誰も彼もがおもしろおかしく噂に興じる事になり、国王はこのような醜聞をおこした貴族を処罰するしかなかった。

 王家が調査したところ、ジャニスはクラークに薬を盛って関係を迫った挙句に、妊娠も嘘でクラークを追い詰めるためだったと判明した。

 オルコック男爵家は抗議したものの、嵌められたとはいえクラークが立ち回りを失敗したせいで王家主催の夜会を台無しにする原因になった。ジャニスはもう他の相手には嫁げないから、国王はジャニスとクラークの婚姻を命じた。遠回しに領地に幽閉だと告げたのだ。


 クラークとジャニスは長男夫婦に養われるしかない穀潰しの存在となった。


 しかし、オルコット子爵家とジャニスの婚約者だった伯爵家の両方から多額の慰謝料を請求され、男爵家には払えなかった。結局は屋敷や領地を抵当にいれるしかなくなって没落した。

 クラークが持っていた士爵位だけは残されたが、なんの価値もないからだ。士爵は騎士団の試験に合格すると叙勲されるが、騎士として働かねば報酬は得られない。クラークには騎士の雇用がなく、名ばかりの士爵で平民に紛れて暮らすしかなかった。 

 一家離散となったが、クラークは王命の婚姻でジャニスと離縁はできなかった。自暴自棄になったクラークは堂々と浮気を繰り返し、娘が生まれても家庭を顧みることはなく、ジャニスとの仲は険悪だった。

 全ての元凶のジャニスは酒に溺れる毎日で身体を壊して亡くなった。その後、クラークは娼婦に入れ込んで借金をこさえた挙句に娼婦と逃げたが、その娼婦は茶髪緑目で元婚約者――カトリーナによく似た面差しだったと噂が流れた。


 ジャニスの実家の子爵家も慰謝料を請求されたが、払えずにこちらも早急に没落した。

 ジャニスの兄には婚約者がいたが、妹のせいで婚約を解消された。兄は足りない慰謝料を補うため、オルコット子爵家の使用人となったが、カトリーナに非がなくても醜聞まみれの令嬢だと嫌厭されて婿が探せなかった。ジャニスの兄は責任をとるために、オルコット家に婿入りした。

 そんな関係だったから、カトリーナとの仲はよいとは言えず、跡継ぎのアイリスが生まれてからは疎遠な夫婦関係になった。

 アイリスの父は妻亡き後もずっと領地で内政に力を注いでいて、一応姪のダイアンをひきとったものの執事に丸投げだ。

 弁護士に依頼してダイアンの成人以後は縁を切る代わりに、学院に入れて貴族令嬢として教育するから在学中に将来の進路を己でなんとかするようにと、前もって契約を締結させていた。


「ウソよ、そんなの。聞いてないもの」

 大きく首を横に振るダイアンにブライアンは呆れた顔になる。

「貴様は契約書にサインしただろう。法的に有効だ。今更、そんな子供じみた言い訳が通じると思うな。

 いい加減、アイリスに迷惑をかけているのを自覚して反省しろ」

「わたくしは関係ないわ! お母様がなさった事じゃない。わたくしにはなんの責任もないわ」

 見苦しく叫ぶダイアンからジェイミーや取り巻きたちでさえ顔を背けた。アイリスがふうとため息をつく。

「ねえ、ダイアン。子供に罪はないと言っても、貴女の母親は二つの貴族家を潰し、三つの婚約をダメにして、自身を含めて関わりになった人々を皆不幸にしたのよ。その娘に関わり合いになりたくないと思うのが普通でしょう。

 貴女への申し込みがあれば婚約させたけど、打診さえもなかったの。父が探すわけはないし、貴女は自分で相手を見つけなきゃいけなかった。

 わたくしの婚約者と貴女が親密になって外聞が気になったけど、わたくしとベインズ様は不仲だったから関わりたくなかったし。

 わたくしは格上の侯爵家からの申込で断れなかった婚約だから、別に破棄されようと解消だろうと構わなかった。

 貴女がたはどうして、わざわざ婚約不成立になったわたくしに絡んできたのかしら? 大人しく、貴女とベインズ様とで婚約していれば、こんな恥をかく事もなく、穏便に収まったのに」

「オルコック士爵令嬢を君の異母妹と勘違いしている時点でこの結果は決まっていたと思うよ」

 ブライアンがやれやれとばかりに肩をすくめる。


「そ、そうだ、私は勘違いしていたんだ。それを正さなかったダイアンに騙されていたんだ。

 アイリス、5年も婚約していた仲じゃないか。もう一度、やり直そう。今度は婚約者として尊重するから」

「え、何を仰るのかしら?」

「ウソでしょう。自己中にもほどがあるわ」

「うわー、クズな掌返しだ。プライドがないのかよ?」

 アイリスに続いて周りの学友もドン引きだ。ブライアンだけが目が和んでいない、実にいい笑顔で従兄弟を見やった。

「心配するな、ジェイミー。君の次の相手はもう決まっている。だから、家令が迎えに来たんだ。

 年上の未亡人に婿入りだ。なあに、親子ほど年が離れているらしいが、政略結婚ではよくある事だろう。むしろ、これだけの事をしでかして、貴族でいられるほうがおめでたい。幸せになれよ」

 ブライアンが手を叩くと、それを合図に謹厳実直そうな初老の男性が談話室に入ってきた。


「皆様、ご歓談中に失礼いたします。私はベインズ家の者です。旦那様の命により、坊っちゃまをお迎えにあがりました。すぐに退散いたしますので、しばし見苦しいものをお目にかけますが、何とぞご容赦を」

 ベインズ家の家令の後ろから屈強な護衛騎士が二人現れて、抗議するジェイミーをあっという間に拘束した。荷物のように肩に担ぐと、頭を下げて退出だ。家令が見事な礼をしてから撤収した。

 ポカンとして見ていたダイアンは我に返って、ブライアンに詰め寄った。

「どういう事! ジェイミー様が結婚なんて聞いてない」

「ジェイミーも知らなかったんだから、しかたないだろう。手紙で知らされていたのに、無視しているから」

「そんなあ。・・・こうなったら、ブライアン様が責任をとってください。わたくしと婚約してあ」

「ふざけるな」

 低く鋭い叱責にその場の全員の背筋が凍った。

 ブライアンは今にも斬り捨てそうな鋼の眼差しでダイアンを睨んだ。


「貴様のアイリスへの仕打ちは全て把握している。留学中も友人が手紙で知らせてくれたからな。

 どうやら、アイリスと貴様を取り替えようなどと愚かな計画をしていると聞いて急いで帰国したんだ。

 ジェイミーとの婚約を無事に白紙撤回してこれからだというのに、邪魔するな。貴様ごときがアイリスと同じ貴族令嬢だなどと侮辱にもほどがある。どうせ、後1年もすれば平民落ちする阿婆擦れに関わるつもりは微塵もない。以後、二度と私の視界に入るな」

「わ、わたくしが平民落ち? そんなバカな」

「貴女の父、オルコック士爵が行方不明になって来年で7年だわ。死亡届がだせるもの。一代限りの士爵家当主が亡くなれば、貴女は貴族令嬢ではなくなるわ。だから、契約で学院に在学中に身の振り方を決めさせようとしたのに、貴女は全くわかっていなかったわね」

「アイリス。君の温情を理解しない愚か者にはもう関わることはない。いくら、従姉妹と言っても、君は十分面倒をみたよ。もう成人して卒業するんだ。彼女の道は自分自身で選んだものだから、自己責任だよ」

 うんうん、その通り、と周りも皆頷いていた。アイリスを見つめる水色の瞳に宿る熱に、周囲は見守りの体制で生ぬるい雰囲気だ。一人、蚊帳の外のダイアンが眦をつりあげた。


「ちょっと、待ちなさいよ。わたくしが困っているのだから、助けるのはあたり前でしょう? 『困った時はお互い様』なんだから!」

 名ばかりの貴族で平民として生活していたダイアンは近所の気のいいおばちゃんたちに育てられた。

『困った時はお互い様だよ』と食べさせてくれたり、着替えさせてくれたおばちゃんたちは実子と変らぬ扱いをしてくれた。ダイアンはオルコット家にひきとられても、下町の助け合い精神が抜けていなかった。それも、自分に都合のよい解釈で歪曲したものだ。

 だから、子爵令嬢として恵まれたアイリスがダイアンを助けるのは当然の事。ダイアンにとっては、アイリスと同じ待遇にならないのは不当な扱いなのだ。

 

 だって、ダイアンは困っているが、アイリスは困ってなんかいないのだから。


 誰にも相手にされないダイアンがさらにヒートアップして喚こうとしたら、いつの間にかに取り巻きがいなくなっていて、誰かが呼んだ学院の警備兵に肩を叩かれた。

「通報されたのは、君だね。ちょっと、こちらに来てくれないか?」

「イヤよ! どうして、わたくしだけ・・・」

「これ以上の騒ぎを起こされるのは困るんだよ」

 警備兵は有無を言わさずにダイアンを連行した。

 抵抗したダイアンは騒ぎを起こす問題児が収容される反省室という名の独房に卒業まで隔離されることになった。反省の様子が全くないことから卒業式もその後のパーティーも欠席扱いで、そのまま子爵家が用意した住まいに強制送還だ。

 契約通り、子爵家との縁は切れて、赤の他人になった。


 〜〜 卒業パーティーにて 〜〜


「ブライアン様、よろしかったの?」

「何が? ああ、もしかして、さっきの中に君の家の取引相手でもいた? お義理でも付きあったほうがよかったかな」

「いえ、そうではないのですけど・・・」

 アイリスはこっそりと首を傾げた。

 卒業パーティーで最後の思い出にと、ブライアンにダンスを申し込んでくるご令嬢が後を絶たないのだが、ブライアンはバッサリと全て切り捨てていた。

 ブライアンはまだ婚約者候補だが、アイリスは彼にエスコートを頼んだ。ブライアンからは薄桃色のドレスとアクアマリンの装飾品をプレゼントされて身につけている。ドレスはアイリスの小柄で可愛らしい容姿をひきたて、アクアマリンはブライアンの瞳の水色だ。

 アイリスは友人たちに『愛されているわねえ』と冷やかされたが、元々友人だったブライアンに親愛の情はあるが、恋情はよくわからない。そもそも、初恋もまだなうちにジェイミーと婚約することになり、最初から疎遠にされていたのだ。アイリスは婚約者よりも友人のほうに親しんでいたが、放置していたジェイミーは気づきもしなかった。

 ブライアンはアイリスには惜しげもなく笑顔を振りまくが、それ以外は塩対応だ。彼の友人の婚約者たちには一応会釈で接しているが、友人たちに釘を刺されたらしい。


 以前とのギャップ差が激しいから、婚約者に愛想は振りまくな、と。


 ブライアンがメガネを変える前後では異性の態度が真逆だった。前は挨拶しても無視されたのに、今では満面の笑みですり寄ってくるのだから、鬱陶しくてしかたがない。


「君だけだよ、メガネを変えても態度が変わらないのは」

「確かにブライアン様はお顔がよく見えるようになってからはおモテになりましたね。

 でも、博識のブライアン様のお話は相変わらず楽しいですし、タメになりますよ。皆様、その事に気づいたのでは?」

「いや、他の有象無象なんかどうでもいいし。早く、候補を外してもらいたいのだが?」

「そうですわねえ」

 アイリスはしばし考えこんだ。

 白紙撤回でも一カ月で次の婚約はまだ早いかと様子見の段階だ。すでに成人年齢の18歳となり、卒業した今、アイリスの婚約は当主として己で決めてよい、と父から言われている。

 ダイアンの言う通りアイリスは父には愛されていないが、嫌われているのではない。父は子爵家跡取りとしてアイリスを尊重してくれた。子供に対する態度ではないかもしれないが、仮面夫婦ならぬ仮面親子でもしかたない。父は妹のやらかしでカトリーナの幸せをぶち壊した罪悪感から自身の幸せを諦めている気の毒な人なのだ。

 母の葬儀で泣きながら謝っていた父を思いだして複雑な心境になるアイリスだ。


「今後1年間は領地で父から領地経営の手解きを受けます。ブライアン様もご一緒してくださるから、その間に決めさせていただきますわ」

「試験期間か・・・。いいよ、合格する自信はあるし」

 ブライアンは手強い想い人に不敵な笑みを浮かべた。

 他の求婚者は遠ざけるよう手配済みだし、こうしてエスコート役を任せるほどには信頼されているのだ。今さら、他の誰にも譲るものか、と強く決意を新たにした。

 ブライアンは従兄弟の婚約者だと紹介されて笑顔を向けられてから、ずっとアイリスに惹かれていた。彼女は彼の冴えない外見を小馬鹿にし、無視するような令嬢とは違っていた。兄の支えになるために経営学を学ぶブライアンの小難しい話に楽しそうに聞き入ってくれた。そんなアイリスに好感をもつなというほうが難しかった。ブライアンはジェイミーと従兄弟の関係を利用して、アイリスの友人になった。

 初めはそれでよかったのに、段々と不実なジェイミーに腹が立つようになり、婚約解消を願うアイリスの力になりたかった。

 しかし、侯爵夫妻にアイリスへの想いを察せられたせいで夫妻は婚約解消を渋りだした。夫妻はジェイミーより優秀な甥を疎ましく思っていたのだ。その甥に息子の婚約者をとられるのは我慢がならなかったらしい。

 ブライアンはアイリスへの想いを諦めて留学した。ブライアンへの対抗心がなければ、伯父夫婦はすぐにアイリスを自由にするのではと思ったのに、意外にも伯父夫婦は意地になったのか、婚約解消に応じなかった。

 ブライアンは友人との文通で状況を把握し、ずっとヤキモキしていたが、ジェイミーが子爵へ送った手紙でようやくケジメをつけられると帰国して以来、アイリスに協力していた。

 卒業パーティーで派手にやらかそうとしていた従兄弟の先手をとって先に婚約の白紙撤回だ。他を牽制するために『友人として案じている』からと申し込んだのは失敗だった。アイリスは見ず知らずの相手よりは親愛の情があるブライアンを選んでくれたが、未だ候補のまま。

『友人』の枠からでていなかった。


「ねえ、アイリス。私は君に告げていなかったかな」

「何をかしら?」

「それはね、私はずっと君を・・・」

 耳元で何か囁かれたアイリスが真っ赤になったのを目にしたのは、側にいたブライアンだけだった。


fin.

お読みいただき、ありがとうございます。

面白かった、気に入ったとなりましたら、評価してくださると嬉しいです。


別の話で『婚約破棄と解消と保留、そしてする予定はありませんけど?』https://ncode.syosetu.com/n3720hj/

を連載中です。水曜の18時と土曜の18時更新です。


第一部は婚約破棄の断罪劇の話。第二部は一部の7年前が舞台。断罪劇に巻き込まれたある令嬢と令息の婚約の馴れ初めの話。二部までは完結してます。

第三部連載中で、二部の二人の婚約後1〜5年目までの話。


興味がありましたら、お読みいただけると光栄です。


誤字報告ありがとうございます。必要と思うものは訂正しました。

ありがたいのですが、誤字は誤った文字だと思いますので、それ以外はスルーさせていただきます。

当方は読むのも書くのも横書きなので、洋数字を間違いとは思いませんし、ひらがな表記も漢字だと堅苦しいので、あえてひらがなにしていることもあります。

感性の違いと思いますので、お気に召さない方は申し訳ありません。


評価やブクマ、いいねなど、ありがとうございます。また、他作品も評価があがっているので、お読みいただけているようです。お気に召していただいて幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「こさえる」は俗な言い回しなので、貴族令嬢が使う言葉として相応しくないです 「こしらえる(拵える)」と言わせたほうがよろしいかと
[一言] おもしろかったのですが、好きな人と同じ名前のジェイミーがアホの子でちょっと悲しい…。
[良い点] 「相続は男系でも女系でも可能なのに男系のみと勘違いして傲慢かました俺氏、破滅する件」タイプの話は設定が凝っていて面白いと感じます。この話も複雑な親族関係が面白かった。 ダイアンは父からも母…
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