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第四話 新たな知識

情報の収集を始めてから数か月が経過した。

まだまだ読み終わっていない本がほとんどだが、この数か月間で様々な知識を得ることができた。

それと経過報告もかねてこの数か月間のことを振り返る。


時間は地球と同じように流れいている。一年は12か月365日だし、一日の時間もほぼ同じだろう。

ただし時計といった存在は今のところ確認できていないので、もしかするとそこまで細かい時間の概念はなく、日の昇り沈みで大体の時間を判断して生活しているのかもしれない。


正直そっちのほうが個人的にはありがたい。前世では時間に追われながら仕事をしていたのである程度ルーズなほうが気楽でいい。


もっとも興味をひかれたのは学園とギフトというものだ。

学園はそのままで仕事をするための必要最低限の教育と魔法などの戦闘に関することを教えてくれる場所だ。ここはかなり武力が身近にある世界のようだ。実にアメリカンである。


ほとんどの子供が通うことになるので、義務教育のようなものだろう。

前世の学校生活はひどいものだったので、ぜひバラ色の学園生活を送りたいものだ。

単純に魔法には興味がある。一度は使ってみたい。男ならば誰もがそう思うだろ?


それでギフトというのは10歳になると世界樹から授けられる特殊技能のことだ。

特殊技能といっても能力は十人十色で非常に有能な能力もあればハズレとされる能力もある。

それこそ前世の世界でも役立ちそうなもの、例えば処理能力が上がるといったギフトもあれば、戦闘向きの脳筋ギフトまで幅広くある。

さらにある程度本人の資質と関連のあるギフトが授けられる傾向があるものの必ずではなく、全く使いこなすことのできないものを授かった者のことを「バグ持ち」といった蔑称で呼び、蔑むらしい。


どこの世界でもそういった陰湿なことをやる輩はいるのだ。

え、俺?もちろんやらないとも。

面白可笑しいあだ名をつけられることから、ばい菌扱いまで一通りやられたからね。

隣に立って一緒に抵抗する……ことはできないかもしれないが、陰ながら援護くらいはしてやるさ。


それにしても最近めっきりと身に不幸が降りかかってくることが減った。

なんとなくではなく確実に減っているのだ。

せいぜい本を読んでいるときに本棚が倒れてきて潰されかけたくらいだ。

腕の一本や二本は覚悟したが、幸いけがはなかったので、ラッキーである。

怪我しなければ何もなかったのと同じだ。さすがにそれは言い過ぎか。


今までなら絶対怪我を負っていたはずなので確実に幸運値が上昇しているのがわかる。

てか、この世界にはゲームみたいにステータスとかって設定されているのだろうか。

今まで読んだ本の中にはそれらしき記述はなかったが常識過ぎて本に乗せるほどのことでもないという可能性がないわけではないからな。

念のためステータスオープンとか念じてみたが、何も起こらなかった。


話は変わるが、この数か月間俺は初めて身内と呼べるような存在とともに生活しているわけだが、あまりうまくいっていないような気がする。

もちろん食事はしっかりと作ってくれるし、全くかまってくれないわけではないが、一日一緒にいる時間は寝ているときと食事の時間がほとんどなのである。


義理ではあるが祖父と孫といったら、もっと……こう……、もう少しイベントがあってもいいと思うのだ。俺が部屋にこもってずっと本を読んでいるというのもあるが。

もしや俺に愛おしさを感じていないのだろうか……

見た目はかわいらしいかもしれないが、泣いた記憶もなければぐずった記憶もない。

想像してみるとかなり不気味かもしれない。

これからは恥を捨ててもう少し見た目相応の行動を心がけるようにすべきだろうか。


~・~・~


恥を捨ててから数週間の時が流れた。


正直最初は何かの拷問かと思うほどの苦痛だったが、もはやお手の物だ。

その証拠にソロモンと家族の時間とやらが結構増えた。意外とちょろかった。ちょろいんである。


人間の適応能力というのはかなり高いらしい。昔はよく人類が生き残ってきたものだと思ってはいたが、生存競争に打ち勝つのも今ではわかるというものだ。


最初こそ恥やら何やらでかなりぎこちなかったものの、三日もあれば十分だった。

もしや俺には赤ちゃんプレイの才能があるのかもしれない。誓ってそのような性癖はないが。


何はともあれうまくいってよかった。これからより強固な信頼関係を培っていくとしよう。


~・~・~


今日も今日とて俺は本を読んでいる。

今読んでいるのは基礎的な魔法に関する本だ。呪文などが載っているというよりは座学系の知識本といったところだ。例の学園でも使われている本らしいので最初の一冊としてはこれ以上のものはないだろう。


魔法とはそもそも何なのか?どの様なものがあるのか?どの様にして発動させるのか?

そんな内容が書いてあるような本だった。


魔法とは何か、というのが結構斬新で面白いかった。

正直魔力的なものを使って何かの現象を起こすものを魔法と言うんだ的な感じだと思っていたが、少しだけ違うようなのだ。


実際魔法は魔力を消費して使うものだ。しかし魔法を使うというよりは世界に干渉した結果として起こる事象を魔法と言うらしい。

なので世界とつながる感覚が魔法使いには重要らしい。魔力は術者と世界をつなぐ潤滑油のようなものということだ。


魔法の種類も初級、中級、上級、超級と高度になるにつれ世界に与える影響が大きいので、必要魔力も比例して多くなる。

初級は生活に使うような魔法がかなり多く、中級からがみんなが想像しているであろう魔法だ。


あとやっぱり詠唱は必要らしい。稀に無詠唱で発動可能なものがいたり、そういったギフトも確認されているが、本当に少ないそうだ。出来たらドヤれるってことだ。ぜひやってみたものだ。

時期が来たらソロモンに魔法を教えてもらえるように頼もう。

世界一の魔法使いに教わるのだ。隠された才能的なものにどうしても期待してしまう。

そのときがとても楽しみだ。



こんな生活を続けること約三年、俺はある事件に巻き込まれることとなるのだった。








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