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Q.平凡な高校生は異世界で生き残れるのだろうか?  作者: 光合セイ
第二部 戦国日本編

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第2部 プロローグ

 目を開くと空だった。

 いやまじで。何も誇張も脚色もしないで、まさかの空。

 引力と自由落下の法則に従って、アキラと優梨の体は空中に放り出されていた。



 なにこれ。



「うぎゃあああああああ!?」

「アキラくん……? どうし――」


 目をぱちくり。

 周りを一周見周し、すっかり頭が冴えた様子で……


「きゃああああああああ!?」


 叫んだ。そうなるわな。


「柏原さん!」

「アキラくん!」


 手を掴んで引き寄せる。

 優梨が頭から落下して死ぬことだけは避けるため、アキラの身体をクッション代わりにするのだ。

 まあ勿論、それが意味のないことであることに変わりはないのだが。兎に角、考えるべきは次の行動だ。


 最善はアキラと優梨の生存。

 最悪は優梨だけの生存だ。


 少なくとも此処で命を落としていいのは一人だけ。

 その場合の落とす命は巻き込まれた優梨ではなく、巻き込んだ側の俺であるべきだ。


「やぁ二人とも」


 頭をフルで回転させていると、横から声を掛けられた。

 その声の主は当然優梨ではなく、この空中へアキラと優梨を飛ばした例の白いヤツ(アグノス)


「無事こっちに来れたみたいだね」

「アグノス! テメェの目は節穴か!?」

「五体満足じゃないか。十分だよ」

「こちとら死にそうなんですがね!?」


 あまりの横暴ぶりに流石のアキラもブチ切れる。

 五体満足で十分とか、その後のことが全く考えられてないじゃないか。


「アグノスさん、怒りますよ?」


 その瞬間、煉獄の窯が開いた気がした。

 アキラよりも冷ややかに、しかし煮えたぎるような怒りの炎を孕んだ静かな怒号だ。

 耳元近くで響いた声が、怒っているアキラでさえも背筋を凍らせる絶対零度を醸し出した。


「安心しなよ、飛ばす座標は間違えちゃったけど、アフターケアはあるからさ」

「本当ですか……?」

「キミたちには空中浮遊のバフを付与してるよ。着地と同時に効果を実感出来るんじゃないかな」

「死んだら恨むぞ、アグノス」


 張っていた気を緩ませる。

 最早これ此処に至ったならば、恩も縁もあったものか。死ならば諸共。呪ってやる。


「さて、キミたちの不安も晴れたところで旅の目的を説明しよう」


 全然晴れてはいませんが。

 しかしこれ以上アレコレ言っても仕方ないので、垂れる文句は口を閉めて言わないことにする。


「これからキミたちにしてもらうのは、文字通りの()()。世界を救う旅に出てもらう」

「救世? 世界を救う? 俺たちが?」

「その通り。キミたちが立ち向かうのは『終末論しゅうまつろん』と呼ばれる世界のバグ。万物に起こるエスカトロジーの浄滅さ」

「……ラノベの主人公にでもなれってか?」

「似たようなことをしてもらうだけだよ。罪と罰の巡礼でもあるし、もしかしたら……途中で力尽きて死ぬかもね?」

「っ!」


 アグノスの言葉に息を呑む。

 そりゃ知っていたが、この旅に出たアキラや優梨が死ぬことだってあるかもしれない。


「勿論、ボクはキミたちが死なないように、そして困難に打ち勝つために最大の支援をする」


 まるで、その結果死んでしまうなら仕方ない、とでも言いたげだな。


 実際、それ以上の干渉はしないのだろう。

 蘇生や回復、それに『終末論』という謎の中へ攻撃が出来るのならば、わざわざアキラをこの旅に出す理由がない。

 仮にも報酬は与えられている。死んだ後の第二の命など、行動者には過ぎた夢なのだ。


「さぁ、ボクの出番は此処までだ。これから先はキミたちの物語だよ」

「アグノスさんは来ないんですか?」

「そうとも。ボクはあくまでも傍観者でなければいけないからね。残念ながらキミの旅に着いていくことは出来ない。けどアキラ、キミは別だ」

「……何?」


 アグノスの言葉に疑問を持つ。

 優梨と会うのが先ならば、比例してアキラとの再会も遠退くのではないか?


「キミの左目に埋め込まれた魔眼がボクとのパスを繋いでくれている。この意味はわかるだろう?」

「次の再会は夢の中ってか」

「さてね? もっと早いかもしれないよ?」


 口元に指を立てニッ、とアグノスは笑った。



()()()、2人とも。次の旅路で待ってるよ」



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