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Q.平凡な高校生は異世界で生き残れるのだろうか?  作者: 光合セイ
第一部マグナデア編

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30話 銀等級クエスト再び

 クエストを終わらせて冒険者ギルドに帰還。


 今日も今日とて薬草を追いかけ、蜘蛛の子のように逃げ惑う薬草を、まるで密猟を行うハンターのように追いかけ回した昼を乗り越えた。


 銀等級クエストをクリアしたこともあって、ある程度の自信は付けられたものの、やはり2人であるが故に強敵との接敵はどうしても躊躇ってしまう。


「……そろそろ銀等級に行きませんか?」


 この時期の水は美味い。冷え始めてきたからだろうか。水分補給の度に喉に染みる水が五臓六腑に渡るまで浸し、乾燥して乾いた体にこれでもかと言うほどの潤いを……


「聞いていますか、アキラさん?」


 ……うん。やはり美味い。

 誰がなんと言おうと、やはり秋の水は格別――


「アキラさん! アキラさんっ!」

「っだぁあああるっせえ! 行きたくねえんだよ察しろ!」

「でも今月はもうピンチです! 何かしら打開策を講じないとわたしたちは……!」

「それ言って先月何があったか忘れたか!? 危うく俺が焼死するところだったぞ!」


 先月の暮れあたりに遡る。

 あの時も今と同じくお金に困っていた。銅等級クエストだけをクリアしていても、この金欠を解決することには繋がらない。

 と言うわけで2人で銀等級クエストに行ったのだ。

 その結果オチが、リーシャが加減を間違えた風属性の魔法によって飛ばされた火の粉が、危うく俺も巻き込まれそうなるほどの火傷を引き起こした。挙句、木々に引火して森火事になるところだった。


 加減を間違えた理由が、回復薬用の薬草を炙り殺すために火を点るため、弱めの風属性魔法を放とうとしてたところに、目標の魔物がいて攻撃本能が働いた結果なのだとか。


 お金がないから回復薬は現地調達でいっか、と言い出した俺も悪いが、作業をしている間は作業に集中してほしい。命に関わる。


「あんなの二度と行きたくないね! 俺は銅等級クエストで稼いで、一生安泰な生活を目指すんだ!」

「それは安泰ではなく、怠惰と言うのです! 一生貧乏生活ですよ。わたしはまだしも、少なくともアキラさんはお若いのですからそんなに苦しい思いはさせたくないです」

「何お前、いきなりそんなお姉さんぶりやがって」

「わたしはアキラさんよりも年上です!」


 そういえば24歳だとか言ってたな。

 そうすると今のリーシャに課せられているキャラって……幸薄で強気で合法ロリの奴隷エルフ少女となる。なんだこれ属性の渋滞が起きてる。てんこ盛りだ。


「俺は『いのちだいじに』が信条なんだ! わざわざ俺よりも強い奴とかち合う必要はないね!」

「――前々から思っていましたが、やはりアキラさんには英雄は似合いませんね」

「当たり前だろ」

「……そこは聞こえないフリをしていただけると、ありがたかったのですが」


 何を言ってるんだ。

 小声で「英雄は似合わない」だとか抜かしやがったリーシャを睨みつけるも、サラリとした表情で流される。

 英雄が似合うだの似合わないだの、何を言ってるのかわからないが、そもそもとして俺は英雄と言う存在が苦手なのだ。


 自分の意見を後世にまで残しやがったエゴイスト。生涯を世界に捧げた異常者。人よりも一段階ほど優れ、人よりも自意識過剰に陥った異端の超人。

 それが俺の英雄に抱くイメージであり、俺の思い描く英雄像という名の妄想だ。


 こうであれ、ああであれと願われ続けるヒーローは、日夜世界の何処かで悪の組織と戦っており、周りの被害を顧みずに傷つきながらも戦う。そうして倒した悪の親玉に更生の余地も与えずに、自分を愛する人々の待つ街で凱旋を行うため帰還するのだ。


 ロクに書物を調べずに、暗黒の中学2年時代を過ごした俺にとって、英雄とは客観的な存在だ。同時に、俺の抱く英雄は、客観的な視点から見たものでもある。


「俺には英雄なんて似合わねえよ」

「そのようですね。倒せるはずのモンスターを狩ろうともしない臆病者が、英雄になんてなれるはずがありません」

「……ねぇ、そんなに言う?」

「言いますよ。……せっかく――」

「……は? せっかく、なんだ?」

「……なんでもありません!」


 ぷいっと顔を背ける24歳。見た目が少女であるため許されることだが、もしこれを同い年の人間がやれば、ある程度ドギツイ光景になったことだろう。


 実際に俺も妹と会話しているような感覚で話しているためか、リーシャの年齢を度外視した、愛らしい素振りを見ても微笑ましく思い、苦笑を浮かべるだけだ。


「なんで怒ってんのか知らないけど、そんなに怒んなよ。寿命縮むぞ?」

「誰のせいだと思ってるんですか……」

「えっ、俺のせい?」

「アキラさんのせいです」


 膨れ面を作るリーシャに、困惑を隠せない俺。そんな2人に近づく、2人の冒険者の影。


「おいアキラ! 銀等級行こうぜ!」

「クソバカラぁ!」


 この後結局、銀等級クエストに行くことになった。

 紆余曲折ありながらもクエストをクリアして、リーシャがほくほく顔になったのは言うまでもない。



【補足】クエストの等級について

銅等級……誰でもクリアできる。

銀等級……命の危険性有り。

金等級……パーティ壊滅の危険性有り。


白金等級……世界の存亡を賭けた戦い。



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金等級から白金等級の間に何があった…? パーティー壊滅→世界壊滅って飛びすぎて笑う
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