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令和時獄変  作者: 青井孔雀
第5章 反撃の意志
56/126

56. 分析

5ch系避難所:「自衛隊vsアメリカ軍(1945) その26 500-」



1 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/16(金) 09:51:14 ID:i36pc9LNR

突如現実の問題となってしまった自衛隊と1945年当時の米軍との戦い。

その戦局を注視し、今後の両陣営の装備や戦術戦略まで含める広範な議論をしながら苦難を乗り越えていくスレッドです。


荒らしやスレに関係ないレスはスルーかNG登録をお願いします。

~中略~


500 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:17:04 ID:JshHUUAm9

とりあえず核開発を阻止できたのは朗報じゃないかね、画像を見る限りは完全に吹き飛んでるし


それにしても「政経中枢爆撃」、滅茶苦茶えげつないな

考えた奴、怖ッ!

あんなの何度も食らったら合衆国そのものが機能しなくなるだろ


501 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:19:36 ID:7y9Wg6fnd

>>500

処女懐胎とか信じてる愚劣な連中にはいい薬だろ。

あの頭の良いものから抹殺するやりかたを徹底すると、最後は本当にDQNしか残らなかったり?


502 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:20:59 ID:JshHUUAm9

>>501

26世紀青年思い出して草。作物にゲータレードかけてそう。


503 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:29:24 ID:nlt.sL1Ht

>>500

俺達は21世紀の戦い方というものを、根本的なところで理解できていなかったのかもしれないな

例えばゴレゴ何とかという狙撃手と、10頭のアフリカゾウはどちらが強いか? という命題を考えてみるといいかもしれない

言うまでもなくこれは意味のない命題だし、強いて答えるなら狙撃手に軍配が上がると思う。だが何故だろうか?

当然君は、狙撃手はアフリカゾウの気付かない物陰から狙いを定め、片っ端からその大きな頭を撃ち抜けるからと答えるはずだ

ついでに言うならアフリカゾウに銃なんて理解できないよね


要はこれと同じだったんだよ。自衛隊は米国やソ連の気付かないところから、理解不能な手段で、その中枢や要所を破壊した

一番有利になる環境を作り、一番有利なタイミングを見計らい、最も重要な個所を一方的に破壊した。そういうことなんだよ

よくよく考えてみれば、これはただの湾岸戦争じゃないか。シュワルツコフ将軍のやり方そのものじゃないか。無論現代風に、自衛隊風にアレンジした部分は大きいだろうが、基本的には同じ理論に基づいていると言えるだろう


何であれを失念していたんだろう? どうしてそこにすぐ思考が向かわなかったんだろう?

兵器同士の能力差や飽和攻撃の可能性、そんなものに一喜一憂していた自分がどうしようもなく恥ずかしい

穴があったら入りたい。できれば美少女のお腹の中に戻って、暖かな羊水の中でひたすら惰眠を貪っていたい(´・_・`)


504 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:36:45 ID:paZThTCS8

>>503

狙撃手と10頭のアフリカゾウかー、実際わかりやすいなー

狩猟者(それこそ原始人のころから!)が面と向かって戦う訳ないもんなー


それはそれとして、何故君は不規則発言を最後に付け足してしまうんですかね…


505 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:40:09 ID:wgGBz59E3

ところで航空燃料の備蓄ってどうなってんの?

今後の爆撃もそれ次第になるんじゃね?


506 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:42:13 ID:etaiFPTPw

>>505

元々日本では年1000万トン以上の民間航空燃料需要があって、1日約3万トンなんだけど、そこが全部浮いてるんよ。

自衛隊機を全機フルに飛ばしてもその1割か2割でしょ? だいたい相手はロシアや中国じゃないんで、

防空で出撃した例が初日の迎撃戦しかないようだし。


ちなみにあの特設爆撃機(B-747A)、燃料を240トンも積んで飛んでるらしい。10機余りも飛ばしたから空自の1日の消費分を余裕で消費してることになるね!

もっともさっき書いた通りで、燃料そのものはまだまだ大丈夫でしょう。多分。


507 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:46:43 ID:paZThTCS8

>>506

旅客機だけで、燃料そんなに食ってたんだね…


それにしても未来の自分達が作った飛行機に国焼かれるとか、米帝マジ涙目


508 名前:避難所の名無しさん[sage] 投稿日:202X/05/17(土) 11:49:51 ID:Antr5PnQ0

>>507

国際協業の時代「だった」から、厳密にはそうとも言えな…まあ言えるわこれ!





京都府京都市:宇治大学



 このところ、キャンパス内は騒然とした雰囲気に満ちてきていた。

 歓声が聞こえてくると思ったら、自衛隊や補助隊に合格した学生達だ。帰る場所を失った外国人を支援するボランティア募集の貼り紙と、連合国粉砕ネットデモの告知ビラが奇妙に同居している。ゲバ文字の看板は相変わらず出ているが、読んでみると「今こそ大東亜共栄圏を」とか復古調の内容で、人間とはこうも変わり身が早いものかと苦笑が漏れる。


(それにしても……学生達の就職先、どうしたものかしらね?)


 橋本准教授はそんな悩みを抱いてもいた。

 内定率とか求人倍率という概念からして、根本から吹き飛んでしまっている。一応今年4月から新社会人となる学生達は、在籍してさえいれば国から給与が補填されるため何とかなったが、来年就職組はもう滅茶苦茶だ。


 そうした中、自分がしてやれることは何だろうと橋本は考える。

 政府との接点はできたし、提出している論文は相当に高評価であるようだ。とすれば――それに関連する研究で、少しばかり学生に箔をつけてやることくらいはできるかもしれない。


「うん、それがよさそうね」


 橋本は独り合点した。スマートフォンを取り出し、ポストドクターの阿久津に電話する。


「もしもし、阿久津?」


「あー、唐突に何すか、准教?」


 阿久津の声は相変わらず。背景雑音からして食堂にいるらしい。


「昼飯食ってんすけど……あ、今日の鯨龍田揚げ美味いっすよ」


「後で食べるわ。でさ、この間の野村ちゃんの考察、興味深かったじゃない?」


「ああはい、そうっすね。僕もオッ! となりました」


 阿久津の反応もまた良好で、橋本は口元をちょっと緩める。

 野村という学生の考察というのは、大東亜戦争時代に行われた米軍の戦略爆撃が、いかに戦後日本世論に影響したかという内容だ。それをウォーターフォール型暴力構造モデルから紐解くという観点に新規性があった。


「ちょうど米本土爆撃も始まったでしょ? だからあれを手直しして上手くまとめて、政府向け論文に盛り込んでみようと思うの。結構いける内容だと思うけどどうかしら?」


「あー、僕も賛成っす。実際いけると思いますね」


「そうよね。ありがと」


 橋本は返答を確認すると、謝意を述べてすぐに通話を終えた。

 国のためになる論文にできるだろうし、学生の将来にもなって一石二鳥。いいことをして少しばかりハイになった橋本は、食券に汎用配給チケットを追加して、久々に豚丼を食べることにした。





ヴァージニア州アーリントン:ペンタゴン



 流石に建築面積が30エーカー近くもあるだけに、ビル群が全滅とはならなかった。

 だが何故米本土が同時多発的な奇襲爆撃を受けたのかは、陸軍航空隊を指揮するカール・スパーツ臨時陸軍大将にも全く理解不能だった。調べたところによると、全く同時刻にハンフォード核施設、ロスアラモス研究所、ワシントンD.C.およびペンタゴンが爆撃されており、しかも投下された爆弾に意志があるのではと思うほどその精度が高いのだ。

 その上――日本へと戻ったとみられる超重爆撃機はレーダー網を無力化するなど圧倒的な電子戦能力を有し、音速に近い速度で超高高度を飛ぶという。サイパンのB-29をジャップが乗っ取ってカミカゼ爆撃を行ったなどとルメイ少将は査問会で吠えていたらしいが、そんなチャチなものでは断じてなさそうだ。


「しかし……畜生、何なんだ!」


 一部まだ書類が散乱する地下2階の臨時オフィスにて、スパーツは独り机を強打する。

 東京空襲が大失敗して以来、陸軍航空隊は碌な目に遭っていない。B-29は5機しか戻らず、硫黄島に不時着したらしい機は化学兵器を食らって全滅。その直後に謎の超高速機の空襲を受け、マリアナ諸島の航空基地まで壊滅した。前任者のヘンリー・アーノルド陸軍大将もそれに巻き込まれ、名誉の戦死と相成った。

 そしてその後も一方的な被害を出し続け、遂には日本によるアメリカ本土空襲まで許してしまったのだ。


「あり得ないだろう、こんなの!」


 スパーツは大声で怒鳴り、机上にあったマグカップや文房具を壁に叩き付けるなど荒れ狂う。

 とはいえ彼の脳味噌は辛うじて冷静で、そのようにして鬱憤を晴らした後、正体不明の超重爆撃機にどう立ち向かうかを考え始めた。とにかくそれを早急にまとめ上げないことには、またどこかが突然吹き飛ぶだろう。


(さて、どうするべきだ……?)


 まず真っ先に挙がるのが、ジェット戦闘機部隊の戦力化を急ぐことだ。

 既に最新鋭のP-80 シューティングスターを装備した部隊が、カリフォルニアで慣熟訓練を始めている。かの機体の最高速度は時速960キロで、14000メートルまで上昇可能。敵のスペックは推定値だが、どうにか追い縋れるはずだった。


 それからM1 120mm高射砲の量産を急ぐのもいいだろう。

 幸いなことに、食い荒らされたリンゴの芯みたいな領土しかドイツには残されていない。戦勝を見込んで生産数を抑制しつつある野戦砲のラインを転用すれば、すぐさま各都市に100門といったくらいに配備できるだろう。


(とはいえ早期警戒網が意味をなさぬのでは、どちらも宝の持ち腐れにしかならぬ)


 アジアの類人猿どもに何故と思う心を抑えつつ、冷静に分析していく。

 敵は爆弾が落ちて初めてその存在に気付くような化け物なのだ。レーダーが役立たずとなれば、目視か聴音くらいしか手段がない。あるいは赤外線はとも思ったが、対空用の赤外線監視装置などあっただろうか。


「ううむ……こんなやり方しかないのか?」


 スパーツは自身の出した結論に、どうしようもない驚愕を覚えた。

 北米大陸西岸に監視船を展開させ、望遠鏡とサーチライト、対空聴音機で早期警戒を行ってもらう。カナダを含めたあちこちに、民間を含めて万単位の監視哨を設立し、電話で情報を伝えてもらえるようにもする。そうして事前の探知を実現した上で、地上に大掛かりな旗旒もしくは発光を用いた信号システムを構築、無線電話が使用不能となる状況にも備える。

 正直に言って何年前のものだか分からないほど前時代的な内容で、乾いた笑いが漏れそうだった。


「だが他にいい案が全く浮かばない……これでいくしかなさそうだな」


 スパーツはそう断じ、急ぎ秘書官を呼びつけた。





ロンドン:首相官邸



 長きに亘ったドイツとの戦いも、あと1か月かそこらで片付くという状況になってきた。

 だがその一方で、アジアは手が付けられなくなっていた。3月中旬頃に突然勢いを盛り返した……というより何やら超越的な力を手にしたかのような日本軍が、マリアナで米軍を散々に叩き、翌月にはソ連を奇襲して極東軍を半身不随にするなど、好き放題に暴れまくっているのだ。

 しかも数日前には北米大陸の複数個所を同時爆撃し、極秘のマンハッタン計画まで木っ端微塵にしたという。


 そうした出鱈目な逆転劇が発生した理由は、誰に聞いても全く分からない。

 ただ大英帝国を陰から支えてきた諜報網は、日本の異様な軍事力の一端を掴むことに成功していた。香港を拠点とする機関――といっても地元の蛇頭みたいなのを手懐けた類のものだ――が大連に妙な動きがあるとの情報を入手し、結構な犠牲を払いつつも、先日どうにか超兵器の写真を入手することに成功したという訳だ。


「ほう……」


 戦時宰相として戦い抜いてきたウィンストン・チャーチルは、手にした写真をまじまじと眺める。

 猛禽のごとき機首、大きな三角形の主翼を有する機体だった。凛々しく屹立した左右の垂直尾翼の間には2つの膨らみがあり、何らかの推進式エンジンと一目で分かった。

 

「これが、日本の新型ジェット機ということかね?」


「さようです」


 空軍大臣のハロルド・マクミランが首肯する。


「先日の米本土爆撃との関連は不明ですが、マリアナ諸島やフィリピン、ソ連極東で大立ち回りを繰り広げているのは、この機体と見て間違いなさそうです。目撃情報と一致いたしますので。もっともビルマの我が軍を爆撃した機体は、また別のようですが」


「ううむ……これでは我がミーティアが、まるで子供の玩具か何かではないか」


「残念ながら。委員会の見解では、超音速飛行に適合した形状とのことです」


「何でそんな代物を、日本なんぞが持っておるのだね」


 その嘆きに似た問いに答えられる者も、連合国のどこにもいやしない。

 空軍委員会があれこれと推定できたということは、既存技術の延長上にはあるのだろう。だがそれは険しい山道を登る一団があったとして、そのうちの幾分出遅れていた男が、一瞬にして山頂に至ってしまったようなものだ。


「とはいえ……今更喚いたところで、現実がどうにかなる訳ではないか」


「全くで」


「太平洋艦隊の出撃を渋っておいて助かったな」


 チャーチルは憂鬱な溜息を吐き、それから暫し考え込む。

 間違いなく、戦略の転換が必要だと思われた。無条件降伏要求だけでも卒倒ものだというのに、狂的なホワイトハウスは未だ日本を地図から消すなどと息巻いている。それに追随するばかりでは、国が幾つあっても足りやしない。

 もっともその一方、米軍は欧州に大部隊を展開させていて、ドイツが消滅した後も一定期間は留まり続けるだろう。ソ連も最近、ウラル以西を含む全土を日本に爆撃されているようだが、共産主義の脅威がなくなる訳ではない。そうした部分の均衡をどう取るか、厄介で困難な局面が待ち構えていた。


「とりあえず……日本の新型ジェット機についてはよく理解できた。貴重な報告をありがとう」


 チャーチルはまず腹心を労い、それから真剣な眼差しをマクミランへと向ける。


「それからこの写真だが、門外不出のものとしよう」


「賢明な判断かと」

政経中枢爆撃、戦況、今後の展開などについて、それぞれの立場から分析の進む第56話でした。そうした中でも、幾分変化したとはいえ、人々の生活も続きます。

第57話は4月13日(月)更新予定の予定です。読者の皆様、いつも感想やブックマーク、評価等、ありがとうございます。


作中の「ウォーターフォール型暴力構造モデル」ですが、これは検索しても出てこないと思います。ネット上で拾ったネタをそのまま用いただけなので……。

ただこれを簡単に説明いたしますと、人間には一定数、降りかかった暴力に対して反発、反撃を選択するのではなく、反射的に服従を選択してしまう者が存在する、というところから始まる理論です。基本的に前者の反応が近現代社会を作り上げていると言えますが、例えば日本においても、北朝鮮のミサイル発射等に際して何故か日本政府を責め立てるような実在しており、これこそが「ウォーターフォール型暴力構造モデル」に囚われている、といったものとのことです。

この理論が今後の展開にどう影響していくのかも、お楽しみいただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] というか、アメリカの世論は厭戦に傾いていないんですかね。 元々そこまで好戦的な国民では無いですし、本土に爆撃されたとなったら降伏路線に転換するのかなと思いましたが。
[良い点] >ウォーターフォール型暴力構造モデル 興味深いですね。 そしてチャーチルでてきましたね。 厄介な政治家ですけど、日本にとって上手く軟着陸できるかのキーポイントになりそうな予感。 面白かっ…
[一言] →だがそれは険しい山道を登る一団があったとして、そのうちの幾分出遅れていた男が、一瞬にして山頂に至ってしまったようなものだ。 あながち間違っていない、と言うか、正解そのものな答えwww。
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