3話「魔王、採用活動を行う」
「さて、参謀よ」
「はい、魔王様」
「前回、人材募集について大いに語らったわけなのじゃが、そろそろ具体的な行動を起こそうかと思うのじゃ」
「語らった記憶は枝毛ほどもありませんが、良き考えかと思います」
「なんか言ったか」
「いえ、何も。それで何かお考えになられていることがおありなのでしょうか」
「うむ、広く声をかけて行こうかと思っておる」
「随分とシンプルな方法ですね」
「ふっふっふ、一見簡単に思えるかもしれぬがちゃんとした目論見がある」
「と、言いますと」
「うむ、城内にいないのであれば城外に魔国の民がいるは道理。お主が申していた通り、稼ぎを求めて職を求めたものもおろうて。その者たちの中でも優秀な者の情報を収集し、選抜していくのじゃ」
「なるほど、スカウトしていくということですね」
「実を言うとな、少数じゃが実験的に運用を開始しておる」
「いやにアクティブですね」
「やっておったら楽しくなってきてのう」
「よっぽど暇だったのでしょうかね」
「なにか言ったか」
「いえ、それで候補になりそうな者は出てきているのでしょうか」
「うむ、この資料を読んでみるがよい」
「拝見いたします」
「うむ」
「ところで魔王様」
「どうした、参謀よ」
「情報を収集はどのように行っているのですか」
「そんなの決まっておるじゃろ。城にいた者を適当に捕まえ、任を与えたのじゃ」
「・・・、ちなみにどこにいた者でしょうか」
「う〜む、どこだったかのう・・・。そうじゃそうじゃ、たしか城の入り口辺りで暇そうに突っ立っておった者じゃな」
「・・・」
「いかんぞ、参謀。いくら平和になったとはいえ、何もせぬ者がおってはちゃんと仕事をしとる者に悪影響が出んとも限らん」
「・・・」
「今回はわしが仕事を与えたことで事無きを得たが、今後は注意するんじゃよ。それに、わしからの直任に感動して涙も流しておったわ」
「事有りを得て、見事に仕事が増えました」
「なんじゃと」
「良いですか、魔王様。そのものは”門番”です」
「門番、じゃと」
「はい、門番です。城内への取り次ぎや城の訪れた者への警戒をする警備を担当しており、大変重要な任を受けている者です」
「そ、そうであったか」
「さらにいえば、魔国の城の顔とも言える職のため優秀な者が歴任しており、エリート職の一つとして人気のあるポジションです」
「・・・」
「その場にいなかったので、涙の真意は計り兼ねますが、優秀な人材がまたしても外侮に漏れ出したと言って過言ではないでしょう」
「し、しかし。こうして仕事をしてくれておるではないか」
「そうですね。とても忠実な者だったのでしょう。ですが、城から漏れ出したという事実だけは覆らないですね」
「う〜む、人材不足の解消は遠い道のりのようじゃのう」
「魔王様がそれをいいますか」