2話「魔王、人材募集を説く」
「さて、参謀よ」
「はい、魔王様」
「お主に聞きたいことがある」
「なんでしょうか」
「人材募集とはなんぞや」
「・・・」
「待て待て、お主が言わんとせんこともわからんでもない。が、わしには仕方がない部分があるのじゃ」
「はあ」
「戦時中であれば、わしが魔王城で座っているだけで、古今東西どれだけの猛者であろうともわしの威光の元に雁首そろえて膝を揃え、頭を垂れたもんじゃ」
「・・・」
「生まれ持ってのカリスマ性、というやつかのう。これのせいで、今までなん不自由もなくやってこれてしまったのじゃ」
「・・・」
「まさかこの後に及んで、わし自身のスキル発動が仇になるとはの。己の才能が恨めしいわい」
「わたしはプレミアムフライデーとハッピーセットを足して3を掛けたようなお花畑の頭が恨めしいです」
「ぷれみ・・・?はっぴぃ・・・?」
「いえ、こちらの話です」
「そうか」
「はい」
「それで、どうすればよいかのう」
「そうですね、まずは目的を設定されるのがよろしいかと思います」
「ほう、目的、とな」
「はい、目的です。一概に目的と言ってしまうと表現があやふやになってしまうので、ここでは採用活動成功による魔国が得られる最大規模のメリット、と定義づけましょう」
「ふむふむ」
「その目的が達成された場合、魔国が結果的にどのようになるかが計画の中に盛り込んでいきます。よって、中長期間の計画を練り、その上で短期目標の進行を経過測定していく必要があります」
「ほうほう」
「ここで重要なことが、魔国の行動原則、いわゆる理念ですね。この理念を享受でき、そして賛同できるものこそが魔国が採用すべき人材になります」
「のう、参謀」
「なんでしょうか、魔王様」
「めんどくさい」
「・・・」
「いや、だってのう。目的云々は人材不足じゃし、長中期の計画だって人間国への牽制のため。短期的なところでいくと、後備えとしての余剰資源の確保が目下の課題であり解決すべき事案じゃ」
「なるほど」
「どうじゃ、わしだって何も考えていないわけじゃないのじゃ」
「お見それしました」
「これまでの魔国の行動方針を踏まえ、かつこれらを内包した理念など一つしかあるまいて」
「お聞かせ願いますでしょうか」
「わしを楽にさせることじゃ」
「魔王城は当分 人材不足のようです」