シリーズ7 #2
説子視点に切り替わります
宿屋の一室でどたばたと話すのもどうかという訳で、近くのカフェで話す事にした私たち。
互いに自己紹介をし合い、リアねぇがファーレさんからおおまかな経緯を聞きだした後の事だ。
どうやら彼女は人の名前を覚えるのが苦手なようで、クーねぇも私も、リアねぇが提案した愛称(私はセツ、クーねぇはクー)で呼んでいる。
「ローラさん、また名前変えたの?であります?」
ふいに出たファーレさんの問いかけに、リアねぇはええ、と肯定を返す。
「今はアンリーア・ローヴァーって名乗ってるわ。レレはリアでいいわよ」
「リアさんだね、分かった!であります!」
アンリーア・ローヴァー、ですね!と笑うその姿は、私の名前を覚えるのにも苦戦していたような(しかもリアねぇが諦めてこれだけは覚えなさいと言わんばかりに愛称を提案していた)人物とは思えないぐらいすんなりとリア姉さんの名前を口にしていて。
「説子様、私の顔に何か付いてたりしますか?」
「あ、いや、なんでもない」
不思議そうにルナさんに見つめ返され、私は少し慌ててなんでもないと手を振る。
……ただ、もしかしてファーレさんはルナリィと同じタイプじゃないか、っていう考えが過っただけで、本当になんでもないのだ。