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私、才能なくてもトップを目指して頑張ります。  作者: あんこミカン
season1 Top争奪編:始まり
8/19

第8歩 初めての大会1

 金曜日。学園は土、日曜日と休みに入る。なので金曜は寮の門限ギリギリまで遊ぶのが生徒の鉄則だ。


 「ねえねえ光里(ひかり)さん、一緒にカラオケ行かない?」


 「ごめんなさい。今日はちょっと予定があって…。」


 ヒナミは申し訳なさそうに謝ると、カフェテリアへ向かった。


 「光里さん、いっつも何やってるんだろうねー?」




 「おー、ヒナミちゃん来たね。」


 カフェテリアには、楓が先に待っていた。


 「その顔、友達にカラオケ誘われたのに、私のせいで行けなかったって感じかな?でも、今日は良いニュースを持って来たよ。」


 するどい楓に少し引いたが、良いニュースには心が惹かれた。


 「良いニュース?」


 「そう、明後日の日曜日、区のドームで大会が開かれるの。ヒナミちゃんには初めての大会だし、結構いい経験になるんじゃないかな。」


 「大会…。」


 「参加賞でもお菓子が貰えるよ。」


 「やります!」


 こうしてヒナミの特訓は始まった。



 「ヒナミちゃん!もっと脚をあげてリズミカルに!」


 「こ…これが…限界です。」


 「よし!まず軟体から!」


 バキッ


 「痛い痛い痛いいいい!股裂けちゃいます!」


 「裂けて大丈夫!誰も見てないから!そのための第3ダンスホール!」


 ネズミやハクビシンたちがこっちを見ている。まるで応援してくれているかのようだった。





 「ええ、あら、それは面白くなりそうね。実力を見してもらおうかしら。」


 一人、生徒会室と書かれた部屋の椅子に座り話している者がいた。


 「花園舞花。楽しみね…。」





 夕方、第3ダンスホールから出てきたヒナミと楓は窓から外を見ていた。


 「楓先輩、この第3校舎って今はもう使われてないんですか?」


 「そうね…、話によるとこの校舎って百年前にできたらしいから、古臭くて誰も使わないんじゃない?」


 「なんかもったいないですね。景色も綺麗に見えるのに…。」


 ヒナミの目には、広がる樹々の森とその向こうに第1、第2校舎があった。それらが夕焼けの色に染まり、いつもの学園とは違うように思えた。


 「あんな森、校庭にあったんだ。」


 「新しい校舎からだと見えないからね。知らないで卒業しちゃう人も多いんじゃないかな?」


 「じゃあ、この景色は私たちだけのものって事ですね。」


 「…そうだね。」


 楓は少しうつむいた後、静かに歩き出した。ヒナミもそれについていった。


 「楓先輩。私、大会で優勝できますか?」


 「かなりいい線いくんじゃない。」


 「なんで歌の練習はしなかったんですか?」


 「ヒナミちゃんは歌が上手いから、ダンスの練習をしっかりしたかったの。」


 「えへへ、そうですか〜?」


 嬉しそうに笑うヒナミの顔も、また夕焼けに照らされていた。







「じゃあ、この景色の事は内緒だよ?ヒナミちゃん。」

第3校舎

戦前に作られ、同時では最新の建築技術であったが、時代の流れにおいていかれた。学園は第1校舎や第2校舎を使っており、解放はされているが、使う生徒はいない。一部では幽霊が出ると言われている。

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