第5歩 アイドルランク
学園生活が始まり初めての朝、食堂で先に朝食をとっていたイブキとリコがヒナミを見かけた。
「あ、おはよう、ヒナミ…。」
「おはようございますわ。ヒナミさ…ん…。」
二人はヒナミの顔を見たが、とても気持ちのいい朝にする顔ではなかった。眼の下にはクマができ、足取りもフラフラだった。
「あんたこれから学園案内があるのに、そんなんで大丈夫なわけ?」
「一体なにがあったんですの!」
「大丈夫だよ、リコちゃん。ちょっと寝不足なだけだから。」
昨日の夜。
楓と別れ寮に入ると、先に一人、少し小柄な生徒が身の回りの整理をしていた。そして部屋の中心はガムテープで線引きされていた。
「ああ、お前がヒナミか。」
ヒナミは自分の部屋割を見た。[光里ヒナミ]と[砂羽ナギサ]と書いてあった。そして、部屋の状況を察するに、面倒くさいタイプだと思った。
「えっと、あなたはナギサちゃん…?これからよろしく。」
ヒナミはなるべくにこやかに挨拶をした。
「はいはい、よろしくよろしく。てかあのドアの前にいた先輩、ヒナミの知り合い?なんか気味悪いんだけど。」
「すみません…。」
ヒナミはなぜ自分が謝っているのだろうと思った。
「そうだヒナミ、部屋ルールを決めるぞ。」
「部屋ルール?」
「ああ。まずあたしから3つ。1つ、このガムテープよりこっちをいじらない事。多少入ってもいいけど汚したり、覗いたりすんなよ。2つ、客を呼ばない事。そして最後が一番大事な事だ。」
ヒナミが固唾を飲み、ナギサが口を開けた。
「夜、あたしの睡眠を妨害しない事。」
「…え?それだけ?」
「それだけって、お前睡眠がどれだけ大事かわかってんのか⁉︎身長伸びなくなんだろ!」
「あ…うん。わかった。なるべく頑張るよ…。」
などという事があったが、結局ヒナミは慣れないベットのせいで眠れず、ソワソワし、ナギサを巻き込みトイレへ7回行ったのであった。
朝食の時間が終わると掲示板に、新たなクラス分けが表示されていた。
「えっと、私とイブキちゃんは〈鳥組〉、リコちゃんは〈花組〉かあ…。リコちゃんとは別れちゃうね。」
「ええ、少し残念ですわね…。」
「別に授業以外で会えるから良くない?」
それはないだろ…。と二人は思った。
ヒナミの席はイブキの席の後ろだった。
「グッモーニン!新しい朝だね!気分はどう⁉︎ようこそ鳥組へ!今日から担任の氷堂ミサトだよ!よろしく。それじゃあこれから、学園のシステムを説明するよ。みんな、昨日配った学生証を出して。」
皆が言われるままに学生証を出した。
「これは又の名を〈アイドルカード〉。この学園の生徒だということと、〈アイドルランク〉を表している。始めはみんなランク無し。でも、Top3の子は違う。アイドルカードの色と同じシルバーランクだ。
ランクは低い順から、[ブロンズ][シルバー][ゴールド][プラチナ][ダイヤモンド]そして国内で今までで、一人しか到達していない[プリズム]ランクがある。大会とかで優勝すればランクが上がってく。」
ヒナミは自分のカードとイブキのカードを見比べた。輝きの差が実力の差のように感じた。
「次に特別クラスの話をする。今はうちの〈鳥組〉と〈花組〉、〈空組〉があるけど、夏頃に新しく〈彩組〉が追加される。彩組は入ると高度な授業が受けられるし、ブランドも好きなのが選べて、宣伝も学園が大々的にしてくれる。とってもスペシャルなクラスだよ。」
「なんでもかんでも特別特別って、それしか言うことないわけ。」
ヒナミはイブキがブツブツと呟くのが聞こえた。
「そして、彩組は四季の大会の結果によって選ばれる。4回チャンスがあるけど、3回降ろされる可能性があるということだ。別に優勝しなくてもいい。私たちを感動させてくれれば、それでいい。シビアだけど頑張ってね。」
氷堂の説明が終わると、一通りの学校案内と授業が行われ、1日の授業が終わった。
授業が終わると、生徒達は自由になる。寮に戻る者もいれば、外出する者、ライブの練習をする者。ヒナミは一人、楓の待つ、小さい第3ダンスホールに向かった。
つまらない説明ばかりですみません。