第4歩 Top 3
「ねえねえ、どうだった?」
「緊張して全然ダメだった〜。」
カフェテリアはライブを終えた生徒で賑わっていた。そんな中、イブキのいないヒナミは一人椅子に座っているのだった。親しい人か、先に話掛けてくれるまで他人と話せないコミュ力ウ○コなヒナミにはきつかった。
「隣、よろしくて?」
いきなり話しかけられ振り返ると、茶色い髪が腰まで伸びた綺麗な瞳の少女がいた。そして周りを見ると、隣以外の全ての席が埋まっていた。
「どうぞどうぞ。」
なんで私に聞くのと思ったが、ちょうどボッチなのでありがたいと思った。
「貴方、ヒナミさんですわね。わたくしの前で踊っていたので覚えていますわ。」
「そうだったの…?ですわちゃんの名前は?」
「ですわちゃんって…。わたくしの名は[紬女リコ]ですわ。」
「へー、よろしくね。」
「ええ。あ、そろそろのようですわね。」
リコが出入り口の方を見たので、ヒナミも同じ所を見た。すると氷堂がカードのような物を沢山持って入ってきた。
「はいみんな、注目〜。全員テストライブ終わったね。それじゃあライブでの優秀者を3人発表します。優秀者は特典があるから期待してね。」
ヒナミが特典という言葉に興味を示した。
「特典かぁ、何かな。」
「確か、学食無料とかだったと思いますが…。」
「はい発表します![響庭イブキ][花園舞花][椎名遥]以上!おめでとう!」
そう言うと、氷堂はカフェテリアの中央に立ち、カードのような物を配り始めた。
「今配ったのは学生証、またの名を〈アイドルパス〉。だいたいの子はただの白色だと思うけど、top3の子は銀色だね。」
ヒナミは自分のアイドルパスを見た。確かにただの白い学生証だった。
「このカードの色は〈アイドルランク〉を表しているよ。詳しいことは今度話すけど、白いカードの子はまだランクなし。銀の子は〈シルバーランク〉だね。じゃあ、明日から学校案内と授業が始まるから、準備してね。では解散!」
生徒がぞろぞろと寮へ向かい始めた。その中でヒナミはイブキを見つけた。
「あ、イブキちゃん。おめでとう。すごい人だったんだね。」
「この方がイブキさんですの?」
イブキが少し嫌そうな顔をした。
「あんまり騒がないでよ。ただのTOP3なだけじゃない。」
「な…勝者の余裕とは腹立たしいですわね。」
「別に、こんなことが勝利なんて思ってないわよ。」
二人の間に火花が散り始め、ヒナミはそっと離れた。
「じゃ、じゃあまた明日ね…。」
空がオレンジ色になり始めたころ、ヒナミは荷物を持ち自分の寮にやってきた。するとヒナミの部屋のドアの前で楓が立っていた。
「ヒナミちゃん、来たわね。」
「えっと、かえで…先輩?でしたよね。私…なにかしましたか…?」
いきなり部屋の前で立っていた先輩に不安を隠しきれなかった。
「ヒナミちゃん。私のしたで練習しない?だいたい放課後とか休日になっちゃうけど。」
「楓先輩のした…。あの、なんで私なんですか…?」
楓は少し黙ったが、すぐ真面目な顔になった。
「ヒナミちゃん。あなたには才能があるの。この学年のTOP3だけじゃない…!二年生も、三年生も、あの聖城アリサも超えられる!でもこの学園じゃその才能も埋もれてしまうわ。」
楓のヒナミの目をみて、手をさし出した。
「私と一緒に、トップをつかみましょう。」
ヒナミも楓の目を見た。楓の目はとても輝き、光に満ちていた。そして、自分には才能がある。そう聞いたヒナミはもう、何も考えられなくなった。
ヒナミもまた手をさし出した。
「はい!よろしくお願いします。」
この先どうなるのかわからない。そんなこれからの生活に、ヒナミの心は静かに高鳴っていくのだった。
読みづらい名前でごめんなさい。