第1歩 Starting idol
初めまして。あんこみかんです。閲覧していただきありがとうございます。初めてなので下手くそだと思いますがよろしくお願いします。
今更アイドルものかよと思うと思います。その通りです。
桜が舞う新学期、一人の中学生が満員電車の中で芋洗い状態になっていた。
『灯明院学園前、灯明院学園前、西南線にお乗り換えの方は…』
「すみません、降ります…、すみません…。」
少女は人の壁をくぐり、なんとか電車から降りた。すると駅の窓ガラス越しに、大きくそびえ立つ学園が目に入った。
「ついに来たんだ…。灯明い…」
少女が感動に浸っていると、学園の方から始業式が始まるチャイムの音が聞こえた。
「ああああ!遅刻してたんだった!」
少女は改札の方へと走って行った。[光里ヒナミ]輝くアイドルを目指す物語が今、始まった。
「皆さん、入学おめでとうございます。学園長の[榊勝己]です。我が学園では一般的な言い方でアイドルとしての技術の向上を…」
学園の中では始業式が始まっており、学園長が長々と祝辞を述べていた。新入生たちも集中力が切れ始めていた。
「…と言うわけで、皆さんには誰もがトップアイドルになれる素質があるのです。では次に生徒代表、三年主席[聖城アリサ]さん、壇上へお願いします。」
聖城アリサ。その名前が出た途端、会場の空気が変わった。まるで子守唄で眠りかけていた新入生達は野球観戦でもしているかのように盛り上がった。
「聖城アリサさんだって!」
「本物⁉︎今日来てくれたの!」
榊が壇上から降る時、聖城アリサとすれ違った。
「学園長、またあのような言い方をして。何故現実を教えないのですか。」
「それは私の口でなく、君の口から言うべきだ。」
聖城アリサが壇上へ上がると、新入生達のテンションは最高潮に達した。それをアリサは鋭く睨みつけた。その瞬間、場が静まり返った。
「一つ申したい事があります。学園長の話は正しくありません。」
聖城アリサの一言目に皆がざわめいた。
「トップアイドルは選ばれし者しかなれません。私を含め、ここにいるアイドル全員を超えなければなりません。今の浮ついた心持ちでは到底なれないでしょう。技術や才能、時には運も味方につけなければなりません。」
アリサの熱弁に新入生達は聞き入っていた。それにアリサも続けた。
「しかし、この学園で学ぶ事はこれからあなた方の…」
ガタン
アリサが話している途中、会場の裏口、つまり聖城アリサの真後ろのドアからヒナミが入ってきた。新入生や先生、アリサも含めこの場にある全ての視線を集めた。ヒナミは最初はわけがわからなそうにしていたが、すぐに状況を理解したようだった。
「…あなた、ここで何を。」
えっと…、遅刻しました…。」
ヒナミの顔は真っ青になった。