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半魔はしがらみから解放されたい  作者: 嘆き雀
セスティームの町

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72/333

吹っ飛ぶ。潰れる。

 この蜘蛛達を倒すことが目的ではない。

 だが逃げれる隙が見つけれるような相手でもなかった。

 遣い蜘蛛を蹴散らしても、何匹もいる蜘蛛が空いた道を塞ぐ。


 数に押される。

 レッグピアススナイパーだけでも厄介なのに、遣い蜘蛛がいるせいでとてもタチが悪い。  

 上級魔法を構築する時間があればいいのだが、そんな素振りを見せると一斉に襲いかかってくる。


 何度か攻防を交わした後、決定打がないままズルズルと戦闘が長引く。

 その状況を快く思っていないのは互いにだが、そのことで先に仕掛けてきたのは相手側だった。



 今まで突き刺すような攻撃をしてきたレッグピアススナイパーが、身をかがめて脚で薙ぎ払う。

 急な攻撃の変化に跳躍して避けるが、脚の数は十六本。

 飛び回るリューは狙いづらいようで、私だけを攻撃する。

 数々の遣い蜘蛛が死んでいく。

 その犠牲もあって、私は攻撃をもろに受けてしまった。


「うぐっ、ぅあ」


 吹き飛ばされる。

 木に当たるときには勢いを殺すようにした。

 完全には間に合わなかったので、体の中で何か変な音がした思ったら噎せて血を吐いた。


 リューは自分が標的にされていない間に、レッグピアススナイパーに攻撃をしていたが、私が血を吐いたところで動揺した。

 そんなリューに大きな脚が迫るが、気付いていない。

 私が名前を呼んで、ギリギリで回避するが、このままだと私と同じことになってしまう。


 数々の蜘蛛の致命傷になり得る攻撃だけ防御や回避して、魔法を構築する。

 遣いの魔物も毒をもっていて、爪が掠るだけで毒が体に入る。

 体内に回りきるには時間があるからと毒を放置し、傷の痛みに耐える。 

 そうやって通常の二倍の時間をかけて、魔法が完成する。


 最後の方に多くの魔力を込めたので、レッグピアススナイパーが脅威と気付くのは遅くなった。

 最初に切断した方の脚の側に、魔法が着弾する。

 体が大きい分、細長く見える脚の太さもそれなりにある。

 切断するまでには至らなかったが、半分までの傷の深さをつくった。 

 その脚をリューが太い根で絡みとり、引きちぎる。


 レッグピアススナイパーは脚がなくなり、倒れ込む。

 だがただでそうはならないと、リューを巻き込みながらだった。


 私は見た光景を信じられなくて、邪魔だと感情のままに遣い蜘蛛を吹っ飛ばす。

 そしてリューのいる辺り向かって走りだした。

 当然そこにはレッグピアススナイパーがいるので、脚が迫ることになった。



 魔法でもう一本なくしてやると、私は高速で構築し発動させる。

 その前に。

 体が震えあがる声がした。


『何をしておる』


 瞬間、レッグピアススナイパーが消えた。

 いや目が追いついていないだけで、木々をなぎ倒しながら吹っ飛んでいった。

 私はあっと驚かされて動きを止めていたが、すぐにリューを思い出して駆け寄る。

 だが龍の強靭な鱗が身を守っていたようで、意外とピンピンしていた。


「良かった……」


 思わずぎゅっとしてしまい、お互い出来ている傷で呻いた。

 だが生きている証拠だ。

 戦闘で気が立っていた体から力が抜ける。


 そして意識的に見ないようにしていた、助けてくれた声の主を見る。

 なんというか、さっきから音や衝撃が凄いのだ。

 意識をそらし続けることは出来なかった。


 ちょうどよいタイミングだったようで、ちょうど戦闘は終わった。

 木々や抉れたり割れている土の状態が悲惨である。

 レッグピアススナイパーは大きな石で潰れて、モザイクが必要なぐらいだった。

 私は「うわあ……」と声を漏らすが、リューは正反対でキラキラと目を輝かす。


 圧倒的勝者としてその場に佇んでいるいるのは、リューの母親である太古の龍であった。

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