店番 後編
「予想以上に小さいな。何歳?」
「八歳です」
「へえ。やっぱ見た目通りの年か。なあなあ、それでさ―――」
出かけても噂を聞いた人は適当にあしらっているせいで、お客さんに色々と聞かれる。
こうなることなら、日頃何か答えておけば良かった。
お客さんを無下に扱うことは出来ない。
スノエおばあちゃんはまだかと思いながら、答えれる質問には答えていると、新しいお客さんが来た。
そうしてやっと話をするのをやめたが、薬を売り終わるとまた話しかけてくる。
どれだけ、話をするのが好きなのか。
いや、暇人なのだろうか。
買うもの買ったなら早く去ってくれないかとほぼ直接的に言うが、何も反応はせずにスルーされる。
いい加減にして欲しい。
内心の苛立ちが声に冷淡が入る影響が出始めたが、これでも話をやめなかった。
そこで見かねたお客さんが「もうやめにしたらどうだ」と言った。
「は? おまえには関係ないだろ」
注意された態度がこれであった。
両者とも服装や求めた品物が回復薬だったことから、荒くれ者が冒険者である。
言い争いになるのは必然的だった。
「買うもん買ったらさっさと出ていけよ! くだんねぇ話ばっかりしやがって。こっちは迷惑なんだよ!」
「迷惑だと思うんなら、お前が出ていけばいいだろ! このクズが」
「なんだとっ!」
注意したお客さんは最初は冷静だったが言い争つ内にヒートアップしてしまった。
これではどちらも迷惑なお客さんだ。
二人の言い争いによって、店内に入るに入れないおじいさんがいる。
私はもう黙って様子を見ていられなくなり、「やめてください」と声をかけた。
二人の大きな声に私の子どもの声は負けないで二人の耳にまで通った。
だがちらりと私を見るだけで終わって、また言い争いをしようとする。
「やめて、ください」
魔力で軽い威圧をしながら言うと、今度は動きをとめた。
「注意してくださったお客さん、お気持ちは嬉しいのですが言い争いとなってしまうと営業妨害です。
そちらのお客さんは話をするだけでしたら、お帰り願います」
それだけ言い、私は店の前いるおじいさんのために扉を開いた。
おじいさんは常用している薬がもうすぐ切れるということで店に来たらしい。
だがその薬はどんなものか分からない。
私はお茶を用意し、スノエおばあちゃんが来るまで待ってもらうことにしてもらった。
その様子を一通り見ていたお客さん達は、おじいさんがいることもあって帰ってくれた。
話をしてくるばかりだったお客さんはともかく、注意してくれたお客さんには申し訳なかった。
私は先程のことを見ていたらしい、新しく来たお客さんに「大丈夫だった?」と心配してくれる女性に応対する。
そして短い時間の中で、お客さんがいっぱい来るなと思いながら、「おばあちゃん、まだかな」と呟いた。




