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半魔はしがらみから解放されたい  作者: 嘆き雀
セスティームの町

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冒険者は皆気さくな人?

 次の日になると忙しくて、スノエおばあちゃんに森で起こった魔力の流れのことやリューのことを言うことはなかなか難しかった。


 薬草の加工でずっとバタバタしていたのだ。

 採取してすぐにやらなければならないものはおばあちゃんやニト先輩が昨日やってくれていたが、なにせ大量に薬草はあるので十分の一が終わっているだけだ。

 昨日の午後にやる予定だったものが今日に回ってきていてお店側の接客もあるので、走り回っている状態だった。

 そんな中で弟子として私に指導してくれたので、言い出せる余裕は見ていてなかったし私も薬草の処理などに集中していたからまたすっかり忘れていた。


 その忙しさは午前中でだいぶ収まったが、昨日の帰りに採取出来なかった冒険者ギルドの常時依頼分の薬草を私一人で取りにいけると判断された。

 そして私はその話をされたときにようやくおばあちゃんに伝えることが出来た。


「そうかい、そんなことが……」

「何か心当たりとかある?」

「魔法使いじゃあないからねぇ」


 薬の調合で魔力を使うときがあるからおばあちゃんはその扱い方は心得ているが、一瞬の空気中の魔力の流れが変わったということは気付けない。

 魔法使いの領分であるから、そうは予想はしていた。


「だが、心当たりはないが何か知っていそうな者はいる」


 おばあちゃんは顔が広いので、そういう知り合いがいるのは不思議ではない。

 時間がいるということで、不自然だった魔力の流れの件はおばあちゃんに任せることにした。

 気になることであるので、何か分かったら教えてほしいと頼んだ。




 こうして、私は薬草を採取しに出かけた。

 何も言われなかったがまだ忙しそうだったので、パッと行ってパッと帰ってこよう。


「気をつけてな」と門番に見送られた。

 昨日もだが、どうもこの人達は私が森に入っていかないように見張っている気がする。

 さくさくと鎌で薬草を採りながら私はそう考える。


 ここの街の冒険者ギルドだけなのか分からないが、冒険者でなくても小さな子が採取した薬草を買い取ってくれる。

 なので小遣い稼ぎとして薬草が生えている森の近くの野原にくる子供がいて、魔物がいる森に入って危険な目に合わないように門番は見張る役目があるのだと思う。


 森は自分の身を守るすべをもっていないと危険なのでいいことだと思うが、そのせいで監視があってリューの存在を街の外であるここでも隠れなければならない。

 リューは幼いころからの付き合いで友達みたいなものなので、今の窮屈な状態はどうにかならないものかと思った。



 薬草を持ってきていた籠に入れて満タンになったので、冒険者ギルドまで持っていくことにした。

 籠に詰め込みすぎたのか、予想以上に重く立ったときにフラめいてしまう。

 体を鍛えた方がいいと思うが、魔法の鍛錬と違いやる気はあまり出ない。

 母に怒られそうだと、前にも同じようなことを考えたなと思いながら、冒険者ギルドに入った。


 前回はスノエおばあちゃんの後ろを歩いていたので視線が分散していたが、今回はまだ見慣れない私の姿にじろじろと見られる。

 薬草を持っていることもあって私の要件は見て分かるので何も聞かれたりしないが、とてもドキドキした。


 薬草の納品は受付の女性ではなく、男のおじさんのところだった。


「ほら、お金だ。落とさないようにしろよ」


 ニカッと笑うおじさんの大きい手からお金を貰う。


 採取が簡単で沢山生えていることから少量だったが、私が初めて稼いだお金であった。

 エリスと買い物しに行ったことがありお金は初めて見たものではないが、そのお金は特別なものに見えた。



 また二週間以内に冒険者の身分を剥奪されないように活動しなければいけないが、今日は要件はすんだので帰ることにした。

 その際冒険者の厳つい顔した男の人から低い声をかけられて心臓がドキリとした。

 だが「また次も頑張るんだぞ」と腰の辺りにぶら下げていたタグを見て私が冒険者であると知ったのか、そう言われただけだった。


 スノエおばあちゃんに挨拶していた冒険者もだが、私がイメージしていた冒険者と違う。

 顔と言葉の内容が一致していないので違和感を抱えながらも、冒険者は皆こんな気さくな人なのかと考えた。

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