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半魔はしがらみから解放されたい  作者: 嘆き雀
勇者一行

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※まとめ(+おまけ)

第七章にて出てきた人名と国名の一覧です。

おまけは勇者視点。

【クレディア】

 愛称はクレア。前世の名前は紫木(しき)静奈(せいな)

 半魔の色は紫紺色で、人国では薄鈍色、諜報時には男装姿で偽装している。

 ちなみに男装姿は中性的で、静謐な雰囲気を漂わせていることから一目を引く。キシシェ的には帽子や長い前髪で、そんな目立たなくはなったからまあいいか、と見過ごされている。


【リューク】

 クレアと契約する子龍。アンクレックで使役された魔物だと示している。


【ハルノート】

 エルフ。クレアの冒険者仲間。

 クレアとの仲を進展するのに努力は重ね、異性だなあと意識されぬものの思われるようにはなっている。


【サラマンダー】

 ハルノートが契約する炎の始原の精霊。享楽主義。


【ロイ】

 狼人。クレアの冒険者仲間且つ従者。

 武装メイドとして日々精進している。



【チルン】

 魔族。羊の獣人に似た容姿を生かした、幼い諜報員。フランとは双子の姉。

 支援魔法としてバフを得意とする。


【フラン】

 魔族。幼い諜報員。 チルンとは双子の弟。

 支援魔法としてデバフを得意とする。


【キシシェ】

 魔族。本来は獣の姿を持つが、変身能力で長身の大男になれることを生かした諜報員。

 ベリュスヌースが使う人化の魔法と原理は同じで、能力に秀でた魔族は殆ど扱えたりする。ゼノやカデュアイサルは一例。


【カロン】

 魔族。男の諜報員。


【ヒュインズ】

 小人の情報屋。愛称はヒュー。

 敵や味方といった区別なく、知的好奇心のままに情報を収集しする。

 本人に戦闘能力はなく、主に魔道具を身を守る術としている。



添島(そえじま)真希(まき)

『勇者』の称号を持つ男。

 静奈と同級生で、勇者招喚に巻き添えになった当時は高校二年生だった。


【フォティ】

 真希と契約する光の始原の精霊。サラマンダー曰く、寂しがりや。


【ヤナイ】

『盗賊』を自称する女。勇者一行の一人。

 自堕落に生きるが、仲間思いでもある。


【ヴィオナ】

『聖女』の称号を持つ女。勇者一行の一人。希少魔法である神聖魔法を扱う。

 シャラード神教の暗部を一隊預かっている。


【ゴズ】

 シャラード神教の暗部の頭。分銅鎖を得物とする。

 ヴィオナを同類と思っている。


【ノエ】

 ドーピングづけの少年。大槌を得物とする。

 孤児だったところを実験体として選ばれた。


【賢者】

『賢者』の称号を持つ老爺。怜悧且つ優れた魔法使い。

 ウォーデン王国に帰属する。



【メリンダ】

 人族。クレアの母。

 過去、諜報を行っていた時期がある。


【ゼノ】

 魔族。クレアの父で幹部の位階。

 クレアが愛娘だと、公然の事実として知れ渡っている。


【シュミット】

 魔族。ゼノの研究者仲間であり魔王城勤務。


【カデュアイサル】

 魔族。闇属性を持つとして、『魔王』の称号を持つ男。為政者。


【ビナツュリーナ】

 サキュバスの魔族。カデュアイサルの補佐官。


【ウル】

 ハーピーの魔族。空軍所属であり副官。

 魔族でありつつ戦闘本能が強くないので、クレアから貴重な常識人とと思われている。


【モンディエ】

 岩の体を持つ魔族。幹部の位階。

 チルンとフランに護石を送っている。


【ザッカル】

 魔族。幹部の位階。


【ベリュスヌース】

 太古の龍。リュークの母。


【ユレイナ】

 エルフ。水の精霊師。

 勇者一行の一人だったが、ヴィオナから追放されている。


【モアーヴル】

 エルフの長老。ユレイナを孫とする。

 歴代勇者の仲間だった過去がある。


【ウンディーネ】

 モアーヴルが契約する水の始原の精霊。

 サラマンダー曰くぐうたらな性格だが、モアーヴルが好きで契約を結んだ過去があり、彼の頼みなら何でもする。


【バンヌ】

 人族。ルスイとは幼馴染みであり、元ヘンリッタ王国の騎士。

 ユレイナに目をつけられ、従者として使われていた。


【ルスイ】

 人族。バンヌとは幼馴染みであり、元ヘンリッタ王国の騎士。

 ユレイナに目をつけられ、従者として使われてやった。実はサド。



【レナ】

 魔族。クレアの女友達。


【ソダリ】

 魔族。クレアの男友達。ナリダの兄。


【ナリダ】

 魔族。クレアの男友達。ソダリの弟。


【ナヤーダ】

 魔族。過去彼女が管理する湖沼の件で、クレアは強気にでれないでいる。


【ヴォロド】

 人族。ソダリによる復讐で逝去。



【スノエ】

 人族。セスティームの町の薬屋の店主。旅立つ前までクレアを預かっていた。


【エリス】

 人族。セスティームの町の薬屋で働いている女。


【ネオサス】

 人族。メリンダの男友達。

 元冒険者で現在はスゼーリ家の騎士。


【ミーア】

 人族。メリンダの女友達。

 元冒険者で現在はスゼーリ家の騎士。


【ワットスキバー・スゼーリ】

 人族。ヘンリッタ王国の公爵家当主。



【ウォーデン王国】

 魔国と隣国に位置する。勇者招喚を行った。

 第一王子と第一、第二、第三王女がいる。第二王女と第三王女は双子の姉妹。


【レセムル聖国】

 シャラード神教が国教。魔族殲滅のためウォーデン王国と同盟を結んでいる。

 聖騎士団を擁する。


【ファンディオナ大公国】

 ウォーデン王国とレセムル聖国に挟まれた位置にある国。


【ライオネーテ獣王国】

 クレアの母国のヘンリッタ王国の上に位置する。

 ロイの種族である狼人の移民を受け入れた。


【魔国ファラント】

 カデュアイサルを王とする国。魔族を国民とする。


 *



 書き出しはどうしようか、といつも悩む。稚拙であっても彼女が何ら気にしないことは分かっていた。だから、これは僕の問題だ。

 彼女の立場からしてこの手紙には校閲が入る。恥ずべきことは書けない。


 ペン先にインクをつけ、意気込む。そのときに「ふーん?」と背後から声がしたことに驚き、ポタリと便箋にインクが落ちた。


「なあんだ、まだ何も書いてないじゃん。……ありゃ。ごめん、邪魔したね」

「ヤナイ、いつもそうだけどこっそり部屋に入るのは止めてくれよ。心臓に悪い」

「いいじゃん、その方が面白いんだからさ。それよりちゃっちゃと書きなよ。お姫様宛の恋文」

「別に、そういうのじゃないよ」

「えー、でも意識してないことないでしょ。初心なくせに女の子相手に文通してるんだから。ねえ?」


 腕にからみつき、にししと意地悪げに頬を釣り上げていた。完全にからかわれている。


「王道だよねー。勇者とお姫様の恋。結婚式には絶対呼んでよね」

「彼女に失礼だよ」

「あたしはお姫様も真希とおんなじ気持ちだと思うけど」

「……ただの友人だよ。ほんと、そんなんじゃないんだ」


 似た者同士だから気が合い、文通をする仲である。そこに含むところがない、と僕には言いきれないが、相手にとってはそうだろう。

 彼女の立場は複雑で、日々苦労している。純粋に僕とのやり取りを楽しんでいるだけに違いない。



 出会いを想起する。

 確か、僕がまだフォティと契約もしていなかった頃だ。勇者招喚から一ヶ月後ぐらいに、僕らは邂逅した。

 初対面ではなかった。記憶は朧気だが、彼女は勇者招喚に立ち会っている。


「マデリア王女?」


 名前を覚えていたのは、双子である第二王女と第三王女がよく口にしていたからだ。マデリアお姉様、と何かと関連づけて話していた。その声は嫉妬と蔑視に塗れている。


 木陰の元、ひっそりと佇んでいた。嫋々とした軽風で腰まである長髪が揺蕩う。目元に触れる白皙の指は、雫を掬っていた。



 僕は新たな便箋にペンを滑らす。ヤナイが見てくるが、いないものとして扱う。じゃないと徒に時間が過ぎるだけなのは目に見えていた。

 紫木さん、いやクレディアさんとの件の後、ヴィオナから貴族相手でも応対できるよう毎日講習が行われている。それが控えているのだ。


 彼女の負担を減らすため、僕から申し出たことだがもう後悔している。城に逗留中、勇者に相応しい立ち振る舞いを徹底的に叩き込まれたことがあるが、その比じゃない大変さだ。


 遠い親戚までに及ぶ名前も、話題作りのため領内の特産品やらも覚えるのはいい。まだ納得できる。だが、なんで必要になるかもしれないから、と貴族の愛人まで覚えなくてはならないのか。

 極秘と印が押された資料は、家族内でも知れていないことが述べられている。円滑な交渉のため、とにこやかに分厚い資料全て覚えろと促すヴィオナは、これまでの彼女の印象を覆すことになった。


 こんなに腹黒かっただなんて……いや、最近忙しそうにしているヴィオナだし疲れてるんだよ。そういうことにしておこう。



 そんなこんなに考え、ペンを置く。ヤナイが「愛の言葉は!?」と騒ぐが、内容は旅の道中のことでいいんだよ。

 外の世界に興味があるマデリアだ。城内で語り合うときの、いかにもワクワクしてますという表情が思い浮かぶ。

 引っ込み思案にしては、興味のあることに対して夢中になって話をせがんできた。この手紙も届くのを心待ちにしているのかな。


「……そうだといいな」

「え、何々、惚気?」

「だから、そんなんじゃ――」

「勇者様、いらっしゃいますか?」

「うん、入っていいよ」


 ヤナイちもこのぐらいの礼儀は欲しいな。そう思いながら、ヴィオナが連れてきた、新たな勇者一行の候補者に目を白黒させる。


「魔法使いもそうですが、タンクも足りないと思いまして。彼は盾の扱いを得ていることで、一人でいるところを声をかけさせていただきました」

「よろしくな!」


 見覚えある人物に関連し、仲違いし出ていくことになったあの人は元気にやっているのか、と感慨を持つ。近況を知っているという彼が言うに、もう一人共にいた男とうまくやっているとのこと。

 そのことから彼の経緯を察し同情するが、何ら気にしていないようだ。「俺が邪魔してはいけないからな!」と、とにかく明るい。


「改めて、『勇者』の添島真希です。気軽に真希と呼んでください」


 自らの名前と共に称号も告げる。以前はしていなかったこの行為が、僕の決意を揺らがぬものとしていく。


 仲間のために、なにより彼女のために僕は勇者として立つ。

 敵となり、彼女を一人にすることはできなかった。この想いのために、僕は勇者の道を選んだ。

 後悔はするかもしれない。地球に帰りたいと今だに未練がましい僕の、こんな気性だ。


 ただ今は彼女への想いを胸に、僕はこの道を進んでいく。閉ざした手紙の封蝋は固まっていた。

【マデリア】

ウォーデン王国の第一王女。引っ込み思案。

真希と文通する仲。

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