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半魔はしがらみから解放されたい  作者: 嘆き雀
母の元へと向かう旅

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ブレンドゥヘヴン 前編

 ブレンドゥヘヴンは魔物であるので、人が集まるところに来る。

 なので、山を降りてくるときは一直線に冒険者が集まる平地にやって来る。


「おい、あれを見ろ」


 誰かが叫んだ。

 既に戦闘の持ち場にはついている。

 辺りには魔法使いがいて、背が足りなく埋もれながらも空にある影を見つけた。

 影は雷を引き連れていた。

 時間が経てば経つほど大きくなっていき、はっきりと姿が見えてくる。


「あんなのと戦うのか……?」


 全長は何十メートルもあった。

 バサリと羽ばたくと後衛の位置にいるにも関わらず風を感じ、はらりと何枚か羽が落ちた。

 爪は歪に鋭くなっていて、紅い目が冒険者を見定めている。

 雷が落ちると翼がキラキラと輝き幻想的だ。

 天空と雷雨を支配する厄災とは忘れ、人々はひとときだけその光景を見て過ごした。


「……構えろ」


 戦士は武器を持ち、魔法使いは杖を掲げた。

 地面に描かれている魔方陣が高まる魔力により、煌々と強く光る。

 それは雷の光に負けないぐらいの明るさだった。


「放て!」


 炎や風、氷などの、色とりどりの魔法が炸裂する。

 それ合図に冒険者は雄叫びを上げ、討伐は開始された。





 最初の一撃は効いたようだった。

 弓も刺さり、ブレンドゥヘヴンは高度を下げる。

 それでも人からしたらまだ高いが、そのことをものともせずに一人の男が飛び上がる。


「はあああああ!」


 ミンセズさんが敵に斧を突き上げた。

 続いて二人も手に持つ武器で攻撃する。


 私は第二の魔法を構築しながら、この調子ならいけるのではないかと思ったが、見通しは甘かったようだ。

 敵は金切り声を上げて、数多くの雷を落とす。


 幸い、前線で戦う者には魔法で雷に対する守りは魔法でされていたので脱落者はいない。

 もう一度雷をくらったら、どうなるかは分からないが。


「おい! 次の魔法はまだか!」

「炮烙されし身は―――。ちょっと、詠唱途中に話しかけないで! まだに決まってるじゃないっ」


 高度を落とすために急かされる。

 魔法使いが怒鳴り返しているが、構築途中でできるのはすごい。

 この場にいる者は実力者ばかりだが、飛び抜けている。



 少しの口論の間にも、前線の状況は変わる。

 高度の問題は、相手の方から解決してくれた。


「避けろ!」

「うわぁあああ!?」


 ブレンドゥヘヴンは降下すると、足で冒険者を捕えた。

 そしてそのまま上昇し、離した。

 いやだと、どこからか女性の泣き叫びがした。


「っ風よ!」


 見ていられなく、構築していた魔法を放棄して救出するために別の魔法を発動させる。

 魔法の威力を上げる魔方陣の上にいたので荒々しい風となったが、落下死することはなくなった。


「あなた!」

「は、はい」

「よくやったわね、ナイスよ!」


 構築していた分の魔力が無駄になったので、怒られるかと思ったが誉められる。

 その人は落下死しそうになった人のお返しとして、炎の魔法を発動させていた。




 戦闘は続く。

 土の柱が建ったことで、冒険者は踏み台ができたことになった。

 ブレンドゥヘヴンは柱を壊すが、何本もある。

 勇ましい冒険者は次々と剣を斧を拳を振り下ろす。

 深い傷もつくり出しているが、その裏では死人が出ている状態だった。


「今ので何人やられた!?」

「四人だ! その中にAランクがいるっ」


 一際強い雷撃によって、前線を支えていた一人が欠けた。

 もう雷に打たれた人は数えきれない。

 生きている者は回収され、水魔法で治癒される。

 動ける者は再び前線に送られる。

 治癒できず、炭化されたままの傷で戦闘に戻る人もいる状態だった。



 私は主に風魔法で援助したり、氷魔法で敵を攻撃していた。

 三度目に飲む魔力回復薬は効き目が薄くなっていた。

 これで暫く、魔力を回復するまで心休まらない休息となる。

 戦場で倒れた者を回収したり、傷の手当てに回ったりするので休息とも言えないが。


「おい、クレディア」

「っハルノート! 酷い怪我……」


 矢の数には限りがあるので、ハルノートは剣士として戦っていた。

 いたるところにも血や汚れがあるが、重傷なのは利き腕だ。

 折れて骨が見えている。


「……痛いだろうけど、ごめんなさい」

「っ!」


 私は苦痛の声を無視し、荒療治をする。

 骨の位置を正常に戻し、持っていた上位回復薬をかける。


「……行ってくる」

「待って。完全に治るまでまだ時間がかかるよ。その腕で行っても、また折れてしまうだけ」


 最後の言葉でハルノートを引き留めることに成功した。

 魔力と回復薬の節約の為、重傷部分だけでかすり傷は治していない。

 血を拭ったりして傷の手当てをする。



「あの貴族はどうなっている?」

「今もまだ準備中みたい」


 極大魔法を放つと言ったチェイニー様は、五名の魔法使いの補助と共に魔法を構築していた。

 これは戦闘が始まってからずっとである。

 手際が悪いのか、それとも極大魔法にはそれほどの時間が必要なのか。

 とにかくかかる時間は長い。


「成功するか分かんねえ極大魔法なんかより、こっちに人手を回せよ」


 魔法使いもだが、チェイニー様を守るために護衛が多くいる。

 時々構築中の魔法に込められる魔力に引かれてブレンドゥヘヴンが攻撃を仕掛けるが、それを防ぐ実力は持ち合わせている。


「これ、国から騎士団の要請はしているのだよね?」

「とっくにしてるだろうな。だが、前に酷くやられたからな。俺らが弱らせたぐらいの時期に颯爽とやって来るんじゃねえか?」

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