第一部 第一話
師匠を殺してから200年が経った。
この200年間は継承した刻印と、キャラメイク時の[その他]の検証をして過ごした。
その結果、様々なことがわかった。
まず、1つ目
俺は、狭間の世界(白い大地と黒い空の世界。師匠命名)から出られないということ。
恐らくは【狭間の檻】の影響だろう。これの解決策はすでに考えてある。
二つ目
【適応因子】だが、名前の通りに『適応する』ものだった。
どうやら狭間の世界は、常人には耐えられないらしい。知らず知らずの内に、働いていたようだ。
残りは追々説明していこう。
◇◆◇
これからどうすっかな? 師匠からは自由にしていいって言われているけど、どうすんべ?
一応、何個か候補はある。
1つ目
学校に行く。表の世界の学校ではどんなことが待っているのか? わりかし楽しみ。
2つ目
契約して召喚獣になる。この世界には、契約者と呼ばれる依頼者が、契約内容を書いた召喚紙を触媒にすることで発動する、魔術? らしい。契約すると、契約内容に準じた仕事をする必要がある。契約内容は契約者によって様々だ。ちなみに、その契約を破ると死ぬ。
ってことを師匠から聞いた。
どっちにしよう? ぶっちゃけると、どっちでもいいしな。
ダーツで決めよ。
◇◆◇
ダーツで決めた結果、学校に行くことになりました。
行く学校は、人間の国の中では特に教育に力を入れている。『マナケラ学術国』の『国立マナケラ学院』になりました。
よし。それでは、表の世界に行くためにまずはボディを作成しよう。
やり方は簡単。魔力(と呼んでる万能物質)で体を作り、意識を移すだけ。体を作るときに、どれぐらい本体に近づけるかで、戦闘能力が変わります。俺は、パッと見14歳~16歳位にしました。これだと、戦闘能力はよくて本体の20%でしょう。
見た目は本体をそのまま14歳~16歳にした感じ。胸はそこそこ、身長は同年代では少し高いかな? 位になりました。
体もできたし、意識も移したし、表の世界に出発だー。
あ、このボディ時の名前は『レスティア・ミスニケ』にした。
本体の名前は、師匠から引き継いだ『アニマス・ミーティス』だ。
◇◆◇
取り敢えず、何もなかったから入学試験までカットしますた。
だってホントに何も無かったんだもん。
何? もんとか言うな、御年3200歳の化石の癖に? ははっ、ぶち殺しますよ?
ちなみに俺の見た目は、3200年前から変わってません。不思議だと思ったら、師匠がそういう風に改造したって説明してくれました。
現在、そのマナケラ学院とやらの校門前に居ますが、いかんせん人が多い!! どうやら、ここに居るほぼ全ての人が入学試験を受けるようです。
受付に行って、受験票? っぽいものをもらったので指定された教室に行こうかなと思ったら、
「ちょっとあなた達!! おどきなさい!!」
辺りが騒がしくなった。わ~すごい、権力を笠に着る令嬢その者って感じのお嬢様がきた。何かルビがあったって? 細けぇこたぁいいんだよ。
「そこのあなた!! 私はおどきなさいと言いましたわ!!」
何かこっちに来た。どう対応しよう。これでもこのお嬢様の200倍位生きてるから大人の対応をしよう。そうしよう。
「はて、どちらさんで?」
「まさかあなた、この私を知らないとおっしゃるの?」
「世界中の人間が貴女のことを知ってると思ったら大間違いですよ」
少し煽ってみた。さてさてどう反応するかな?
「無礼者!!! 私は『エントヨス王国』の第2王女、ルサーフィア・フォン・エントヨスだ!!! 頭がたk…何で無視するんです!!?」
「だってそろそろ、試験が始まるし」
「……くっ!! 覚えてなさい、この愚民!!」
おー、三下っぽい捨て台詞を吐かれた。まぁ気にしないけど。
王女様が去って行ったら、野次馬の皆さんもそれぞれの教室に向かった。俺も教室に向かおう。
◇◆◇
教室に入ると、他の皆さんは既に着席していて、若干焦った。
だって自分待ちかな? って思うじゃん…。
「では、試験の説明を始めます。制限時間は40ミトです。
では、始め!!」
ミトというのは時間の単位で1ミトは地球で言う1分に相当する。
試験だけど、ぶっちゃけ楽。3200年勉強してたんだから、楽に全部解けます。20ミト位で解き終えちゃった。暇ですなぁ、……寝よ。
試験が終わったら、今度は実技だって!! 楽ですね。師匠を殺すのに鍛えまくったから、カミサマだって殺せます。実際カミサマ殺したし。
フムフム、実技は的の破壊のようです。10フェト位離れた場所にある材質は……あれは、コーティングを施した何かの合金ですね。あれを破壊したら満点のようです。
ちなみに、フェトというのは距離の単位で1フェトは地球の1メートルに相当します。
挑戦可能回数は5回で今までの最高点は、あの王女様の92点だそうです。それも5回挑戦して。何かスッゴいドヤ顔をしていますが、そのドヤ顔を驚き顔にしてあげようかな。
「次、レスティア・ミスニケ!」
「はいはーい」
「では、開始!」
パチンッ!! ドガァァァン!!
「……え?」
殺したカミサマというのは、興味本意でちょっかいをかけてきた、カミサマの中でもろくではないやつです。